曇り。時々、チラチラと小雨。
ずっといいお天気が続く…と思っていたら、強力な台風の襲来。かと思っていたら、また好天、しかも20度前後の日々が続く…なんじゃこれはと思っていたら、やっと「秋の長雨」。これは秋の長雨なんでしょうねえ…ただ、秋とは言いましても、暦の上では晩秋…いえいえ、「立冬」も「小雪」も過ぎています。もう冬です。よくわからない季節が続いています。
とはいえ、寒いですね。秋の長雨などと興がってはいられません。この辺りも、今、9度くらいで、日中、上がっても11度くらいにしかならないとか。一日中、こんな感じなのでしょうか。
というわけで、教室でも、例年の行事、「紅葉狩り」が話題になり始めています。
「Bクラス」の女子学生。「この学校はいいです」と言う。「そうですね。皆、勉強してくれるし、学校に来てくれるし、いい学生達がいるから、いいクラスになっています」と、さりげなく返事をしていると、違うと言う。
んん。優しい先生がいませんかとチラっと見て言うと、彼女の言わんとしていたのは、「そうではなくてェ」、月に一度、あるときは月に2度、課外活動があるからというらしい。
友達の学校は一年に一回か二回。なのに、ここの学校はよく連れて行ってくれる。とても楽しいと言う。
そうか。まあ、そう言われると、嬉しいことは嬉しいのですけれども、勉強の事を言って欲しかったな。
皆を連れて行った時、電車の中とか、目的地目指して歩いているとき、あるいは参観している時などに、本音が聞かれることがあるのです。悩みを言ってくれることもあれば、アルバイト先や母国での面白い話を話してくれることもあります。
教室の中では、来日後半年くらいは、それほど言葉も達者ではありませんし、ややもすれば、勉強の話ばかりということになってしまい、こういう話はなかなかしようにもできないのです。
こういう「課外活動」というのは、教師側からは、「アルバイトと勉強だけの生活に潤いを」ということだけでなく、彼等のことを知ることができる貴重に時間でもあるのです。
ただ、学生はこれを「課外『学習』」とは見ていませんね。「旅行」というのはまだ許せるとしても、中には「今度はいつ『遊び』に行きますか」なんて聞く輩もいる。「博物館」に行ったのに、「遊び」なんて言うのですから。
寮の同室者でも、また同じクラスの学生達でも、学校では(寮でも、アルバイトや授業時間が違うと)なかなか自由なおしゃべりを楽しむことができないので、こういうのがあるとホッとできるからなのでしょう。
で、次は「日本語能力試験」が終わった翌日の「紅葉狩り」。
すると、その「日時」で、また一悶着。「12月の1日」と誰かがうっかり言ってしまうと、すかさず「試験はどうするの」と突っ込みが入る。言われた者がハッとしていると、「試験を受ける人は受ける、遊びに行く人は遊びに行く。私は試験を受けるからね」。私が睨んで「遊びじゃない」と言うと、慌てて「旅行、旅行」と言う。すると、後ろの学生が「『旅行』じゃなくて、えーっと、ケーン、ケーン」と前回言われた単語で答えようとする、が、思い出せない。私には狐語としか聞こえないのに。はたと思いついた一人が「『見学』だあ」。
「心にもないことだから、出てこないのだ。『遊び』とばっかり思っているでしょ。勉強だからね(もっとも、「紅葉を見ながら楽しんで欲しい。日本の生活を豊かなものにして欲しい」というのが私達の本音ですから、深追いはしません)。行くのは2日、8時45分集合、場所はいつも通り行徳駅」
すると、また一人が、「2日はディズニーじゃないの」とか言い出す。と、「ディズニーに行ったら、次の日から冬休み。そんなに早く休みになりたいの」と言われてしまう。だいたい責められるのは決まっている。男子を女子が責める。定型です。こういうときは、黙って見ているに限ります。また、見ていると、みんな二十歳を超えているのに、だんだん子供同士のやり取りのように思えてくる。聞いているうちに笑えてくる。最後はみんなで笑って終わり。
時間があるときは、勉強だけでなく、こういうのも楽しいですね。
日々是好日