イレグイ号クロニクル Ⅱ

魚釣りの記録と読書の記録を綴ります。

「失踪願望。 コロナふらふら格闘編」読了

2023年11月22日 | 2023読書
椎名誠 「失踪願望。 コロナふらふら格闘編」読了

日記文学という感じだろうか。集英社の「集英社学芸の森」というウエブサイトに連載されていたものをまとめたそうだ。(一部書下ろしもある)
始まりは2021年4月。終わりは2022年6月。つい最近のことである。サブタイトルのとおり、コロナ禍の真っただ中。東京、大阪、京都、兵庫の4都府県で3度目の緊急事態宣言が出されたときだ。僕の歴史では女帝に悩まされていた頃だ。
半径10㌔からは出ることがない僕個人の生活が一変してしまったということはなかったはずなのだが、世間の人々は行動制限のために行きたいところにも行けず、食べたいものも食べられなくなってしまったという最後の大規模な規制が始まり徐々に元の生活に戻りつつあった期間でもある。

最近の椎名誠の著作を読んでいるともう書き切ったという感があるように思うのでこういった日記文学で日常の事実を著者の思いを絡めて書き進むというのはいいことなのかもしれない。著者自身の回想はいつもの通りだがそれを今の時代とオーバーラップなり逆に対比をさせたりしながら書いてゆくというのは新しい発想だと思う。まあ、それでもやっぱりこの人はすでに書き切っているという感は否めないのだが・・。椎名誠の本はおそらく足かけ40年以上に渡って読んできたと思うのだが、そういう経験からもそう思う。
また、この本には下段に当時のニュースが記されている。たった2年前のことだが、記憶のかなたの境目で、ああ、こんなことがあったなと僕以外の人たちが経験した激動の期間を思い出すことになった。著者自身がコロナウイルスに感染していたということは知らなかったが・・。

この本は、そのテーマをメインタイトルどおり「失踪願望」という言葉に置いていたという。
著者のようにたくさんの人に囲まれて、ある意味自分がやりたいことをやり切ってきたと思える人が「失踪」したいと思うのだろうかと思うのだが、そこは何かを創り出そうとする人と、無気力なサラリーマンとの違いなのだろうなと思ったりもする。
いや、椎名誠の「失踪願望」とはまだまだこれから新しい世界へ向かって行きたいという野望なのかもしれないとも思ったのである。




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