イレグイ号クロニクル Ⅱ

魚釣りの記録と読書の記録を綴ります。

「空海の思想について」読了

2015年11月03日 | 読書
梅原 猛 「空海の思想について」読了

 前回読んだ「弁顕密二教論」があまりにもよくわからなかったのでもう1冊読んでみた。
もともと密教というのは仏教と似て非なるものではないかと感じていたのだが、著者はその違いを仏教は浄土思想に代表されるように、現世を否定して死後に救いを求める。もしくは現世は苦悩に満ちているのだからそこは諦めていきてゆきなさいというものだが、真言密教というのは、それを超えた先にはすばらしい世界がある現世というものはなんと素晴らしいところだろう。そしてそのすばらしさを人々に伝え分け合うのはもっと素晴らしい。と説いている。
大日如来は宇宙そのものであり、その姿をたった一つの文字に凝縮する。それほどの大きさのものが小さな文字に宿ることと同等に人間でさえも宇宙そのものでありうる。空海の思想のひとつに即身成仏というものがある。これは誰でも生きているうちに仏になれるというものだが、人は宇宙そのものということにつながっているのかもしれない。そして人間はみな平等だということを説いているのだろう。

奥の院へ続く参道には戦国武将の墓がたくさんあるが、かつて敵対して殺しあった人たちが一堂に会しているというのも武将たちは高野山ではみんな平等だと知っていたからにちがいない。

そういう意味でもなんと空海はという人は心の広い人であったのだろう。やはり他の仏教とは似て非なるものだ。そして今でもたくさんの人々を引きつけてやまないのはこんなところに大きな魅力を感じるからなのだろう。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 加太沖釣行 | トップ | 洲本沖釣行 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

読書」カテゴリの最新記事