イレグイ号クロニクル Ⅱ

魚釣りの記録と読書の記録を綴ります。

 「なぜ鏡は左右だけ反転させるのか―空間と時間から考える哲学」読了

2024年08月08日 | 2024読書
加地大介 「なぜ鏡は左右だけ反転させるのか―空間と時間から考える哲学」読了

メインのタイトルだけを見てみると、科学読み物という感じがするがこれは哲学の入門書である。著者は、「中学生でもわかる」ような書き方をしていると書いているが僕にはまったくわからなかった。
内容はというと、タイトルのとおり、鏡は左右を反転させるけれども上下を反転させないのはなぜだろうかということと、タイムトラベルができないのはなぜなのだろうかというふたつの疑問を哲学的に考えてみようというものだ。
どうして鏡とタイムトラベルなのかというと、鏡像問題と時間論というのは哲学の中ではかなりポピュラーな問題で哲学を学び始めるにはけっこう適切な問題らしい。
鏡像問題には空間を考えるという部分があり、時間論というのは宿命論という問題を考えるのに好都合だそうだ。
しかし、やっぱりよくわからない。特に鏡像の問題についてはなぜこれが哲学なのかというのはさっぱりわからなかった。ただ、鏡はどうして左右だけ反転させるのかというのは、XYZの立体座標で考えると、XYの軸状に鏡があったとき、Z軸の位置だけが逆転されているのが鏡像であるという論理が左右だけを反転させる根拠だというのはなんとなく理解はできた。しかし、それがなんで哲学なのかというのはなんともよくわからない。
著者が言うには、XY軸が90度回転していても、具体的にいうと、寝っ転がって鏡を見ても水平方向で左右だけが反転して見えるのは、人間が体の中心線を軸として位置感覚を認識しているからだそうで、それが空間認識、さらに存在論に関係しているというのである。

タイムトラベルの問題はもう少し哲学的だなと思えるところはあった。とは言っても、「ターミネーター2」を例に挙げ、たしかに素人にもやさしい解説をしてくれているのだけれどもやっぱりわからない。
「排中律」という考え方が関係しているらしいが、これがまたよくわからない。「排中律」とは、「すべての命題は真か偽のどちらかである」という当たり前といえば当たり前と言えることを言っているのだが、真か偽のどちらかしか現れないのだからそれに対して何かのアクションや備えをしても結局、真か偽かのどちらかの結果にしかならないのだから何もしないほうがよいという宿命論につながっていくというのである。

哲学の本は何冊か読んできたがやっぱりわからない。これも死ぬまでにはなんとなく理解してみたいもののひとつである・・。
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