イレグイ号クロニクル Ⅱ

魚釣りの記録と読書の記録を綴ります。

「釣りひとり」読了

2010年09月18日 | Weblog
山村聰 「釣りひとり」読了
山村聰というと、「柳生一族の陰謀」で千葉真一扮する柳生十兵衛の父親の柳生但馬守宗矩の役をしていたのをよく覚えている。
この時代劇は面白かった。山村聰はさておき、千葉真一の柳生十兵衛はかっこよかった。
あとはトヨタのクラウンのコマーシャルか・・・。
役柄から想像すると何かで~んと構えた近寄りがたいエグゼクティブという印象がするが、実際はものすごくエネルギッシュで細かなことを探求するひとであったようだ。

釣りの中でもヘラブナ釣りに情熱を傾けて、釣具屋を経営したり、へら竿を自作したりかなりの懲りようだ。
映画俳優という職業の人だけあって、普通のひととは経済的にも精神的にも全然ちがうステージにいるのだろう。

話は飛んでしまうが、東京の釣具屋さんは関西の釣具屋さんとはかなり趣きが違う。入り口は普通の釣具屋さんでも、奥に入っていくと和竿の数々がケースに入れられて並んでいる。上州屋でも店の隅っこには竹のへら竿をガラスケースに入れて陳列しているくらいだ。
銀座にある「東作」という釣具屋に入ったときには入り口と奥のあまりのギャップに驚いたものだ。入り口はこっちで言うと老人が暇つぶしでやっている釣具屋という感じだが、奥のほうはまったく近寄りがたい雰囲気で、「買えないんなら早く出て行けオーラ」がプンプン漂っていた。さすが、「粋」を重んじる江戸の町だと感心した。
数年前、出張でよく東京に行く機会があったのだが、仕事もそこそこにこんな感じで釣具屋さんを探しては訪ねたものだ。いい時代だった。

著作の後半のへら竿の製作過程とそのこだわりようがすごい情熱で語られているが、山村聰もそんな江戸の心意気のなかで生活をしてきた人だからこれだけのこだわりをもっていけたのだろう。
僕も釣具の手作りは大好きだが、やっぱり、ここまでは到底いけそうにない。

最後に、文章の中に書かれている詩をひとつ。

うたすてたるにあらねども
ひとりうきよをのがれきて
きょうのひとひをのべのはて
つりするわれをせむるなよ
みやこにうたをかくともよ

ぼくは釣りというのはストレス発散やリフレッシュの手段などではなくもっと崇高なものと思っているのだが、実際はこの詩のようなものになり果ててしまっているような気がする。
これがすごく悲しい。
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