イレグイ号クロニクル Ⅱ

魚釣りの記録と読書の記録を綴ります。

水軒一文字

2010年09月19日 | Weblog
きのう使った道具を船に戻すために港に寄る前に水軒一文字に行ってみた。いつもは防波堤の付根付近をうろうろするだけだが今日は天気がいいので先端まで行ってみた。

ここは僕の釣りの原点のひとつだ。もう35年以上前になるがここのそばに住んでいたのだが、父親に連れられてよくボラを釣った。
当時は沖側にもテトラなど入っていなかったし、工業団地の埋め立てもされていなかったので広大な釣り場だったが、今では埋め立ても進み、自転車やバイクで防波堤まで乗り入れられるようになってしまった。
水軒川のほとりから海岸沿いを歩くと近いのだが満潮時は歩けないので番所の鼻のそばからひと山越えることが多かった。小さな子供の僕はほとんど荷物を運ぶことができなかっただろうから、僕の父親はヌカの塊をもってよくあの山の中を歩いてくれたものだ。

今はもう、そんな釣りをする人はいないだろうが、和歌山ではどこでもボラを吸い込み仕掛け釣るのが定番であった。水軒でも新和歌浦でも木製の糸巻きに竹ヒゴを挿してその先に鈴を付けて手釣りで釣っている人がたくさんいた。
野球のボールくらいの大きさのヌカダンゴにハリが10本ほどついた吸い込みハリを仕込んでぶっ込んでおくのだ。40センチくらいのボラでも小学生の子供にとってはとてつもなく強力な引きだ。一匹上げると指が竿のグリップの形のままこわばってしまったことを覚えている。

もう、一匹釣ったらやみつきになった。
僕の父親も不定休の仕事をしていたので、しょっちゅう釣りに連れていってくれたわけではないが、学校が昼までの日にスーパーカブに乗って迎えに来てくれることがあった。ちょうど、県立和歌山工業高校の裏の道を歩いている頃に反対側からカブに乗った父親がやってくる。そこで友達と別れてカブの後ろに乗って帰るのだが、そのうれしかったことと言えばなかった。
釣った魚は家に帰ると母親が洗いや味噌付けにしてくれた。

このブログを読んでくれている方々も、ボラといえばとんでもなく臭くてまずくてポイントを荒らす魚として敬遠される方が多いと思うが、こんなことから、僕はボラが釣れるとうれしくて仕方がなくなる。
料理法もいろいろ勉強して、今でも美味しく食べさせてもらっている。
卵は時間さえかければ市販のものより美味しいカラスミができるし、中華風のから揚げにしてオーロラソースで和えると臭みなどまったく気にならなくなる。

最近は田辺でもあまり釣れなくなったような気がするが、ボラを釣ったらぜひとも一度賞味してほしい。
これからの季節が卵も大きくなるのでカラスミを作るチャンスでもある。
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5 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
ボラ (JOE)
2010-09-20 21:08:49
きれいな水域のボラはおいしいって聞きますね

私の行く岸和田当りじゃ水悪いし、食べるにはやはり勇気が要ります。

でも、ボウズの時はボラでも救世主だったりしますw
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懐かしいですね (兎猫。)
2010-09-21 08:46:47
この冬、加太で
「いてこます」予定です^^。
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Unknown (イレグイ号)
2010-09-21 21:22:54
JOEさん、
そうなんです、ボラはけっこうおいしい魚です。釣ってもすごい引き味をみせてくれるし・・・。“おぼこい”、“いなせ”、“とどのつまり”、なんていう言葉も全部ボラから出た言葉だそうです。
昔からボラは人の生活と密接にかかわっていたようなんですよね。
僕はずっとボラの復権を願っています。


兎猫さん、
目が脂で濁った冬のボラは美味しいそうですね。がんばってください。
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Unknown (ヤンガス)
2010-09-23 22:34:19
お初のコメント失礼致します。

ボラと聞きますと、私の父の大好物なんです。

戦後のまずしい時代では、とても重宝した魚なんだと教えてくれました。 
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Unknown (イレグイ号)
2010-09-24 22:14:35
ヤンガスさん
和歌山ではどうか知りませんが、昔は海の浅瀬に鯔見やぐらというのを立てて、待ち伏せをして四手網を使って一網打尽にボラを獲っていたそうです。
北の国の鮭のように、本州から南では貴重なタンパク源だったことと思います。

ぜひともボラを釣っておとうさんにご馳走してあげてください。
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