話を10月中旬のドライブに戻す。
香住・今子浦の宿で迎えた2日目の朝、当初はこのまま山陰ジオパークを巡るということで岩美・浦富海岸やら鳥取砂丘を見て回るか、あるいは逆に丹後半島に行くかと思っていたのだが、宿で観光パンフレットなど見る中で考えが変わった。それはJRの和田山や豊岡などからの観光周遊バスのパンフレットなのだが、これまで訪れたことのない山中のスポットが目についた。森林とアート・・・急にこちらに魅力を感じた。海岸線は前日も走ったし、鳥取砂丘はまた鉄道の旅でも行きやすいところである。クルマの機動性を活かす形で、そちらを回ってみよう。
向かうのは香住から県道を南下して国道9号線方向である。かつては村岡町と呼ばれていたエリアであるが、現在は香住町、美方町と合併して香美町の一部である。「町」とはいえ、山と海の両方の豊かさを持つ、特に冬は同じ町内でスキーもできれば松葉ガニ、香住ガニをいただけるとあって、レジャーとして訪れる魅力のあるところである。
こちらに行ってみることにしたきっかけの一つが、安藤忠雄設計の「木の殿堂」という、木と森の博物館。まずはそちらに向かおうとぐんぐんと高度を上げていく。同じ町内とはいえ、香住からこちらまではクルマで1時間弱かかる。
海からすっかり高原の景色となったが、「木の殿堂」はまだ開館時間前であった。ならばそれまでどこか別のところに行こうかということで、さらに少し奥に走らせる。高地トレーニングか、この山道を伴走車つきで走るランナーを見かける。
そこでやってきたのが、但馬高原植物園。高度約700m、パンフレットによれば「平地植物の上限、高地植物の下限、南方植物の北限、北方植物南限」という位置にあるという。したがって17haの敷地にある植物は2000種類とか。植物や自然がお好きな方にとっては魅力的なところである。
入口でパンフレットとともに「今日はこんな花が咲いています」という案内図をいただき、園内へ。まだ早い時間帯ということで数組の客やカップルが訪れているくらいで、実に静かである。空青く、緑もよく映えている。
植物園なのでもちろん人工の手が加えられているのだが、都市の近郊の植物園のように歩道を舗装してきちんと「公園として整備する」というよりは、ある程度自然に任せている感じである。そのせいか、案内図では普通に道があるように書かれていても、そこは草木が生い茂っていたり、入ることができなかったりというところも。
この植物園のある瀞川平のシンボルともいえるのが、樹齢1000年を超える「和池の大カツラ」である。根元が割れる形になっており、その下を小川が流れていく。これは名水「かつらの千年水」と呼ばれるもので、実際は別のところから湧いているのだがあたかも大カツラから湧き出ているように見える。自然の面白さである。
この「千年水」は汲むことができるとあって、飲んだ後にペットボトルにも入れる。何だか体の中に千年のエキスが入り込むような気がする。
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