7月19日の海の日、オールスター戦を前にした最後の3連戦である。この日行われたオリックス・バファローズ対楽天戦の観戦に出かける。この試合前まで5位のオリックスに対して最下位の楽天が0.5差に迫っており、負けたほうが最下位になるという状況。
この日は「R50ナイト」ということで、50歳以上の方を意識したさまざまな趣向を凝らしての試合という。ということもあり、昨年から野球観戦でもご一緒している本物の「R-50」である鈍な支障さん、そして毎度おなじみ、この人と一緒に行くと必ずといっていいほど乱戦になるというジンクスのある大和人さんに声をかける。
内野自由席の上段に陣取る。前日まで「大阪夏の陣」というイベントが行われていたのだがあまりにも情けない試合展開で3連敗したせいか、子どもが明日(20日)の終業式を控えているせいか、3連休最後の夜ということでゆったりしようということか、あるいは西宮対広島戦がナイターで甲子園で行われているせいか・・・いろんな要素があって客の入りも今ひとつ。でもまあ、「R-50」世代の方にとっては「ワシらが若い頃にパ・リーグの試合を見に来たときはだいたいこんな感じでガラガラやった・・・いやもっと客少なかったで」とでも言われそうな感じ。外野席で流しそうめんをやったり、内野席の上の方でカップル(いやその当時の言い方をするならばアベックか)が愛の交歓をやっていたりというのもその当時の風景ですかな?
試合前の打撃練習中でのBGM。「R-50」ということで当時の歌謡曲やらフォークなぞが流れる。ただその選曲というのが「昭和枯れすすき」とか「悲しい色やね」とか、「雪国」とか「シクラメンのかほり」など、どちらかと言えばスローテンポの、哀調漂うナンバーばかり・・・。うーん、これから打線が奮起しなければという時に、何だか力の抜けそうな曲が多いというのはどういうことかな・・?
さてそんなスタンドの雰囲気を少しでも燃えさせようということでゲスト出演したのが、アニメ「巨人の星」で星飛雄馬の声をやった声優の古谷徹さんと、星明子役の白石冬美さん。白石さんが楽天のスタメンを発表し、古谷さんがあの口調で「4番、ファースト、カブレラ!!」などとやる。最後にオリックス「バッファローズ」とやるところが、当時の巨人の星、セ・リーグの立場から見たパ・リーグの近鉄「バファローズ」の認知度を表しているようで、それはそれで「R-50」やのう・・・と思う。ちなみにこの後、この巨人の星スタイルの選手アナウンスが5回裏まで行われた。
ちなみに私は巨人の星でも左門豊作に似ていると言われたことがあるんですが・・・まあ、それはどうでもいいことで。
後のR-50というのは、ビジョンに映る画像が、協賛企業のCMを除いてはこんなセピア色調で流されたこと。しかしこうして見ると、選手の表情というのが太平洋戦争の戦場に散った戦士たちの遺影のように見えてしまうのだが・・・・。
試合前からこんな感じのものだから、「こりゃ試合前からグズグズやな」「力抜けるで」「今日も荒れるか、ダレるか・・・?」と、それぞれが心配してしまう。
この日は国歌斉唱、始球式はR-50世代代表?ということでトミーズ雅さんによるもの。
その試合、オリックスは木佐貫、楽天はラズナーの先発。木佐貫の立ち上がりは相変わらず今ひとつで、ヒットと四球でピンチを招くが最後は何とかしのぐという投球。
一方のラズナーも乱れた立ち上がりで、2番の荒金、3番の後藤と続けて死球を与える。早くも両チームの選手がベンチから出て来るという展開。早くも、この試合は何だかスンナリとは行かないなという予感。やはり我々この組み合わせで観戦するとそうなってしまうのか。ただこの後二死満塁とするも北川が討ち取られて無得点。
試合が動いたのは3回表。楽天が渡辺、聖澤の連打で1・3塁として高須が犠牲フライ。しかしその裏、オリックスも荒金が3塁打。後藤四球でカブレラが久しぶりの打点となるタイムリーを放つ。T-岡田四球で満塁とした後、続く北川が押し出しとなる死球。さらにこの後鈴木にも四球が出て、結局2安打で3点。そりゃラッキーかもしれないが、見ているほうとしては疲れる・・・。
4回裏にはカブレラが久々のソロアーチ。これで4対1となり、序盤から毎回ランナーを背負う苦しい投球の木佐貫にも援護となる試合展開。一方のオリックスもランナーを出すもののラズナーの前に追加点はなかなか奪えず。それにしてもここまで時間がかかり過ぎる。
やはりこの日は荒れる展開なのか、5回表に楽天が4対2となる鉄平のタイムリーが出た後の6回表。楽天がリンデン、ルイーズの連続二塁打で1点を返し、渡辺の四球と盗塁で一死2・3塁。
続く聖澤の打球はセカンドへ。後藤がつかんでバックホーム。そこに「半ばアウト承知、タックルしてキャッチャーがはじけばもうけもの」で突っ込んできたルイーズ。あっ!という瞬間にルイーズは捕手の鈴木に体当たり。体格に差のある鈴木が吹っ飛ばされたがボールは放さず、これで同点のピンチを防ぐ。
この後しばらく鈴木は起き上がれず、一時は担架も出動して場内騒然となったが、少しして鈴木も立ち上がる。細い体でのガッツプレーに惜しみない拍手を送る。
ただこれに木佐貫が応えられない。続く高須にいい当たりを許し、2人帰って5対4と楽天が逆転。これには支障さんと大和人さんも「ホンマに今日はどないなるねん」と呆れ顔。
これで楽天のムードと思われたのだが、その裏にうならせるプレーが生まれる。
途中から出場のカラバイヨ。独立リーグ・BCリーグの群馬ダイヤモンドペガサスで圧倒的な長打力を見せ付けて群馬の前期地区優勝に貢献したスラッガー。先日オリックスに入団したばかりというのに、もう一軍登録。一方でそのあおりを食う形で2軍に落とされた坂口の心中やいかに・・・?
前の打席では直球と変化球の組み立てについて行けずに空振三振。この打席もどうかなと思ったが、楽天の3番手・山村の甘く入ったスライダーを振りぬくと打球は一気にレフトスタンドへ。もちろんNPBでの初安打初打点、初本塁打である。これで同点。いや~、カラバイヨをナマで見ることはなかったが、BCリーグのファンとしてこれはうれしい限り。ぜひこれを機会に、群馬の地方紙である上毛新聞あたりでもカラバイヨを通してオリックスを取り上げていただき、群馬でもオリックスに興味を持ってくれるファンが増えるといいのになと勝手に思ったりする。
ラッキー7、楽天の球団歌が流れる頃にはもう21時を回る。いやいやここまで長い試合になるもんやな。時計の針が気になる。ましてやこれまで支障さん、大和人さんと訪れた試合ではどちらかのチームが2ケタ得点をやるとか、一方で投手がアップアップなのに打線がグダグダで得点が取れず、結果だけ見れば「僅差の投手戦」としてくくられかねない試合ばかり。それがこの日はジンクス通りの展開となっているだけにあきれる。
同点の展開で8回、カブレラ、T-岡田の連打、北川の四球で、この回3イニング目となった楽天の3番手・川岸を攻める。ここでスカッとした当たりを放ったのがバルディリス。レフトへの走者一掃となる2塁打を放ち8対5となる。さすがにこれで勝負あったか・・・?
9回は岸田が登場。勝ち負けでいえばオリックスの勝利だろうが、気になるのは試合終了の時間。実はこの後でグラウンドに降りることができるドームツアーに申し込んでいるのだが、試合終了が22時を回るとツアーは中止という。ドームツアーに行けるか、はたまたドームツアーを中止に追い込むほど私たちのジンクス(プラス新たな伝説)があるのだろうか・・・?
結局楽天の反撃もここまでで、4時間16分という長時間の試合を制したのは8対5でオリックス。お立ち台にはバルディリスと、もう一人カラバイヨが選ばれた。何せNPB2打席目にしてそのパワーを見せ付けてくれたのだから・・・。高知・群馬にいただけあって日本語もそれなりに解し、コミュニケーションには問題がないのだろう。
さてこの後がドームツアー。当初の案内では「試合終了が22時を過ぎるとイベントは中止する」と言っていたのだが、その後22時20分まで延長。ただその試合終了も結構焦るものがあった。時計の針はどんどん進んで行き、その20分にも間に合うかということもヒヤヒヤものである。一時は「この展開ならドームツアーも中止やな」と思っていたが、結局はやるのである。ならばということで支障さんに大和人さんを伴って下段に下りる。
ドームツアー。先ほどまで熱戦が繰り広げられていたところである。ダイヤモンドをゆっくり一周してみたり、マウンドに上がったり打席に立ったり、ベンチに座ったりヒーローインタビューを受けてみたり、最後は外野の芝生の上に寝転がったり・・・。
「こういうところでプレーしているんやな」とお二人とも感心しきりで、一般1200円で体験できるこういうイベントもいいなあと思う。さらに、まだグラウンドの記者席で後片付けや原稿送信を行っていた記者さんたちの姿に接することもでき、支障さん、大和人さんとも「裏側を見れたようで楽しいなあ」と喜んでいただいた。「大阪夏の陣」を避けてこの「R-50」狙いでお誘いしたのがいいほうに出た。お二人ともR-50の企画そのものにはいろいろとツッコミどころがあったというコメントであるが、懐かしい雰囲気でよかったと言っていただいた。特に本物のR-50の支障さんもコストパフォーマンス含めて大満足のご様子。
試合が終わったのが22時20分、ヒーローインタビューの後でドームツアーが始まったのは22時30分を回っており、グラウンドを満喫して終わったのが23時10分。いや、イベント込みとはいえここまで長時間を野球場で過ごすというのもこの組み合わせならではである。
パ・リーグの試合なのに「巨人の星」ワールドはいかがなものかと思った場面もあったが、こういう年齢層をターゲットにしたイベントはありと思う。帰宅したら日付が変わっていたのはもうご愛嬌、というか印象に残る試合。ぜひとも来年以降も続けてほしいものである・・・。
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