ここまで長々と書いてきた九州八十八ヶ所百八霊場めぐりの1日目(5月6日)は、ようやく佐伯にて1泊するところ。
佐伯駅からもう2キロほど走り、市の中心部に近い佐伯セントラルホテルにチェックイン。ホテルのすぐ横、駐車場との間に神明神社の祠が建つ。
建物の外観は年季が入っているように見えるが、部屋はリニューアルされているようだ。壁掛け式のテレビはBSが映らないが、代わりにYouTubeやNetflixなどの動画が視聴できるタイプ。最近、この手のテレビを導入しているホテルも目につくようになった。
さて時刻は18時、そろそろ一献の時間である。幸い雨もやんだようで、ホテルのすぐ近くの「うまいもん通り」に出る。昔ながらの風情を感じる通りだ。こうしたところをぶらついて雰囲気のよさそうな店に入るのがいいのだろうが、大型連休の最中ということであちこち満席ということも考えられる。このところあらかじめネットで席だけ取っておくことも多く、そこで見つけた「喰いまくり会館」という居酒屋に入る。
ランチから夜の部まで通しでやっているようで、一人よりはグループ客向けの大箱タイプの店である。カウンターはなく、2人がけのテーブルに通される。実際来て見ると満席ということはなかったのだが・・。
まずは1日運転の後ということでビールを流し込む。まずアテはいかの塩辛と、大分の郷土料理であるりゅうきゅう(アジ)。さらには串焼きの盛り合わせ。
メニューの揚げ物の部に「チロリン」という文字が見える。何だろう、佐伯ならではのものだろうか。
恐る恐るではないが注文すると、出てきたのは鶏の唐揚げ。さっぱりした味付けで食が進む。「チロリン」とは佐伯独特の呼び名だそうだが、何でまたそういう名前がついたのか。
後日検索したところでは、佐伯には「チロリン」が名物の「ニ八(にっぱち)」という居酒屋があり、その前身である「二十八萬石」という店(県内に何店舗かある)の別府本店の初代オーナーが名付けたのだという。「チロリン」とはこのオーナーが海外に行った際に見つけた村の名前で、響きが可愛らしかったから付けたと紹介されていた。
ここで「二十八萬石」という名前にもひっかかる。別府の繁華街に今もある居酒屋とのことだが、別府は別に城下町でもなく、大分の松平氏もそこまでの石高はなかったはずである。これは米の石高ではなく、別府温泉の一日の湧水量だとか、末広がりの意味が込められているそうで・・。
何だか別の店の話が長くなったが、目の前の料理に戻る。キビナゴの天ぷら、そしてサバの塩焼きと続く。サバは豊後水道で獲れたもの・・だと思う。
酒のほうはビールから焼酎にチェンジ。普段焼酎の水割りはほとんど飲まないが、まあ大分南部まで来たということで、麦焼酎ならいいだろう。グラスは「木挽」のラベルだが、飲んでいるのは「西の星」という麦焼酎。「いいちこ」の三和酒類が出しているものだが、大分の新たな麦の品種「ニシノホシ」を使っているとのこと。すっきりした味わいである。
締めということでメニューを見ると「ごまだしうどん」という文字がある。「ごまだし」とは何ぞやと思いながら注文。これもまた美味かった。ゆでたうどんに「ごまだし」をのせ、お湯をかけるのがレシピだという。「ごまだし」は「チロリン」以上に佐伯の郷土料理、いや家庭料理だそうで、エソやアジなどの白身魚をごまと一緒にすりおろし、醤油などで味付けしたもの。うどんにのせるのがポピュラーだが、お茶漬けや冷奴の薬味や、他にも調味料として使われている。
今回、料理の下調べもしていなかったが、先ほどの臼杵の醤油、味噌とも合わせて、大分南部の味を楽しむことができた。九州八十八ヶ所百八霊場めぐりは翌日の大日寺で大分県がコンプリートするが、よい前祝となった一献であった。
外に出るとすっかり暗くなったが、そのぶん「うまいもん通り」の赤ちょうちんが映えていた。誰かと一緒だったら「もう一軒行こう!」となるところだ・・・。
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