まつなる的雑文~光輝く明日に向かえ

まつなる兄さんのよしなしごと、旅歩き、野球、寺社巡りを書きます。頼りなく豊かなこの国に、何を賭け、何を夢見よう?

鎧から餘部鉄橋を歩く

2011年08月24日 | 旅行記E・関西

Dscn0239鳥取からは13時22分発の浜坂行きに乗車。先ほどからだんだん雲も薄くなり、もうこの後で雨は降らないのではないかという確信に変わる。

Dscn0242鳥取の市街地を抜け、また深い山、そして途中でパッと現れる日本海の風景に目を奪われる。

Dscn0247浜坂からは14時20分発の豊岡行きに乗り継ぎ。こちらも冬場のカニが名物で、私も当時浜坂のユースホステルで行っていたカニづくしのパックで楽しんだことがある。カニの甲羅酒も美味かったよなあ・・・。また冬の日本海を訪れるのが楽しみである。

Dscn0255餘部に到着。昨年架け替えられた餘部鉄橋。橋梁そのものは昨年通過したことがあるが、今日はぜひ降りて、改めて橋の全体を見てみたい。ただここは一度通過する。浜坂側にはかつての橋脚と線路が残されており、それが切れると餘部の集落の眺めが広がる。ただの高架橋を通っているのと同じような感じでしかないが、前を海、両側を山に挟まれた餘部の集落の佇まいは、橋の形が変わっても落ち着いた雰囲気を残しているように見える。

Dscn0260Dscn0263トンネルを抜け、4分ほどで次の鎧に到着。ここで下車する。こちらも駅のホームから静かな小さな港を見下ろす佇まいが好ましい。日本海、山陰という言葉をそのまま絵にしたかのような、私の好きな駅の一つである。宮本輝の『海岸列車』のイメージが強いし、テレビドラマ版の『砂の器』でもこの駅が登場するシーンがある(すんません、『ふたりっ子』は観ていないのでイメージが沸きません)。

Dscn0256この日の後半戦でやろうと思っていたのが、「鎧駅から餘部駅まで歩くこと」である。もちろん、トンネルの中や鉄橋を歩いて渡ることはできない。

Dscn0265ただ、最近見つけた情報で、両駅の間で「たかのすの森遊歩道」というのが整備されているという。道そのものは昔からあり、地元の人たちの生活道路(というか山道)として使われていたものを、橋梁の架け替えに合わせて遊歩道に整備したとのこと。全長で3キロ弱いということで、次の餘部発の列車まで1時間40分ほどあるので十分歩ける。それにしても、うまい具合に天気予報が外れたものだ。

駅から歩いてすぐ、船板を外壁に使った民家の間に遊歩道の入口がある。結構上り坂が続く。沿道はスダジイやアカマツ、ケヤキが茂る。

Dscn0271歩道そのものは一部舗装されているが、あとは砂利道。ちょっとしたハイキング感覚で楽しめるのがよい。他にすれ違う人もなく、セミの声や、時折見かけるチョウのつがいが歩きの友。

Dscn0274遊歩道のピークに来たか。海を見下ろすスポットに出る。手前には線路が顔をのぞかせている。ちょうどトンネルとトンネルの間の区間。こういうアングルがあるのかというのは驚き。知る人ぞ知るスポットだったのだろう。

Dscn0276たかのす展望台に出る。ここも高台の木々を切り開いて展望台として整備されたところ。ここからは、海を隔てた向こうに餘部の駅を見ることができる。両側から風を受けて実に涼しい。

Dscn0278耳を凝らすと、カタコトいう音が聞こえてきた。どうやら鎧方面から列車がやってくるようだ。周りが静かなだけに気動車が線路を刻む音もよく響く。一瞬音が止み、再び音が聞こえた。トンネルを抜けて鉄橋を渡っているところだろう。そして餘部駅に到着した気動車。鉄道模型のレイアウトを上から眺めているかのようである。

Dscn0285うーん、こういう餘部の楽しみ方もありってことか。

Dscn0289ここからは下りに入る。その間にトンネルの上を通ることになり、続いては五反畑展望所に出る。こういう角度から鉄橋を見るのも、私としてこれまでなかったアングルである。

Dscn0291ここまで来ると餘部の集落は近い。ちょうど1時間ほどで到着。改めて、新旧の橋梁を観察してみる。

Dscn0294Dscn0298Dscn0304

Dscn0309Dscn0312Dscn0310 こうして見ると、やはり元の橋梁がなかったらただのコンクリート橋にしか見えない。その意味で、一部とは言え近代産業化遺産として橋梁を残すことにした関係者の判断は正しいと思う。当時の鉄道を通すこと、これだけのものを建造した技術については後世まで受け継いでいく必要があるだろう。

Dscn0313いい汗をかくことができ、もう一登りして餘部駅に到着。将来的には鉄橋と合わせて観光スポット的なものがつくられるという話であるが、日本海を見下ろすこの素朴な風情を損なうことのないように願いたいものである。あまり派手なものは、似合わない。

Dscn0320やってきた16時16分発の列車に乗り、再び餘部鉄橋を渡る。そして鎧駅も過ぎ、そのまま東へ。二つの駅の訪問は大変充実したものになった。ただ、さすがに汗をかいたなあ・・・・。

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