現在熱戦が繰り広げられている大相撲名古屋場所。10日目を終えて、横綱鶴竜が全勝をキープ。前日逸ノ城に金星を配給した白鵬が1敗で続き、以下2敗で髙安らが追う展開である。また、今場所の取組で古傷が悪化して休場となり、来場所の幕下陥落が避けられなくなった安美錦が引退を表明した。
・・・西国四十九薬師めぐりの記事なのになぜいきなり大相撲の名古屋場所の話題なのかだが、今回は一度のお出かけでこの二つを一緒に回ったためである。
先に予定が決まっていたのは大相撲のほうである。話は5月までさかのぼるが、これまで名古屋場所を生で観戦したことがなく、どんなものか一度行ってみようということで、相撲協会公式サイト「チケット大相撲」での選考抽選販売にて、7月13日~15日の連休中のチケットを申し込んだ。すると9日目の15日、マス席C(一人用)が当選した。ということで7月15日を観戦日として、前日の14日は名古屋近辺の乗り鉄、町歩きでもしてそのまま名古屋に宿泊と決めた。
ただ6月になると、7月13日~14日に出張業務の予定が入ることになった。これは15日当日に新大阪から朝一番の新幹線で名古屋へ移動である。私の場合、相撲を生で観戦するなら朝から会場入りして序ノ口から弓取式までと決めているので(もちろん、途中で食事や買い出しなどで席を外すため取組全部を見るわけではないが)、8時頃には会場に着いておきたいところだ。となれば近鉄特急では間に合わず新幹線となる。
ところが事情が変わり、7月に入ってから、13日~14日の出張業務の予定がなくなった。ならば当初の予定どおり、前日から名古屋入りしようかと思う。そこでふと思ったのが、ここに西国四十九薬師めぐりをくっつけてしまおうというものである。
前回、6月29日に第8番の室生寺を訪れて、ここで出たくじ引きとサイコロの結果は「三重編」。第33番の石薬師寺、第44番の四天王寺である。四天王寺といっても大阪のそれではなく、津にも四天王寺という名前の寺がある。この2ヶ所は大阪から日帰りでも十分回ることができ、6月末の時点ではいつ行くかこれから考えようという状況だったが、今回名古屋まで行くのだからとそこにくっつけてることにした。宿泊は名古屋でもよいのだが、この時点では適当なホテルも見つからないのもあって、初めて泊まる街である津で駅前のホテルを予約した。6時台の近鉄に乗れば8時すぎには名古屋入りできそうだ。こうなれば新幹線に乗らずとも「週末フリーパス」で往復に近鉄を使えば、13日~15日の3日間、4100円で乗り放題となる(特急券は別払い)。
さて、それぞれの札所へのアクセスである。このうち四天王寺は津駅から徒歩10分ほどで行けるとあるが、気になるのは石薬師寺である。案内によると最寄駅はJR関西線の加佐登もしくは河曲とあるが、駅からもそこそこ距離がありそうだ。もう少し調べてみると、近鉄鈴鹿線の平田町駅と近鉄四日市駅を結ぶ三重交通のバスが見つかった。おっ、近鉄使えますやん。石薬師寺へは途中の上田口、もしくは佐佐木記念館のバス停から歩いて5~10分ほどで行けるようだ。このように札所への公共交通機関ルートを見つけるのも、私の札所めぐりの楽しみの一つだ(・・に止まらず結構なウエイトを占めているようだ)。
ただネックとなるのはそのバスの本数で、平田町から四日市に抜ける便は双方向とも日中2時間に1本しかない。平田町から石薬師に行って折り返すなら現地で1時間弱の滞在となる。寺に行くだけなら1時間足らずでも十分で、大阪近辺ならそれだけで次に行っても特にどうとも思わないだろうが、ここについてはなぜか「2時間では長いが1時間足らずでは収まらない」のではという気がした。まあ、四日市に抜けて行程に変化も生じるし、仮に石薬師で時間が余っても致し方ない。
そして出した行程は、平田町8時45分発のバスに乗って12分ほど走った佐佐木記念館のバス停で下車して石薬師寺に参拝し、10時45分発のバスで近鉄四日市に抜ける。そして近鉄名古屋線で津まで南下して四天王寺に参拝して、そのまま津に宿泊とした。
これだけなら13時すぎには2ヶ所を回り終える。何なら、2時間後のバス(佐佐木記念館から四日市に乗る予定のバス)から始めても夕方までに回り終えることができるが、やはり朝早く出ることにする。今回の目的地である薬師めぐりを早く済ませて、そのぶん津での時間を生み出そうとしたからだが、その様子は後ほど書くことにする。
また大相撲の観戦記は西国四十九薬師めぐりとは別のカテゴリで、この薬師めぐり時系列の続きで書くことにする。別に相撲ブログではないのだから、大相撲の記事に速報性がなくてもかまわない。
・・・ということでいつも以上に前置きが長くなったが、7月14日、6時30分発の名古屋行き特急に乗るために大阪難波駅に現れる。大阪難波から近鉄特急に乗るのも久しぶりである。
この列車でまずは津に向かう。列車は名阪ノンストップではないがアーバンライナーの車両で、途中停車しながら伊勢に向かう。
津に到着。ここでいったん改札を出て、コインロッカーにキャリーバッグを預ける。この日は津に戻るのだからこれはあり。
実は、津で改札口を出るのは初めてである。これまでの鉄道旅で何度も通っているし、三重県内の他の主要な市で宿泊したこともあるが、なぜか津は降りたことがない。この日の宿泊を津にしたのは、県庁所在地ながら影が薄いようにも見えるこの地に足跡を残そうというのが大きい。単に名古屋場所だけ考えるなら、名古屋は厳しいとしてももう少し近い場所に泊まればいいわけで。
ホームに戻ると、反対の伊勢中川方面のホームに、クラブツーリズムの団体専用列車「かぎろひ」号がドアを開けずに停車していた。時間調整だろう。中を見るとそれほど多くの客がいるわけではなかったが、この先向かうのは伊勢から志摩か、はたまた大阪か。
そのまま後続の急行に乗る。転換クロスシートの車両で、この線ではロングシートとクロスシートが混在する中、移動環境としてはよい。
伊勢若松に到着。ホーム向かいに停車中の平田町行きに乗り継ぐ。路線図だけ見れば終着駅に短く延びる「盲腸線」だが、実は鈴鹿市の中心部はこの沿線にあり、終着駅の平田町からはホンダや旭化成の鈴鹿工場が近い。以前に「三重県内サイコロの旅」でも少し歩いたところだ。
列車が平田町に着いたのが8時42分、改札口を出るとちょうど8時45分発の近鉄四日市行きバスが入ってきた。乗り遅れると2時間待ちなので慌てて乗り込む。乗客は他にいなかった。
バスは旭化成の工場や鈴鹿高校の前を過ぎ、鈴鹿川を渡る。その向うに延びるのは国道1号線。いうなれば東海道だ。JR関西線の加佐登駅も遠くに見える。そのまま国道1号線を走り、石薬師寺の最寄のバス停である上田口、さらに佐佐木記念館でも下車せずそのまま乗る。降りたのは佐佐木記念館の次の石薬師バス停である。
石薬師は東海道五十三次の宿場町の一つである。ただ、近年人気の旧東海道ウォーキングとか、かつての宿場町を訪ねて昔の風情を感じる・・・という類のテレビ番組や紀行文を通してもさほど有名ではない。ちなみに石薬師の東の宿場町は四日市、西の宿場町は庄野とされている。
目の前の国道1号線はひっきりなしにクルマが通るが、はて、宿場町の面影はあるのだろうか。西国四十九薬師めぐりとしての石薬師寺は少し離れているが、果たしてそこまで無事にたどり着けるか。意外な展開になったなと思いつつ、まずは宿場町・石薬師を一通り歩くことに・・・。
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