まつなる的雑文~光輝く明日に向かえ

まつなる兄さんのよしなしごと、旅歩き、野球、寺社巡りを書きます。頼りなく豊かなこの国に、何を賭け、何を夢見よう?

第3回中国四十九薬師めぐり~新見の秘境駅を訪ねる

2021年10月19日 | 中国四十九薬師

中国勝山の町並みを見た後、姫新線に沿って新見に向かう。線路もそうだが、並走する県道も細々としたもので、同じ県内でも美作から備中へと旧国境を越えるところである。中国自動車道も寄り添ってきた。大佐サービスエリアから新見インターにかけての区間である。

急に周囲が開けて、新見駅に到着した。いったん駅前の駐車場にクルマを停めて小休止。

新見を含む備中国は衆議院議員の選挙区でいえば岡山5区、加藤官房長官の地元である。この日は9月26日、自民党総裁選挙の前だったので当時の肩書で書くが、菅首相、加藤官房長官の2人が並ぶポスターが駅周辺のあちこちにも掲示されている。この日の時点では自民党総裁選挙の行方はまだ混沌としていたが、結果として岸田総裁となった。新内閣の顔ぶれについてはいろいろ言われることもあるだろうが、私個人としては、加藤官房長官、そして西村経済再生大臣の二人が閣外に去ったことは大いに評価したいと思う。

この記事を書いている10月19日は総選挙の公示日。与野党ともにモノ申したいところはいろいろあるし、特に広島県は政治とカネのことで全国の笑いものになっているところ。とりあえず投票には行きましょうや。

・・・話がそれた。

新見から中国自動車道に乗ればいいのだが、せっかくクルマで来たこともあり、ふと、あるところに行ってみようと思った。それが、新見から1駅米子寄りの布原駅。

布原駅はもともと信号場として設置されたが、後に仮乗降場となり、国鉄分割民営化とともに正式に駅に格上げされた。駅としては伯備線に属するが、停車するのは芸備線の列車のみである。乗客がほとんどいないために芸備線の列車で対応可能とされ、伯備線の列車は通過扱い(行き違いのために停車することはあるが、ドアは開かない)となっている。

そんな布原だが、これまで通過、停車したことはあっても乗降したことはない。そこで、この機会を利用して、乗降しないとしても駅に行ってみようと思う。

布原駅にカーナビをセットする。県道の細道に誘導され、それに従って進むが、途中で案内が終わる。カーナビの地図が途絶えているためだ。そこは実際の道路と、方角の見当をつけてたどっていく。ちょうど林の向こうに駅の姿を見下ろすことができ、坂道を下っていく。

2~3軒の民家がある。そのうちの1軒では畑に牛の姿が見える。この牛たち、日々伯備線や芸備線の列車を眺めているのだろうが、列車に乗っていて、ここに牛が飼われているとは気づかなかった。

細い橋を渡り、布原駅のホームにクルマを横付けする。もちろん駐車場のスペースがあるわけではなく、路肩に寄せるだけだ。初めて、この駅のホームに足を踏み入れる。いわゆる「秘境駅」の中でも全国ベスト30位以内に入る駅である。

単線の伯備線、芸備線にとってここに信号場があることはそれなりのメリットはあるだろう。ただ、駅としては・・・。利用客として見込まれるのは周囲の数軒の家の人たちと思うが、実際利用している人はいるのだろうか。公表されている1日平均の乗車人員は年度によって0~1人とあるが、その1人とは地元の人ではなく、物珍しさで乗降した「その筋の人」かと思われる。

次の備中神代にも行ってみる。坂道を上って県道の細道に出て、そのまま向かうと到着した。先ほどの布原に比べると人家もそこそこあり、一般の方からすれば「何もない駅」なのだろうが、布原のような「秘境駅」ではない。

備中神代というと、宮脇俊三の「最長片道切符の旅」で、駅前にホルモン焼き屋の看板を見つけたという一節が思い出される。この日、朝から何も食べておらず乗り換えの時間で食事を・・・という状況で、備中神代で見つけたのがホルモン焼きという。しかし、店の様子が「石灰岩でも掘ったあとで焼酎をひっかける店」ということで入ることはなかったそうで・・。まあ、今となってはそれがどの家なのかはわからないが。

何の気なしに時刻表を見ると、あと数分で伯備線の新見行きの列車が来るようだ。列車の姿だけでも見るとするか。地元の人らしい女性が自転車で乗りつけて、やって来る列車を待つ。

そしてやって来た15時46分発の新見行きは・・・キハ120の単行。姫新線、芸備線を走るキハ120が、1日1往復、電化区間の米子まで出稼ぎする。その折り返し便だ。青春18きっぷの時季でもなく、1両の気動車でもガラガラの状態。ホームにて列車を見送る。

そしてその6分後、今度は芸備線の備後落合発新見行きがやって来る。備後落合~東城間は1日3往復という過疎区間だが、その3往復のうちの1便である。もう少し時間が後だったら、布原で停車するこの列車に出会えたわけだが、それは仕方ない。別に狙っていたわけでもないし・・。

跨線橋に立って、西からやって来る芸備線の列車を見る。こちらも青春18きっぷの時季ではないためか、ロングシートにも十分な余裕があるようだった。列車から数人降りてきて、このうち2人は駅前に停めていたクルマに乗り込んだ。わざと備中神代にクルマを停め、芸備線の往復を楽しんだのかな。

ローカル線、秘境駅といえば芸備線のこの先の区間が気になるが、この日はここで終了。東城、新見どちらのインターから乗るのが近いのかなと思案したが、カーナビは新見に戻ることを選択。あとは高速道路に身を任せる。こちらも山陽自動車道と比べればローカル自動車道の風情にあふれるのだが・・。

七塚原サービスエリアに到着。早めの夕食として、サービスエリア併設の松屋で牛めしをいただく・・・。

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