北方四島交流センター「ニ・ホ・ロ」を出て、また強風に吹き飛ばされそうになりながらクルマに戻る。それでも少しずつ雲が晴れてきたようで、早朝に根室に向かった時の天候を思えば少しは柔らかくなったコンディション。
根室が発祥という回転すしの「花まる」で昼食とした後、市街地をさらに西に抜ける。温根沼というスポットに出るが、するとどうだろう、海上の彼方まで氷に覆われている。これでは当然船も出られず、陸に上がったままだ。流氷?まさかね。
春国岱に近いネイチャーセンターに立ち寄る。春国岱のあたりは野鳥の観察スポットとして有名なそうで、自然に関する展示がいろいろとある。ガラス越しに根室湾の風景も見えるのだが、係の人によれば、2~3日前までは海岸線がすぐそこだったらしいがこの1~2日で一気に凍結してしまったとのこと。おまけにこの強風では野鳥も身をすくめて出てこないだろうとのことだ。北国の春はいまだ遠い。
本当はもう少し遠くに出ようと思ったのだがここで折り返し、半島を横切って今度は太平洋岸の花咲漁港に出る。「花咲ガニ」「花咲線」の花咲である。ここの灯台の下に、天然記念物にも指定されている車石というのがあるそうだ。
灯台の駐車場には人の姿もなく、またも横殴りの強風である。このまま吹き飛ばされて海に落ちても誰も気づかないだろうなというくらいのものだ。それでも遊歩道の階段を下り、車石と対峙する。長い風雪の成果、車輪型というのか、扇形というのか、細かく刻み込まれた岩である。それにパウダースノーが乗っかっているところは、何だか甘党の好みそうな食物に見えないこともない。
この車石が対峙するのは太平洋。荒波が容赦なく襲いかかってくる。こちらも写真だけ撮って早々にクルマに戻る。気候的に実に厳しい時期に来てしまったものである。
ただこの車石海岸は根室市街のはずれという位置で、納沙布岬ほどの寂しさはない。クルマを走らせるとすぐに郊外の町並みに出会う。その中をしばらく走り、カーナビの指示で住宅地に踏み入れると、その間に立つのが日本最東端の駅・東根室である。
列車の終点は根室駅なので、どうしてもそちらが日本最東端と思いがちだが、花咲線の線路は東側から回り込むルートとなっており、その東側にあるのが東根室駅である。ホームは1本きりで駅舎もないが、「日本最東端の駅」の碑は誇らしげに立っている。ものの本の写真などでは原野の中にぽつんと立つ駅であるかのように見えたものだが、改めて訪ねてみると少なくとも駅の東側は完全な住宅地だ。それとも、これより東の岬を訪ねた後だけにそう見えるのか。
このあたりでそろそろレンタカーの返却時間が近づき、根室駅に戻る。風はきつかったが猛吹雪で立ち往生することなくてよかった。
列車の時間までに駅前の観光センターの土産物コーナーを物色していたら、海産物やお菓子に混じって、ロシアのポップスを納めたCDやら、サハリン政府が発行した千島列島の地形図なんてのも売られていた。ロシアのポップスといやあt.a.t.uってことになるのだろうが(ってあの二人は今どうしているのやら)、それはともかく、千島列島の地形図というのが面白そうだったのでこちらを買い求める。で、中を見ると、サハリン州政府が作成するのだから、自国の領土として北方四島も当然描かれている。また地名表示や解説はロシア語および英語である。どちらで書かれていても意味がさっぱりわからないのだが・・・。これって、日本に旅行で訪れた西洋人が、意味はわからないが漢字をプリントしたTシャツなどを面白がって購入していくのと同じ発想か。
夕方の列車に乗り、釧路に戻ることにする。北の大地にもそろそろ日が暮れようとしている。JR線の乗りつぶしとしてはすでに完了している区間だが、それには関係なくまた訪れてみたいところである・・・・。
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