まつなる的雑文~光輝く明日に向かえ

まつなる兄さんのよしなしごと、旅歩き、野球、寺社巡りを書きます。頼りなく豊かなこの国に、何を賭け、何を夢見よう?

静岡浅間神社と「ちゃっきり」

2019年08月11日 | 旅行記D・東海北陸

駿府城から少し行くと大きな鳥居がある。浅間(せんげん)通りということで、静岡浅間神社の参詣路で、両側には商店が並んでいる。

山田長政の像がある。江戸時代初め、シャム(現在のタイ)の日本人町を中心に活躍した人物である。彼の出身がこの駿府とされており、沼津藩主の大久保忠佐の駕籠かきをしていたが、朱印船に乗ってシャムに渡った。現地では傭兵部隊に加わって頭角を現し、日本人町の頭領となり、やがては地方の王に任じられるまでになったが、それに不満を持つ勢力の手により毒殺されてしまう。その後日本人町の勢力は衰え、鎖国政策もあって滅びてしまうのだが、戦国の気風を残す武士たちが最後にもう一旗をと夢見たのがシャムだったのかもしれない。

正面に鳥居が見える。石柱には「大歳御祖神社」とある。静岡浅間神社は地元では「せんげんさん」として親しまれているが、浅間神社、神部神社、大歳御祖神社の三社の総称である。

大歳御祖神社は応神天皇の頃に鎮座したとされ、神大市比売命を祭神として、農業・漁業・工業・商業など産業繁栄の神として信仰されている。

そして浅間神社、神部神社という二社に出る。正面から見て左手の浅間神社は木之花咲耶姫命を祀っており、平安時代に現在の富士宮の分霊を勧請したものである。右手の神部神社は大己貴命を祀っており、崇神天皇の頃に鎮座したこの地方で最も古い神社とされている。駿河国の魂の大神を祀る総社でもある。

他にも八十戈神社や少名彦神社などが建ち、合計7つの社を回ると境内を一回りとなる。各社にはスタンプがあり、これをラリー感覚で集めることもできる。

楼門もあるのだがこちらは改修工事中。

浅間神社(総称として)は古くから朝廷、武士たちからの信仰を集めている。今川氏も氏神として祈願を行っているし、徳川家康が元服した(当時は松平元信)のも浅間神社だという。そのこともあって江戸時代には幕府の祈願所として2千石の領地を持っていたそうだ。見どころは大拝殿で、天守閣のてっぺんを切り取ったような形をしており、朱塗りの柱に数々の装飾が施されている。当時は日光の東照宮に次ぐ美麗な神社と評されたそうで、江戸時代当時の、というより徳川家の趣向なのかなと思う。

今回は神社に手を合わせただけだったが、実はこの奥に賤機山(しずはたやま)という山が続いており、山じたいに神が宿るとして信仰されたのが浅間神社全体の始まりとされている。今の「静岡」の地名も、賤機山から来ているのだとか。

境内の一角に文化財資料館があり、かつて武将たちが奉納した武具などが展示されているという。ただこの日は、何となく浅間神社に来たということもあり、資料館の存在には気づかなかった。お参りを一通り終えると、暑いということもありそのままバスに乗って駅まで戻ってきた。

さてここから静岡の「味」である。時刻は15時を回ったところ。帰りの乗り継ぎの時間を考えると17時には静岡を出ることになるので、要は昼飲みである。さすがは県庁所在地、土日ということもあってかそういう受け皿もちゃんとある。

その中で駅北口の「ちゃっきりや」というのを見つける。年中無休、毎日14時から開いているそうだ。メニューにも静岡ものがいろいろ並んでおり、初入店のこちらに決める。テーブル、座敷がメインの店だが大勢の人で賑わっている。店員の声も元気だ。静岡の人もこんなに昼飲みをするのかな。空いていた入口のところの小さなカウンターに陣取る。この後も入店があってカウンターも埋まり、15時すぎにして早くも満員御礼となった。

日中暑かったぶん、生ビールのジョッキが気持ちいい。まずはこれで一息つく。

おすすめということでカツオの刺身、沼津産アジのなめろうをいただく。こちらのほうに来るとこうした魚が美味いイメージがあるが、結構なものだった。

メニューに桜えびと生しらすがあるが、これは春もののイメージである。果たしていずれも「生」はやっていないそうだが、代わりにメニューにあったのが生しらすの塩辛。これは初めての味だったが、こういう保存方法、食べ方があるのかと感心した。ビールもそうだったが、ご飯も進みそうだ。静岡駅でも売っているかなと帰り際に探してみたが残念ながら見つからず。

焼き物は黒はんぺん。そしてここで静岡名物の緑茶割りにスイッチする。緑茶割りは「しぞーか割り」とも呼ばれるが、この店では店名にあるように「茶っきり」と呼んでいる。注文すると店員が大きな声で「茶っきり!」と通し、そしてすぐに出てくる。他の店で緑茶割りを「茶っきり」と呼んでいるかどうかは知らないが、「ちゃっきりぶし」という民謡もあることだし、そこからいただいた呼び名かな。

この緑茶割り、茶っきり、飲みやすくてついつい普通の緑茶を飲んでいるような感覚になる。

そして仕上げにおでんの盛り合わせ。他にも気になるメニューはあったが一人ではこの辺りが限界。グルメサイトでは料理の味についてはさまざま意見が挙がっているようだが、一通りのものを無難に、かつ地元店(全国チェーン居酒屋ではないという意味で)でいただけるとして、予備知識なしで入れてよかったと思う。次に静岡に来た時にものぞいてみたい。

店を出て静岡駅で土産物を物色したところで時刻は17時前。まだ日は高いが十分満足したところで大阪に向けて戻ることにする。帰りは17時02分発の浜松行きから再び乗り継ぎとなる・・・。

   
   
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