鈍想愚感

何にでも興味を持つ一介の市井人。40年間をサラリーマンとして過ごしてきた経験を元に身の回りの出来事を勝手気ままに切る

40年ぶりの訪問

2006-11-30 | Weblog
 昨日12時にかねて約束のあった大学時代の先輩のYさんに会いに、朝日新聞社を訪れた。前日からの下痢がまだ治っていなかったが、こちらから申し入れた約束を破るわけにはいかないと自ら鼓舞して出かけた。Yさんは大学時代のサークルの1年上で、大学時代は関東学生連合の会長で華々しく活躍した猛者であった。会社の先輩の友人ということで、10年くらい前にサークルのOB会に声をかけてもらって行った時に顔を合わせて以来のことになる。何かの名簿で同じような仕事をしていることを知り、電話をかけて久し振りに会うことにした次第である。
 朝日新聞社のを正式に訪問するのは40年前にマスコミ希望者として、違う先輩を紹介してもらい、まだ朝日新聞社が有楽町に本社を構えていた頃に確かアサヒグラフの編集をしていた人に話を聞いた。だから、築地へ移ってからは初めてである。時間があったので、新橋から歩いていったが、汐留の方から大回りして正面玄関から入り、受付で来意を告げると、女性が「伺ってます」とすでに記入した受付票を渡してくれ、「しばらくお待ち下さい」と側の椅子に座るよう指示された。
 3分ほどで現れたYさんはすっかり額が上がり、年齢なりの風貌となって、貫禄もついていた。お互いに久闊を叙し、さてランチをとなり、「実はお腹の調子が……」と言い訳し、やさしい食べ物を所望した。目当てのお店が満員で、やむなく和菓子屋の2階の和食店へ行く。メニューをみると、和定食と鴨うどんとある。鴨は食べるわけにはいかないと、和定食を選んだが、ごはんが赤飯でどうもお腹にやさしいとはいえなかった。結構、食べてしまったあとで、帰ってきて、太田胃酸を呑んだが、お腹がゴロゴロいって、折角治りかけた下痢が再び元に戻ってしまった。
 Yさんとはランチの後、朝日新聞社本社2階にあるロビー喫茶店でお茶を飲みながら、学生時代の話から、いまの仕事に至るまでざっくばらんに話し、楽しい一時を過ごすことができた。今回は特に聞こうと思っていた案件があったわけではなく、永らく会っていなかったのを半ば解消して、今後お互い何かあればすぐに連絡が取れるようにしておこう、とのならいだったので、そのならいは果たした、と思う。
 会社に戻ると、案の定、お腹の具合は悪化する一方。帰る頃にはすっかり元通りになってしまった。家では再び、1時間ごとにトイレですっきり、を繰り返した。かみさんには赤飯とはいえず、ご飯を食べた、と言ったら、「そんなことをするから」とあきられた。全く、我ながら、何回やっても懲りない輩でうんざりする。
 考えてみると、このところ、まだ完治していない50肩、それに下痢、もうひとつ仕事上のトラウマみたいなものと三重苦が重なって、どうもさえない状態が続いている。この1年くらいいいことが続いていたので、こうした形で反動というものが来るものなのか、とも思ったりしているが、どこかで、”お払い”でもしないと局面を打開する術はなさそうだ。
 
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夫婦そろってフーフー、卵恐い

2006-11-29 | Weblog
 健康を実感したばかりなのに下痢でダウンしてしまった。しかも夫婦そろって、昼間から枕を並べてフーフーとうなっているのだから、神様も皮肉なことをしてくれる。事の発端はハーベスト伊東への帰りに丁度、お昼時になったので、どこかでランチをとろう、ということで、2人で最近駅前にできたばかりのラーメン店に入った。一見カフェを思わせるモダンな作りの店内で、ふと見渡すと、隅に食券の自動販売機がある。お店の名前をつけたラーメンが1200円とちょっと高いかな、と思ったが、ものは試しと2枚購入した。出てきたラーメンにはチャーシュー、海苔、茹で卵と豪華絢爛で、味も良かった。ただ、卵が温泉卵のような半熟卵で一瞬いやな感じがした。
 で、翌朝、まずかみさんが下痢と嘔吐でダウンした。いろいろあって疲れたのだろう、と思って、その日は会社に出たら、昼過ぎからお腹がムカムカしだした。帰って、簡単な食事をして、寝ると夜中から強烈な下痢が始まった。1時間に1回は下痢で起こされ、寝てても寝た気がしない。熱を計ると37度4分と微熱で、タオルで頭を冷やす。当然、会社は休む旨、メールを入れる。少しは回復したかみさんも横でお休み、夫婦そろってのダウンなんて初めてのことだ。
 となると、あのラーメン店の卵があやしい。医学書を引くと、鶏のサルモネラ菌
が卵に混入していたのだろうか。卵のしては黒ずんでいて、日にちが経っているような感じがした。口の中へ入れてから、おかしいと思ってももう手遅れである。お客の回転のいい店を選んで行くしかないのかもしれない。
 まんじゅう恐いならぬ卵恐いである。かみさんが食中毒になるのは初めてのことである。それにしても1日早く反応が出る、というのはそれだけ胃腸の吸収がいい、ということである。鈍想愚感子はこの1月にも新橋演舞場の幕間に食べた弁当であたって、食中毒になっており、軽いものならしょっちゅう起こしている。
 夕方になって、会社から携帯に電話が入ってきた。聞けば、連絡を入れた秘書の女性も具合いが悪くて休んでいて、メールを入れたもののその内容が全く伝わっていなかったのだ。それでも仕事に全く支障がなかったみたいなのは幸いであったが、そんなこともある。
 ハーベストへ行った帰りにトラブルになるのは4年くらい前にハーベスト明神平へ行った帰りに脱水症で高熱を発して以来のことで、温泉に行くと抵抗力がなくなるようなことでもあるのかもしれない。ご用心、ご用心である。
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自民党よ、復帰11人の政党助成金を返上しろ

2006-11-28 | Weblog
 郵政民営化反対の造反議員11人の自民党復帰がほぼ本決まりとなった。安倍晋三首相はこれで自民党が古い自民党に戻るようなことはない、と頓珍漢なことを言っているが、刺客議員は相変わらず反対を唱えており、自民党内部にも今回の中川秀直幹事長の対応を遣りすぎだ、と眉をひそめる向きも多く、当分この余波は続きそうだ。安倍が物事をきちんと仕切る政治家であにことがはっきりしたわけで、意外というか、予想通りというか、短命に終わる可能性が高まってきた。造反議員の復党を不透明なものに見せているのが、政党助成金だ。自民党はこの際、復党11人の分の政党助成金2億5500万円を返上すべきだろう。
 政党助成金は政党交付金とも言われており、19994年に成立した政党助成法に基づいて交付されている。国民1人当たり年間250円を各党に交付している。国会議員の数に比例して交付されることになっている。今年1月18日に確定した各党への交付金は自民党が168億2700万円、民主党が104億7800万円などとなっており、新党日本まで総額319億2400万円にものぼっている。共産党はこの制度が支持していない政党に強制的に献金させられもので、国民の思想・信条の自由を侵すものと批判して、当初から受け取りを拒否している。
 今回の復党のならいがこの政党助成金を増やすことにある、との見方は根強くある。政治家としての筋を通すだの、情をかけるばきだとのとの議論がさんざん行われてきたが、一皮めくって本当のならいが政党助成金にあった、というのでは観客が引いてしまう。
 政党助成金制度はすでにあるのだから、一切もらうな、などということは言えないだらおう。ただ、今回の復党11人については政党助成金ならいではない、というのなら、この際返上すべきだろう。そうすれば、事態がすっきり見えてくる。
 政党助成金といっても元は税金である。返上すれば、その分他党にいってしまうのが癪ということなら、2億5500万円を国民のだれにもわかる公正で、かつ創造的な事業に投じてほしい。わけのわからない飲み食い費に使われるようなことだけはやめてほしい。
 300億ものお金が一体、何に使われているのか、国民はこの際、追及して、各党から公表させるようにしたらいい、と思う。
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健康は気からを実感

2006-11-27 | Weblog
 このところ朝起きてからトイレに行き、出てくると胃ケイレンでひっくり返るようなことが度々起きて、多少健康に不安を持ち始めた。かみさんにも言われ、総合病院で一度見てもらおう、という気になって、先日、かかちつけでもないが、よく罹っている高津の帝京大学医学部付属病院へ行った。3年ぶりなので、勝手がわからなくて、内科の受付の前にある診察券入れのボックスに診察カードを入れて、本を読みながら待っていた。午前8時30分になって、窓口が開くと一斉に列が出来て、順番に看護婦の指示を受け始めたので、並んで見ると、初診のアンケートを書くように指示された。アンケートに胃ケイレンか、と書いて出すと、紹介でない場合は初診料2100円也を徴収することの同意を求められる。断れるものでもないので、同意するが、医療費の患者負担はこういう形で増える傾向にある。しばらくして、尿検査をするので、尿を取るように言われた。それが終わると、診察室1番の前で待つようにとのこと、番号はなんと1番だった。
 もともと、20年来の腎臓結石持ちで寒くなると、恒常的に石が転がり落ちる体質で、毎年2月に定期的に受ける人間ドックのエコー検査で、毎度腎臓に石があることが指摘される。冬は結石の痛みで、お腹が痛くなるのは慣れている。だから、2年前の寒い時に胃ケイレンのような痛みが発した際に、結石かな、とも思ったが、部位がやや上なのと痛みがやや軽いので、結石とは違うのかな、と思っていた。冷えるのがよくないと判断して、早速、渋谷の東急ハンズで小型の電熱器を買って、トイレに設置した。それでも、以前は数か月に1回だったのが、最近は月に1回くらいに増えてきたので、つい弱気になってしまった。
 看護婦さんに名前を呼ばれ、体温を計るように言われ、腋に体温計をはさんだら、しばらくして診察室に呼ばれ、ドアを開けて中へ入ると、若いインターンらしき男女が狭い診察室の椅子に座っている。先輩医者の診察ぶりを実地に学ぼうという感じで、黙って見つめられると、ちょっとやりにくい雰囲気。見たところ30代の医者に病状を聞かれ、胃ケイレンの具合いを正直に話す。尿のなかに血液が混じっていたことからして、やはり腎臓結石の疑いが濃い、とのことだ。もし、他の病気なら食事の後とかの場合が多い、という。とりあえず、痛みが」出た時に飲む痛み止めの薬を処方してもらった。
 それを聞いて、まず安心した。他の恐ろしい病気ではないか、と懸念していたのと、腎臓結石なら対応の仕方を心得ているからだ。一歩、病院の外へ出たら、急に元気になってきたような感じがした。よく病は気から、というが、その逆の健康も気からを実感した次第。
 まだ、時間はたっぷりあったので、渋谷へ出て、銀行や旅行代理店で用事を済ましたあと、本屋で本をあさったり、街をぶらついて気を晴らし、昼になったので、通りかかったところにあった「スープストック東京カフェ」でランチを摂りながら、ふと周りを見渡すと、若い女性ばかりで、男は1人だけだったので、思わず女性専用のレストランに紛れ込んだのではないか、と看板を確かめたほどだった。幸い、そうではなく安心したが、女性の社会進出でそのうちにそうしたレストランも増えてくるだろう、のも健康のなせる技か、と思った。
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ガバナビリティ問われる安倍首相

2006-11-26 | Weblog
昨年秋の総選挙で郵政民営化に反対し、造反派との烙印を押され、自民党を離党した12人の衆院議員の復党問題が大きな焦点となってきた。反省文の提出など4つの条件を出すなど筋を通す中川秀直幹事長と情において世論を味方とする平沼赳夫元経済産業相とが真正面からぶつかり、お互いに一歩も退かない構えをみせている。復党を急ぐ背景には政党助成金や、来年の参院選挙へ備えての生臭いねらいも見え隠れするが、ここまでこじれると個々の政治家の資質が浮き彫りとなってきて、自由民主党あげての問題となってきた。要は安倍首相がどう捌くか、にかかってきた。
自民党造反派の復党問題はそもそも小泉前首相が種を蒔いた。年間100を超える法案が通るのにたった一つの郵政民営化法案だけで造反云々というのはおかしい、という声がある。それでも小泉劇場の演出でマスコミも世論もそれに乗せられてしまったのも事実。12人のうち11人は当選後は郵政民営化法案に賛成票を投じているので、これら11人を復党させるのになんら問題はないのだが、造反派12人の代表を勤める平沼赳夫議員だけは相変わらず郵政民営化法案に反対の意を表している。平沼議員がここで郵政民営化賛成に回れば、政治家としての姿勢を問われ、政治生命を失うことにもなりかねない。
一方、安倍首相からこの問題を一任されていると自負する中川幹事長も党のメンツを盾に筋を通すことにこだわっている。政治資金の集まりではいまやトップクラスだし、一部では次期首相の噂さえ出ていて、往時のスキャンダルなどどこ吹く風との思いの中川幹事長は平沼ごときになにするものぞ、との思いでもあるのだろう。
一説には造反議員が年内に復党すれば、自民党に政党助成金が2憶7千万円余入るのだ、という。それと、来年7月の参院選挙で民主党に勝つには造反議員の票が必要だ、ともいう。当該の自民党の参院議員にとっては死活問題ではあるが、そうなると次の衆院総選挙では刺客候補として当選した議員にとっては落選ということになる。
平沼議員は25日に地元の岡山で開いた後援会で、後援者から支持をとりつけ、次回の総選挙でも無所属で立候補する決意を固めたようで、明日27日午前中までの復党願い提出の締め切りも無死する構えのようで、そうなると、自民党執行部は顔が立たなくなる。
 最大の責任は後のことを考えずに突っ走った小泉前首相と提灯持ちの武部勤前幹事長にある。ただ、前任者を責めても事態は解決しないので、ここはその後を継いだ安倍首相が裁くしかないだろう。安倍首相は今頃になって「造反派は統一会派を作ればよかったのだ」とあさってのようなことを言っているが、きちんとケリをつけないと今後の政局に関わってくる。中川幹事長はじめ党役員、閣僚のほとんどが先輩議員で、親の威光で総理の座に就いたのか、実力で勝ち取ったのか、どちらかはっきり見せてほしいものだ。
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火中の栗を拾った森喜朗元首相

2006-11-25 | Weblog
 問題政治家、森喜朗元首相がまたぞろミソをつけた。事もあろうにこの21から22日に台湾を訪れ、夫人の親族の公金横領で野党から罷免決議を出されて苦境に立っている台湾の陳水扁総統と会談に及んだのだ。台湾当局から勲章をもらえるということで、のこのこ出かけたようである。日本の新聞テレビはほとんど報道していないが、早速、中国外交部は日本政府に対し、強い不満と遺憾の意を表明した。台中問題の亀裂を深めるだけでなく、陳総統の世論をそらそうとの作戦にまんまと乗っかった軽率のそしりは免れないだろう。森派の会長の座を降り、自由の身にはなったとはいえ、元首相の肩書きはついて回る。小泉前首相の師匠であるだけに先見のなさは相変わらずである。
 人民日報によると、中国外交部の姜愈報道官はこのほど日本の森元首相が台湾を訪問し、陳総統と会談したことについて遺憾であるとし、日本政府に対し「台湾問題における約束を忠実に守り、効果的な措置を講じ、日台関係を適切に処理し、特に台湾独立精力といかなる政治的往来も行わないことを要求する」との談話を発表した。
 これに対して、日本政府がどう答えたのか、抗議があったことさえ明らかにしていないので、わかりうおうがない。当局は最後までそんな事実があったことさえ隠し通すことだろう。一体、森元首相は台湾からどんな勲章を受勲したのだろうか。
普通なら、明らかにされるのだろうが、これも発表された形跡はない。
 台湾の国会で野党が提出した陳総統の罷免決議は24日に否決されたようではあるが、仮に罷免されるようなことがあったら、ノー天気に台湾に出かけた森元首相はとんだ ピエロになるところだった。陳総統にしてみれば、野党はじめ世論の追及が厳しそうなので、日本から”大物”政治家を招いて少しでも矛先をかわそう、とのならいでもあったのだろう。
 その意味では陳総統のならいは当たったのだが、今度は肝心の中国当局の反感を買うことになってしまった。折角、就任早々に北京を訪問して日中関係は好転の兆しを見せ始めたのに再び火をつけたことになるのかもしれない。
 無能な老政治家は早く退くべし、である。
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自社株式購入に疑義あり

2006-11-24 | Weblog
 大手鉄鋼メーカーのJFEホールディングスがこのほど、この13日から来年6月30日にかけて3000万株、投下資金1200億円を限度に自社株式の取得を発表した。会社法165条第2項の規定による定款の定めに基づくもので、経営環境の変化に対応して、機動的な資金政策の遂行を可能とするのがねらい、という。同社の06年3月期の単独決算の経常利益は1073億3百万円、連結でも5173億1300万円を稼ぎ、この中間期の連結の経常利益は2238億9700万円と過去最高級の高収益を誇っている。利益面から見て、自社株式取得には一見なんら問題はなさそうだ。JFEホールディング以外にも、産業界でこのところ自社株式取得に踏み切る企業は多い。
 株式価値を高め、機動的な資本政策云々というのは確かに耳ざわりもよく、何の問題もないように聞こえる。しかし、果たしてそうなのだろうか。鈍想愚感子はこの自社株式取得についてかねて疑問を持っている。社員が汗水たらして稼いだお金を株式価値を高めるという大義名分のもとに自社株式を買ってしまう、というのは経営者の姿勢としておかしいと思わざるを得ないのだ。利益が出たら、まず、会社の将来の事業を築くための新規投資に充てることを考えるのが経営者の務めである。会社の寿命は30年と言われ。同じことをしている限り、30年も経てば事業は陳腐化する。従って、次代の会社の事業の柱を育てるべく日夜新規事業へ目を配り、必要な資金、人材を投じるべきである。それが自社株取得に向けられるということはふさわしい新規投資案件がない、ということに他ならない。そんね経営者は失格の烙印を押されても仕方ないだろう。
 それに自社株式取得は株価に対する盲信があるのではなかろうか。株式相場での評価というのは理論的には解明できない要素が多い。株式の時価総額が一定であればいえるのであるが、株式数を減らしたからといって株価が上がるとは限らない。株式数が減れば、同じ配当率であれば配当総額は減って、会社の負担は少なくなるが、配当率を変動させればいいことだ。会社経営にとって、必要以上に株価に神経を遣うことは止めた方がいい。ライブドアのように株式時価総額を企業価値そのものだ、と吹聴して経営を進めてきた経営者が道を誤って転落していったケースを何度も見ている。
 また、従業員にしてみればそんなドブにお金を捨てるようなことをするなら、ボーナスでもいいから従業員に報いてほしい、と思っていることだろう。そんなことをすれば、翌年の賃金交渉に響く、と懸念するのなら、そうならないように交渉すれば済むことだろう。かつて、トヨタ自動車が自社株式購入をしたので、労働組合に直接聞いたことがあるが、御用組合なのか「けしからん」という表現は聞かれなかった。
 会社を経営するのに何が一番大事か、経営者はよく考えてほしいものだ。
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さすが私学の雄、慶應義塾大学

2006-11-23 | Weblog
 22、23日の2日間、東京・丸の内の丸ビルを中心に慶應義塾大学SFC(湘南藤沢キャンパス)研究所が「現代リアル学」と銘打って産学連携を呼びかけるイベントを実施している。たまたま、招待のDMが届いたので、入場登録し、22日にメイン会場の丸ビルをのぞいてみた。12時過ぎに丸ビル7階の丸ビルホールへいくと、なにやら講演をしている。ロビーに「第3の開国‥‥」といった声が聞こえてきて、ホールへ向かうと、学生らしき整理員が「どうぞ」と中へ案内してくれる。そのまま中に入ると、壇上でパネルディスカッションが行われていた。パンフレットを見ると、オープニングセッション「慶應義塾創立150年に向けて」となっていて、パネラーは福沢武三菱地所会長、安西祐一郎塾長、モデレーター、国領二郎SFC研究所長となっているが、肝心の安西塾長はいなくて2人だけでやりとりしている。会場300人のところ、せいぜい100人くらいのもので淋しい。福沢会長は慶應の創立者、福沢諭吉の曾孫にあたるうえ、今回のイベントの会場を提供した三菱地所の会長ということで、登壇したのだろう、企業の人づくりについて語っていた。
 前日だかに共立薬科大学との統合の発表があったせいか、45分くらい送れて、登場した安西塾長は今回のイベントが自ら問題を発見して解決し、創造していく人材をいかに大学が育てていくかを探求するねらいで開かれたもので、2008年に創立150周年を迎える慶應義塾にとって最大の課題である、と力説していた.一週間くらい前に慶應義塾はロンドンに事務所を開設し、来年は北京に、そしてニューヨークにも事務所を開設し、グローバルに評価される活動していく、と宣言していたのが印象的だった。
 パネルディスカッションとしてはやや組み立て不足な内容であったが、慶應のめざしている思いは伝わってきた。SFCは大学のなかでも先進的な活動をしていることで有名であるが、今回塾創立150周年を機に企業社会との結びつきをより深めた活動をしようと、ビジネス街のメッカ、丸ビルを中心に研究成果の発表会を企画した。2日間にわたり、丸ビルホールでセミナーを開くほか、丸ビル周辺で研究成果の展示も行っている。ざっと展示も眺めてきたが、学生特有の熱気が伝わってきた。丸ビル1階コンコースでの展示では2年前に流行った自動歩行機「ジンジャー」の試乗会も行われて、まずまずの人出だった。
 それにしても丸ビルを中心にこんなイベントを堂々と開催できるのは凄い。さすが慶應義塾大学である。しかもオープニングセッションで塾長が講演するのにサクラの動員もなく淡々とプログラムを進めていく姿勢にもさわやかさが感じられた。どこかのタウンミーティングのようなやらせ、作為もない、爽やかなイベントであった。 
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公正な入札をするにはエネルギーが要る

2006-11-22 | Weblog
 官庁工事の談合が問題となっているが、意外と言及されていないことがある。官庁の担当者にしてみれば公正な競合入札をきちんと行うのには大変なエネルギーが要るということで、とてもやってられない、というのが正直な気持ちだろう。だからといって、不正な談合を許す気はさらさらないものの、税金を使う以上は無駄なく、公正に使ってもらいたい。要は担当者が担当している業務について細部にわたるまできっちりと事態を把握したうえで、きちんと業務の遂行を行っているか、という仕事への取り組みにかかっている。役人とはいえ、その分野でのプロフェッショナルとして技量を発揮しているか、ということなのだ。
 事は官庁に限らない。日本アイ・ビー・エムのように100万円以上の発注には必ず入札をすること、とも社内規定がある企業もあるし、これだけコスト削減が叫ばれるようになると経営者は入札して業者を決めよ、と言い出すようになる。競合入札すれば、コストは必ず下がる、と思っているからだ。
 確かに入札すれば、まず10中8、9、コストは下がるし、担当者は業務に精通するようになるので、結果的にはよし、ということにはなる。ただ、競合入札をするには、まず前もって仕事のスケジュールを組んでおかないといけないし、その仕事に関係した業務を行っている業者を選定して、入札を呼びかけなければならない。そして、入札のスケジュールを決め、予め入札のスペックを公開し、入札してもらって、入札の内容を公正に評価したうえで、発注業者を決めなければならない。決定にあたっては必ずしも最低の価格の札を入れた業者に発注がいく、とは限らない。発注する業者が果たして、入札通りに工事なり、業務を遂行してくれるかどうかも見極めなければならない。つまり、入札をするには大変なエネルギーが要るのだ。
 民間企業なら担当者が上司から管理不行届きで叱られるのだろうが、官庁の場合は税金の無駄遣いで住民から批判されることにもなりかねない。発注した業者が途中で工事を放棄するようなことがあれば、担当者としての責任を追及されることにもなりかねない。業者の力量がどんなものかについても把握し、見極めなければならない。安いだけの無名の業者を使うのにはリスクが伴う。こんな面倒くさいことなら、気ごころの知れた懇意で有能な業者に随意契約で発注したい、という気にもなるだろう。
 また、入札をすれば、入札に応じてくれた業者のほとんどが敗退するわけで、なかには恨みを買うようなケースも出てくる。それまで頼んでいた業者が入札に敗れるようなことがあると、あらぬ摩擦が生じることもある。入札にからんでの贈収賄が起きることもある。21日にNHKニュースで、47都道府県へのアンケート調査で、45都道府県が公共工事の発注で「地元企業を優先する」と答えた、と報道していたが、直接入札とは関係ないかもしれないものの、入札にはこうした点もからんでくる。
 もちろん、そうしたエネルギー、摩擦を考慮しても公開での入札で仕事が決められることが一番いいし、そうあるべきである。ただ、それを行うだけの仕事の進め方、業者との付き合い、担当者の日頃の勉強ぶり、等々のいわゆるインフラが整っているか、というとそうでもなさそうだ。
 日本のこれまでの風土からして、まず入札がいいのだという風潮を起こして、時間をかけて入札が当たり前という雰囲気になるように徐々にもっていくしかないのかもしれない。
 
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松坂60億円の裏にあるもの

2006-11-21 | Weblog
 西武ライオンズの松坂大輔選手のポスティング・システムに米ボストン・レッドソックスが5110万ドル、日本円に換算して60億円という値段をつけ、野球界のみならずプロスポーツ界の話題をさらっている。松坂大輔が果たしてそれだけの価値ある選手なのか、疑問を呈する向きがないわけではないが、現実に落札されたことは事実で、米ブッシュ大統領までが「日本経済にいい影響をもたらすだろう」とかつてテキサス・レンジャーズの経営に携ったことのある身だけに精一杯の皮肉で語ったほどだ。
 松坂選手のポスティング・システムには米大リーグの4、5球団が応じた。西武ライオンズは当初、ひた隠ししていおたので、マスコミ各社は「多分、入札価格は予想外に低かったのだろう」と推測した。テレビには米大リーグに詳しい解説者が登場して、「松坂はもう投げすぎているし、メジャーは日本の中6日登板と違って中4日登板が普通で、松坂がそれに耐えられるか不安な面もある。市場価値は低くせいぜい10億円程度で、事によると西武ライオンズは認めないこともありうる」としたり顔に話す人まで現れた。ところが、そのうちに30億円、50億円という説が飛び出し、結果的には西武ライオンズの全選手の年俸の合計の2倍の60億円ということになった。
 レッドソックスはライバルのニューヨ-ク・ヤンキースに奪われたくなかったのと、松井秀喜のヤンキース加入による経済効果がすでに80億円を超えているし、ボストンへの日本人ファンの増加を見込んで100億円出してもペイする、との読みがある、という。レッドソックスとの交渉のため米国入りした松坂の顔は底抜けに明るいし、自信に満ちている。米国ではこうした精神的なタフさが必要で、間違いなくある程度の活躍はできるだろう。
 みんな承知のことだが、レッドソックスの払う60億円は松坂の懐には入らず、全額西武ライオンズにいってしまう。従って、松坂選手の年俸はこれから決められることになるが、おそらく5-10億円の間で決着を見ることになろう。複数年の契約になるので、総額100億円に届くかもしれない。
 米大リーグのトップ選手でなく、昨日まで身近にいた選手が一挙に100億円を稼ぎ出すのだから、その衝撃は大きい。松坂選手が1人で稼ぎ出したのではなく、これまでの日本人選手の野茂であり、イチローであり、松井が大リーグで活躍してきた実績が100億円に結びついたのだ。
 野球界はここ数年日本におけるスポーツの覇権をサッカーと競ってきた。ところが、ここへきてサッカーは相変わらずワールドカップでは歯が立たず、頼みの中田英寿も引退し、スター選手がいなくなった。そこへ松坂の100億円である。これで。野球への志向が一挙に高まることだろう。日本の野球界の地盤沈下がうんぬんされているが、それは巨人など一部のマネジメントが狂っているだけのことで、こと野球に対する関心は確実に上がっている。松坂が現実に右腕一本で100億円を稼ぎ出した、という事実は事実である。世の親が「うちの息子、娘もいずれ」と思い出さないとも限らない。たとえ、この先何十年も100億円稼ぐ選手が生まれなくとも、2006年のこの事実は松坂の名前とともに未来永劫に伝説として残ることだけは確かである。
 この意味で松坂の100億円は画期的なことなのである。
 
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