30日夜、フジテレビの「Mrサンデー」を見ていたら、これまで日本では約600万人にコロナウイルスのワクチンを接種していて、このうち85人が死亡していて、このうち16人が接種の翌日に死んでいる、との報道に驚いた。率にすると、0.00141%に過ぎないが、接種人10万人当たりにすると1.4人にもなる。死んだ人のほとんどが高齢者で、脳なり内臓になんらかの欠陥を持っている基礎疾患の持ち主だ、という。ワクチン接種に当たっては接種前に医師が基礎疾患があるかどうかを予め確認することになっているが、本人が申告しなかったのか、ヒアリングが不十分だったのか、そこまで調査は行われてはいないようだ。諸外国と比べてワクチン接種による死者数が多いかどうかも明らかではない。
日本では30日現在、コロナウイルス感染者は75万5146人で、このうち死亡したのは1万2980人で、これを10万人当たりにすると、感染者数は604人で、うち死者は10.3人となり、ワクチン接種者の10万人当たり死者数の1.4人よりはるかに多い。しかし、いまのペースで日本の全国民にワクチン接種をしていけば、いずれ1250人が死ぬことになる。これを多いと見るか、立場の違いによって変わってくるかもしれないが、ワクチン接種が感染防止対策の決め手と見ている政府の関係者にとっては見逃せない数であるのは確かだろう。
いままでワクチンを打った人も、これから打とうとする人もいままでワクチンを打って85人も死んだ、と聞いて驚く人がほとんどだろう。特にこれから打とうとする人はそんなにリスクがあるのなら、打つのを止めようと考える人が少なからず出てくることだろう。打てば感染防止ができるし、人に伝染させることとなろうが、死ぬ恐れがあると知って躊躇するとしたら、だれも止められない。とりわけ、基礎疾患を抱える人はためらうことだろう。そんな人が出てくることは誰も止められない
ワクチン接種で85人も死んでいる、との話は東京オリンピック開催のためになんとしてでも「1日100万のワクチン接種」でコロナウイルス感染防止を成し遂げると躍起になっている政府関係者にとっては聞きたくもない話かもしれない。しかし、よくよく考えると、これは菅首相が日頃、口ぐせにしている「国民の命と暮らしを守る」に重大に違反していることではなかろうか。大きな使命の前に数人の命が無くなることなんてよくあることだ、とでもいうのだろうか。
ここは死に至った85人に対するワクチン接種の前後のケアはどうだったのか、を改めて調査し、そこに至るまでの死んだ人の病歴、および直前の行動を含めて明らかにし、行政サイドの落ち度はなかったのかを精査する必要があるのではないだろうか。コロナウイルスに感染して亡くなるのなら、ともかくワクチン接種をして人が1人が死んで、亡くなった本人の無念さはもちろん、家族の悲しみはいかばかりか、はかりしれないところがあるのは言うまでもない。ワクチン接種にあたった国、地方自治体など行政機関の不手際なり、瑕疵はなかったのか、を明らかにする必要があるのはないだろうか。少なくとも然るべき人がワクチン接種にあたっては基礎疾患のある人は死に至ることがあり得ることを説明し、それでもワクチン接種をするとの確認を取ったうえで接種すべきだろう。