15日午後2時から記者会見に臨んだ安倍首相は「アベノミクスが国民から支持された」旨の発言をし、今後の政局運営について経済再生・財政再建を果たすことなどを挙げ、最後に集団的自衛権行使について来年の通常国会で関連法案を提出することと、憲法改正に乗り出すことを言明した。今回の解散・総選挙で安倍首相がもっともやりたかったことが憲法改正であることがこれではっきりとした。ただ、今回の総選挙で安倍首相が憲法改正を口にしたことはほとんどなく、専らアベノミクスの成果を問うことに終始していたのに自公の大勝が決まると早速憲法改正を言い出すのは詐欺ではないだろうか。
そう思って投票数日前に各戸に配布された選挙公報を取り出してみて、自民党のページを開いてみると、経済再生・財政再建以下地方再生、暮らしの安全、外交・安全保障の4つが書いてあるだけで、憲法改正の「ケ」の字はどこにも見当たらなかった。テレビのニュースで映し出される自民党幹部の発言を聞いていても憲法改正を言明する声は聴いたことがなかった。つまり、今回の総選挙で自民党は公約として「憲法改正」を打ち出してはいなかった。
で、自民党のホームページを見てみると、2014選挙公約として、①経済再生・財政再建②地方創生・女性活躍推進③暮らしの安全・安心・教育再生④地球儀を俯瞰した積極的平和外交⑤政治・行政改革と並んで6番目に「時代が求める憲法を」というタイトルのもとに憲法改正が取り上げられていた。ただ、その中身は他の項目がぎっしりと書かれているのに対し、「憲法改正国民投票法一部改正が施行されたことに伴い、国民の理解を得つつ憲法改正原案を国会に提出し、憲法改正のための自民政策を実施、憲法改正をめざします。憲法改正のための投票権年齢が4年経過後に18歳となることを踏まえ、選挙権年齢を前倒しして18歳以上に引き下げます」とわずか6行の、なおかつおよそ憲法改正の意義など本質的なものではなく些末なことしか書かれていなかった。
これで憲法改正を選挙公約に盛り込んだとはとtれもいえないし、ましてこれで憲法改正について国民の理解を得られたというのは詐欺というしかないだろう。選挙の争点からはずしておいて、選挙を戦い、投票が終わった時点で「実は憲法改正も公約していました」などという積もりなのだろうか。安倍首相以下自民党の政治家はいずれもペテン師の集団だといわれても仕方がないだろう。憲法改正をするのなら、事前にはっきりと憲法改正を言って、それで勝つのなら国民も納得すtることだろう。憲法改正を前面に出したら、国民から支持されないかもしれないとの危惧があったからこそこっそりと隠しておいたんぽだろう。憲法改正については与党の公明党ですらすんなり賛成するとは思えない。事実、16日付けの毎日新聞によれば、今回当選した自民党議員の5%が憲法改正に反対しており、公明党議員に至っては24が反対している、調査結果が出ている。
今回の総選挙の全投票者5333万4477人の4うち比例区で自民党に投じたのは1765万8916人で、全体の33.11%に過ぎない。ちなみに民主党に投じたのは977万5991人で18.22%だったので、なのに当選者数であれだけの差がついたのは小選挙区制のなせる業に他ならない。ただ、今回投票率が低かったので、全有権者に占める比率でみると自民党に投じた有権者はわずか17%しかいなかったことになり、5人に1人も自民党を支持しているわけではないことがわかる。
その意味では憲法改正のような国民全体に関わるようなテーマの場合は改めて民意を問うようなこっとで進めるべきだ、と思う次第である。今回の総選挙は一部の弁護士が提起したように1票の格差が是正されていないので憲法違反であり、もう一度総選挙を行うばきである。