鈍想愚感

何にでも興味を持つ一介の市井人。40年間をサラリーマンとして過ごしてきた経験を元に身の回りの出来事を勝手気ままに切る

安倍首相は大勝した途端に憲法改正を持ち出すなんて詐欺に等しい行為である

2014-12-16 | Weblog

 15日午後2時から記者会見に臨んだ安倍首相は「アベノミクスが国民から支持された」旨の発言をし、今後の政局運営について経済再生・財政再建を果たすことなどを挙げ、最後に集団的自衛権行使について来年の通常国会で関連法案を提出することと、憲法改正に乗り出すことを言明した。今回の解散・総選挙で安倍首相がもっともやりたかったことが憲法改正であることがこれではっきりとした。ただ、今回の総選挙で安倍首相が憲法改正を口にしたことはほとんどなく、専らアベノミクスの成果を問うことに終始していたのに自公の大勝が決まると早速憲法改正を言い出すのは詐欺ではないだろうか。

 そう思って投票数日前に各戸に配布された選挙公報を取り出してみて、自民党のページを開いてみると、経済再生・財政再建以下地方再生、暮らしの安全、外交・安全保障の4つが書いてあるだけで、憲法改正の「ケ」の字はどこにも見当たらなかった。テレビのニュースで映し出される自民党幹部の発言を聞いていても憲法改正を言明する声は聴いたことがなかった。つまり、今回の総選挙で自民党は公約として「憲法改正」を打ち出してはいなかった。

 で、自民党のホームページを見てみると、2014選挙公約として、①経済再生・財政再建②地方創生・女性活躍推進③暮らしの安全・安心・教育再生④地球儀を俯瞰した積極的平和外交⑤政治・行政改革と並んで6番目に「時代が求める憲法を」というタイトルのもとに憲法改正が取り上げられていた。ただ、その中身は他の項目がぎっしりと書かれているのに対し、「憲法改正国民投票法一部改正が施行されたことに伴い、国民の理解を得つつ憲法改正原案を国会に提出し、憲法改正のための自民政策を実施、憲法改正をめざします。憲法改正のための投票権年齢が4年経過後に18歳となることを踏まえ、選挙権年齢を前倒しして18歳以上に引き下げます」とわずか6行の、なおかつおよそ憲法改正の意義など本質的なものではなく些末なことしか書かれていなかった。

 これで憲法改正を選挙公約に盛り込んだとはとtれもいえないし、ましてこれで憲法改正について国民の理解を得られたというのは詐欺というしかないだろう。選挙の争点からはずしておいて、選挙を戦い、投票が終わった時点で「実は憲法改正も公約していました」などという積もりなのだろうか。安倍首相以下自民党の政治家はいずれもペテン師の集団だといわれても仕方がないだろう。憲法改正をするのなら、事前にはっきりと憲法改正を言って、それで勝つのなら国民も納得すtることだろう。憲法改正を前面に出したら、国民から支持されないかもしれないとの危惧があったからこそこっそりと隠しておいたんぽだろう。憲法改正については与党の公明党ですらすんなり賛成するとは思えない。事実、16日付けの毎日新聞によれば、今回当選した自民党議員の5%が憲法改正に反対しており、公明党議員に至っては24が反対している、調査結果が出ている。

 今回の総選挙の全投票者5333万4477人の4うち比例区で自民党に投じたのは1765万8916人で、全体の33.11%に過ぎない。ちなみに民主党に投じたのは977万5991人で18.22%だったので、なのに当選者数であれだけの差がついたのは小選挙区制のなせる業に他ならない。ただ、今回投票率が低かったので、全有権者に占める比率でみると自民党に投じた有権者はわずか17%しかいなかったことになり、5人に1人も自民党を支持しているわけではないことがわかる。

 その意味では憲法改正のような国民全体に関わるようなテーマの場合は改めて民意を問うようなこっとで進めるべきだ、と思う次第である。今回の総選挙は一部の弁護士が提起したように1票の格差が是正されていないので憲法違反であり、もう一度総選挙を行うばきである。

 

 

 

 

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結局は現状維持で終わった総選挙、安倍首相の独走を許してはならない

2014-12-15 | Weblog

 第47回衆院選は大方の予想通り、自公の圧勝という反安倍を自認する鈍想愚感子としてはまことにつまらない結果となった。自民党は300議席を超えるとの親自民党系の読売はじめ産経新聞の予想こそ当たらず、選挙前の議席295議席から4議席減らしたことが唯一の慰めとなったものの、低投票率のおかげで公明党が4議席増やして、与党としては衆院議席の3分の2を確保した。安倍首相は胸を張って勝利宣言とはいかないにしても究極のねらいの日本国憲法改正への道をまっしぐらに進むことになりそうだ。

 今回の衆院選はアベノミクスの評価が焦点とされてきたが、これで国民はアベノミクスに信任を与えたとするのは早計ではなかろうか。東大元総長の佐々木毅氏の「安倍首相よ、驕るなかれ」との論文はじめ安倍首相の独走を戒める有識者の声が国民には届かなかったのが何としても惜しまれる。伊東光晴京大名誉教授のアベノミクス批判を出すまでもなく、アベノミクスのまやかし、行き詰まりは明らかであるが、それも国民には行き渡らなかった。選挙戦の最初から最後までコートを着たまま選挙演説に臨んだ安倍首相の姿に国民は違和感を抱かなかったのだろうか。

 今回の衆院選の投票率は過去最低の投票率だった前回の59.32%をさらに下回る52.66%になるという。国民の2人に1人が棄権してしまった選挙ということは国民が政治離れを起こしているということに他ならない。そんななかで3分の2を確保したといってもそれは民意を反映しているとはいいがたい。投票にいかない国民こそ責められるべきかもしれないが、そんな政治状況をつくりだした政治家の責任は重いといわざるを得ないだろう。

 まあ、今回の総選挙は安倍首相に信任を与えたのではなく、前政権を担当した民主党の不甲斐なさ、それに2年経っても反省の色をみせなかった民主党に風が戻ってこなかった、というべきだろう。民主党は野党第1党として政権をねらう選挙戦術をなんら取らなかった。むしろ「次をねらう」とあさっての方針で臨んだことが自公の現状維持をもたらしたのだろう。民主党は議席数こそ解散前の62から10議席増やしたが、全体には屁でもない数である。民主党もさることながら、維新の党はじめ他の野党も自公への対立軸を打ち出せず、逆に自公にすり寄るような戦略では国民の支持を得られないことだろう。

 本当に大義なき総選挙は与党対野党では引き分けに終わり、安倍政権の独走を許すような形で終わってしまった。なにも変わらなかったといえばそうかもしれない。今後は独走に磨きをかけて安倍首相が横暴ぶりでも発揮するようなことがあれば、自民のなかで党が割れるようなことが起きないとも限らない。自民党を割って出た勢力が民主党を近づき、政界再編騒動が始まることが起きる気がしてならない。そのためにも地方区で敗れ、辞任した海江田万里代表に代わる新しい民主党代表が民主党を再生させてくれることを期待したい。 

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現代のサンクチャリー、東京ガスグループに切り込んでいくベンチャーよ出でよ

2014-12-13 | Weblog

 先日かみさんが「ガスを点けると変な匂いがする」というので、東京ガスに電話して聞くと、「吹き出し口の周辺をよく掃除してみて、それでも匂うようなら再度電話して下さい」ということなので、その通りにしたが、まだ匂いは去らなかったので、再度連絡して、技術者に点検に来てもらったところ、「部品を交換しないといけないが、古い機種なのでもう部品がなく修理ふがきかない。問題の箇所は使用しないで下さい」との診断で、要は交換した方がいい、とのことだった。いまの居住マンションには20年近く住んでいるが、ずっとガスコンロは使い続けているので、20年使っていることになる。もう寿命というわけだ。

 で、教えてもらった東京ガスのショールームに見に行くことにした。それで、当マンションを対象に先月東京ガスが玄関のエントランスで内覧会を開いていたのを思い出し、その時の案内状を取り出したところ、主要なビルトインガスコンロが紹介されていた。内覧会開催当時はどこも悪くはなかったので、見向きもしなかったので案内状の中身も全然チェックしなかった。改めて案内状を見ると、当マンションにフィットするビルトインガスコンロが4機種紹介されていて、メーカー希望小売価格の28~35%引きの価格となっていた。

 東京ガスのショールームに行くと、男性の社員が出てきて、おもむろに先回の内覧会のファイルを取り出し、内覧会当時提示した価格はキャンペーン価格でキャンペーンは先月末で終了している、という。担当者がいないので、帰り次第、連絡させてもらう、ということだった。わずか半月しか経っていないのにいかにも官僚的な態度だった。それでも一応、4機種について女性のアシスタントに説明を聞き、どれが良さそうかとの感じを持って帰ってきた。で、夜になって、東京ガスの担当者から電話がかかってきて、「機種は決まりましたか」と聞かれたので、考えている機種を伝え、価格はどうなるのか、と聞くと「内覧会での35%引きではなく30%引きにしかならない」という。

 それにしてもガス関連の設備は総じて高い。テレビ、冷蔵庫や洗濯機など他の家電製品と比べるとコストのかかるような電子機器を使っているような感じもないのに倍くらいの価格がする印象がある。全国6000万世帯が一様に使っているので、大量生産のメリットは同じようにでているはずなのに倍の価格を提示しているのはなぜなのだろうか。メーカーの数はリンナイ、パロマ、その他中小メーカーは多数あるかもしれないが、ほとんどはリンナイ、パロマで生産されているといっていいだろう。となると、ガスコンロなどガス関連器具は家電量販店の流通ルートには乗っていなくて、東京ガス直販か、ガス工事店が設置工事をすることになる。

 一般にガス工事の場合、国家資格の「ガス設備士」か、都市ガス協会の任意資格である「ガス機器スペシャリスト」の資格が必要とされる。そのほか、給湯器には「給水装置工事主任技術者」、ガス栓から器具への接続には「ガス可とう管接続工事監督者」や、都市ガスには「内管施行士」、LPガスには「ガス設備士」の資格が必要であるし、さらには屋内設置のガス給湯器には「特定ガス消費機器設置工事監督者」や「電気工事士」の、ガス器具の販売には「高圧ガス販売主任者」の資格が必要などがんじがらめの規制があり、おいそれとはとっかかれない仕組みとなっている。

 それに消費者の潜在意識にはガスは危いものとの思いがあり、なまじ値切っても安全にかかわるのではないか、との思いがあり、通常の製品に対するのと一味違う対応をしてしまうことがあげられる。そうした心理を東京ガスに代表される大手ガス会社、およびガス関連業者グループは巧みについて、割高な価格を横行させてしまっているのだろう。バブルがはじけてもこのガスの聖域にはいまだだれも踏み込めない、とみえる。残された現代のサンクチャアリに踏み込むフロンティア魂を持ったベンチャーが現われてほしいものだ。

 

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国民は佐々木元東大総長の「安倍首相よ、驕るなかれ」論文をかみしめるべきである

2014-12-12 | Weblog

 10日発売の文芸春秋新年号に元東大総長の佐々木毅氏が「安倍総理よ、驕るなかれ」と題した論文を寄せている。さすがに表紙には表示されていなかったものの、投票4日前のタイミングで時の首相に強烈なアッパーカッを見舞ったその勇気には感心させられる。今回の総選挙には識者のだれしもがなぜいま解散か、と疑問符を投げかけている。なのに新聞各紙の調査では自民党が300議席を獲得するのではないか、との予想が飛び交っていて、安倍首相追い落としにはつながっていない。あと数日で、この大勢を覆すかもしれない佐々木元東大総長の渾身の一撃である。

 佐々木論文はまず11月18日の安倍首相の会見に疑問を呈し、そもそも首相に解散権があるのがおかしいと指摘する。他の先進国には元首にそんな権限を与えていなくて、あくまでも野党の首相不信任提案があったのをはねつける時にだけ、元首の解散権を認めている、という。日本は首相に解散権を認めているから、常に日本の政治家は選挙を意識しなければならず、落ち着いて政策に取り組むことができない、と指摘する。安倍首相は前回の選挙で衆院の圧倒的多数を獲得し、続く参院選でも衆参のねじれを解消し、政治家が本来行うべき仕事ができる環境に置かれ、発足1年半の間に多くの課題を解決してきたのにそうした状況をあえて崩しかねない解散に打って出ることは理解できない、ともいう。

 佐々木論文は仮に安倍首相が今後4年間のリーダーシップを執ることになっても、一体何をしようとしているのか、肝心なことを放置しているのではないか、と危惧する。膨大な財政赤字、日銀の異次元緩和、そして急速な高齢化にどう立ち向かおうとしているのか全く見えていない。安倍首相に限らず日本の政治家は精神的スタミナを失って、見たくない現実から目を背けていないか、と景勝している。

 かく格調高く、安倍首相を戒めている。全くその通りである。安倍首相には然るべき識者の声は全くいていないようである。周りにお友達ばかり従えていて、耳障りのいい話しか聞かない環境に鎮座していては届くわけはないことだろう。育ちのいいボンボンでは部下の言ってくる言葉の裏なり、横にでも違った面があることなど考えもしないことだろう。

 丁度11日に川崎市民アカデミーの講座で国連環境計画・金融イニシアティブ特別顧問の末吉竹次郎氏の講義があり、地球温暖化に対する金融界の取り組みが話されたが、そのなかでいまペルーのリマで開催されているCOP20の動きなどに対し、日本の取り組みが遅れており、安倍首相がこの問題に対してほとんど関心がないと揶揄をこめて言及があった。ここでも肝心の課題に踏み込まない安倍首相が明らかとされた。その末吉氏は安倍首相のことを「エー・ビーイーという人」と揶揄を込めて表現していたし、文芸春秋新年号に寄稿した野田佳彦前首相はABEのことを「アセット・バブル・エコニミー(資産バブル経済)だ」と切り捨てていた。いずれもあえて安倍とは発音したくないようなニュアンスである。

 かつて与謝野晶子は日露戦争に従軍した弟に対し、「君死にたもうことなかれ」と雑誌、明星に発表し、話題となったが、今回の佐々木論文はこれにも匹敵する論文で、国民はあげて安倍首相の真の姿を改めて見つめ直す時である、と実感した。

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原告、被告、裁判官とも三者三様に攻めきれていない煮え切らない民事訴訟だった

2014-12-10 | Weblog

 10日は東京・霞が関の東京地裁へ裁判の傍聴に出かけた。午後1時半からの530号法廷での国際医療福祉大学が出版社のダイタモンド社を損害賠償請求で訴えている民事裁判を傍聴した。ダイヤモンド社が2年前の週刊ダイヤモンド誌で、大学特集をし、そのなかで「財務力で見抜く危い大学ランキング」を掲載し、国際医療福祉大学を23位にランクし、それで大きな損害を蒙ったというのが訴えの中身で、当初は1位や一ケタの順位ならともかく23位でなぜ、という気がしていたが、双方の証人尋問を聞くうちに実態が見えてきた。

 最初に証人席に就いた国際医療福祉大学の職員は代理人の質問に応じ、国際医療福祉大学が看護士はじめ医療関係の国家試験への合格率が100%近いことが学生に人気であることを強調し、それだけに週刊ダイヤモンドの特集で大きなイメージを蒙った、と語った。記事が出た早々にダイヤモンド社に強い抗議を申し入れるとともに大学側では理事長、学長ら幹部が連日、対策会議を開き、父兄や全国の高校に記事が全くの誤りであることを説明するとともに新聞はじめ各種媒体に訂正の広告を打つなどの手を打った、という。

 ダイヤモンド社からはダイヤモンド誌の副編集長が釈明に来たものの、謝罪文は提出しなかった、という。それでもダイヤモンド誌は問題の記事が掲載された2週間後の発行号で「国際医療福祉大学の自己資本比率は10%でなく61%で、ランキングから国際医療福祉大学は除外する」との訂正記事が掲載され、ダイヤモンド社のホームページにも訂正の旨を掲出した、という。それでも報道された時の衝撃を打ち消すには至らず、堪らず訴訟に及んだ、という。ただ、具体的な損害賠償額は明らかにされなかった。

 続いて証人席に就いたダイヤモンド誌の副編集長は記事は各大学へのアンケートに基づいて作成されているが、国際福祉医療大学の財務データを入力する際に担当者がFAXで受け取った数字のケタを読み違えていたことが間違ったランキングをしたことにつながってしまったことを明らかにした。その旨を大学側に伝え、やりとりをするうえで、「大学が関係先に配布する文書のなかに『ダイヤモンド社は国際医療福祉大学の名誉を回復するため、できる限りの方策を講じたる』との一文を入れることを了承すれば、万事丸く収める」と言われ、それを信じていたが、実際に謝罪に訪れた際に「そんなことは覚えていない」と言われ、用意してきた謝罪文を渡さずに帰ってきてしまった。

 ただ、副編集長は持っていった謝罪文に印鑑を押さないままにしていたようで、どこまで本気だったのか疑わしい面もあり、白々と「訂正文を本誌とホームページに出す以上のことは考えていなかった」と語るあたり、どこまでミスを認めていたのかわからない。

 国際医療福祉大学は実際に損害について質問されても「私は聞いてない」と言ったり、組織として把握していない点が問題だし、被告のダイヤモンド社は訂正記事を掲載する際の社内での手続きが曖昧だったり、お互いに組織のガバナンスが行き渡っていないのが露呈されていたのが気になった。裁判長もどちいもどっちと思っているのか、着地点を見定められないような感じがして、三者三様に攻め切れていない煮え切らない裁判であった。

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鈴木杏、浦田健治の熱演が空回りに終わった演劇「星の数ほど」

2014-12-06 | Weblog

 6日は東京・初台の新国立劇場で演劇「星の数ほど」を観賞した。英人劇作家のニック・ペイン原作を新進の小川絵梨子が演出したもので、本邦初演。新国立劇場がこの秋の2人芝居シリーズの最後となった。出演が若手の鈴木杏と浦井健治のせいか、会場には若い女性が多数つめかけていた。タイトルの星の数ほどはこの世は無数の可能性に満ち溢れている、という意のようだったが、演劇でそれを示すのはやや無理があったようで、2人の熱演はどうやら空回りに終わったような感が強かった。

 「星の数ほど」はロンドン郊外のとある農村で行われたバーベキューパーティで、物理学者のマリアンと養蜂家のローランドが出会い、「肘の先を舌でなめると幸運が訪れる」とかいう他愛ない話で打ち解けた2人は意気投合する。が、ローランドには妻がいて、それほど近づくには至らなかった。それでもその後、度々会うようになり、いつしか2人の間に愛が芽生えていく。ただ、その後、お互いが他の知人との間で愛を交わすようなことをしでかす。それでもマリアンを想うローランドは久しぶりにマリアンと会った際にマリアンへの愛を打ち明け、結婚を申し込み、2人は結婚して幸せな生活を送ることとなる。

 しかし、2人の幸せは長くは続かず、マリアンは難病に冒されていることが判明し、医者から余命半年と告げら、2人は不安に陥る。それでもマリアンは手術を決意し、ローランドにそれを告げる。その結果は?のまま、2人が最初に出会った場面を再現して、幕となる。

 劇中でも同じような場面を何回も繰り返して、全く反対の場面を演じてストーリーは進んでいくので、観ている方としては一体2人の関係はどうなっているのだろうか、と頭をかしげながら見入ることになる。原作者としてはストーリー展開がいろいろありうるのだ、ということが言いたいのかもしれないが、やり直しなり継ぎ接ぎ自在な映画ならともかく一発勝負の演劇としてはいかがなものか、という気がしないでもない。

 また、舞台が暗転する場面で、舞台の片隅で2人が着替えをして、次の場面に移っていくという舞台裏を見せられるので、息の休まる間もないのがしんどいところもある。もちろん、演じている方のがしんどいことだろうが、舞台の上から一旦消えてもいいのにとも思われる。上演時間が休憩なしの1時間半となっていたが、終わってみて時計を見たら約5分ばかり短く終わっていた。鈴木杏と浦田健治はそれなりに熱演したのだろうが、原作者の意図を伝えてくれるような演技とはならなかったのが残念なことだった。

 

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総選挙告示の日に党首が第一声をコート姿でするなんて考えられない

2014-12-03 | Weblog

  衆院選が2日、告示となり、街でもテレビでも一斉に選挙モードに入った。午後7時のいNHKニュースを見ていて、冒頭に告示のニュースが報道された。驚いたのは安倍首相の演説姿がまるで雪国にでもいるような白い厚手のコートを着ていたことだった。政治家はいくら寒くても選挙の演説では決してコートを着てはならない、と聞いたことがある。選挙民にお願いしするのにコートを羽織ったままでは横柄に見えて票が逃げていってしまうからだ、という。なのに安倍首相はコートを着たままだった。遊説先は福島で、極寒の北海道ではないというので、どうして周りがそれを許してしまったのだろうか、不思議な光景だった。

 ちなみにNHKニュースに登場する民主党以下他の党の党首たちはいずれも背広姿で、だれ一人コートを羽織っている人はいなかった。告示の日に党の代表が第一声を放つのにコート姿でとはこれだけで、自民党への票は5%方減少するのは避けられないことだろう。選挙戦術のイロハなのに周りが許さざるを得なかったのは安倍首相の体調が変調をきたしていて、コートを羽織らざるを得なかったことが考えられる。総選挙が発表されて以来、マスコミ各社の世論調査によると、国民の声は「選挙の大義がわからない」とか、「景気は少しもよくなっていない」との声が日増しに強くなってきており、安倍首相の頭の中に総選挙に踏み切ったのは誤りだったのではとの考えが根ざしているのではなかろうか、とも思われる。

 NHKニュースで総選挙の告示に続いて、安倍首相以下各党の党首へのインタビューが行われた。最初に登場した安倍首相は心なし元気がなさそうに見えただけではなく、ずっと頭を右に傾けた状態でインタビューに答えていたのと、時折り上体を前後に揺するような動きが見られた。海江田万里民主党代表以下他の党首はいずれも真っ直ぐに前を見た状態でインタビューに答えていたのと比べ、安倍首相の姿はここでも異様に映った。

 インタビューのなかでもあったが、安倍首相には前日に米格付け会社のムーディズ・インベスターズ・サービスが日本国債の格付けを最上位から4番目の「Aa3」から「A1」に下げ、中国、韓国の国債より下になったということもあり、国際的にアベノミクスが評価を下げたことが相当に堪えているのではなかろうか。それと前回の第一次安倍政権の時に参院選で惨敗したことが引き金となって、退陣に追い込まれたことも頭をよぎっているのではなかろうか、と推察される。

 いずれにしろ、今回の総選挙は明らかに安倍政権の失敗である。衆院過半数ということはないだろうが、自民党に少なくとも50議席もの議席減をもたらすのは間違いなく、自民党における安倍首相のプレゼンスは大幅に低下することは間違いない。国民は安倍首相の欺瞞を見抜けないほど馬鹿ではない。国民をなめた挙行に対して拳をあげて反発することだろう。

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