明日1日から特別国会が召集されるが、国民の意思を無視したとんでもないことが進行しようとしている。先月22日に行われた衆院総選挙で圧勝した自公政権の政府・与党は口では「丁寧に真摯に対応していく」と言っているが、実際には数の論理そのままに勝手気ままな国会運営を薦めようとしている。ひとつは6月末に閉会した4通常国会を半年間も国会審議を行おうとしない姿勢であり、もうひとつは国会における与野党間の質疑時間をこれまでの野党8、与党2の割り当てを議員数に応じたものにし、野党の質問時間を大幅に削減しようとする目論見である。いずれも森友、加計学園問題から野党の追及をかわそうとのねらいは明らかで、政府あげて安倍首相への忖度がなおも続いていることを示している。
特別国会は明日1日に召集されるが、政府与党はトランプ米大統領の訪日など外交日程が立て込んでいることを理由に首相指名選挙など最小限にとどめ、野党要求している首相の所信表明演説や代表質問などは行わないことにしよう、としっている。これに対して野党側は対北朝鮮問題や総選挙で安倍首相が言明していた高校生の教育費無償化や消費税値上げなど山積する難問に対する実質審議を行わないのはいかがなものか、と反対を唱えている。これについては自民党のなかにも船田元衆院議員が自身のホームページで安倍首相らが選挙後に「真摯に対応していく」と述べていたことと言行不一致の誹りを免れない」と批判している。
さらには政府与党は自民党の若手議員が「国会での質問する姿が放映されないと選挙民から突き上げを食ったような理由から国会での質問時間を与えてほしい」と党首脳に申し入れたことを理由にこれまで国会での与野党間の質問時間の8対2を逆転するようなルール改正を求めてきた。国会議員の議員定数に応じて質問時間を割り振る、といかにも民意に沿ったものであるように根拠を示しているが、それをいうなら今回の衆院選比例区の自公の得票比率が50%そこそこだったので、せめて半々とするのが妥当な数字ではなかろうか。
それを大幅に超えて与党8、野党2とするのはあまりにも横暴と言わざるを得ない。このことを突然というか、とってつけたように言い出した自民党の若手にそうし向けた仕掛け人はだれか詮索することは差し置いて、菅官房長官がいかにも「民意に沿った当然の方向である」というようなことを記者会見で述べたような報道もなされたが、仕掛け人の顔を示しているようなものではなかろうか。仮に与党が言うような8対2で収まるようなことが実現すれば、そんな茶番な国会中継などだれも見てくれないことは火を見るより明らかなことだ。
30日夜のNEWS23で星浩キャスターは「国会に提出される前に自公党内で討議されたうえで国会に提出されるのだから、自民党議員はいくらでも発言なり、質問の機会はある、それに比べ野党の議員は国会で初めて目にするのだから質問なり、議論をしたくなるのは当然で、それなりの時間を与えるのは自然のことだ」というようなことを言っていた。日本では国会での与野党間の質疑時間の割り振りについて明確なルールというのはないようで、諸外国でもどうなっているのか定かではないが、衆院総選挙で圧勝した自公政府が口では「丁寧に真摯に対応していく」と言っているのが嘘であったことは明らかとなった。北朝鮮問題で隠されていた森友、加計学園問題が相変わらず地下で燻っており、安倍首相にその火種が及ばないように党を挙げて忖度している、自民党の姿があぶりだされた、というのが真相のようだ。