鳩山由紀夫首相の施政方針演説が「いのちを守る」理念を強調したものとして話題となっている。聞いた当初はオバマ米国大統領の年頭教書にも匹敵する新鮮なものとして記憶にとどまった。政治家の間では民主党では鳩山首相の友愛を体現したものとして高く評価され、野党では具体性がない、として酷評されたのは当然として、専門家の間でも必ずしも評価されてはいない。しかし、いままでの首相の施政方針演説でこのように高邁なヴィジョンを掲げたものはなく、自らの手で演説内容を練り上げた点は高く買える。
鳩山首相は「いのちを守りたい」として、まず働くいのちを守りたいとして雇用の確保をあげ、1人暮らしのお年よりが誰にも見とられず孤独な死を迎える、そんな事件をなくしていかなければならない、と説く。次いで世界のいのちを守りたいとして、世界中の子どもたちが飢餓や感染症、紛争や地雷によっていのちを奪われることのない世界をつくろう、と呼びかける。そして宇宙が生成して137億年、誕生して40億年の地球を守るために核のない世界を築き、人間と調和した環境をつくることの重要性を訴えた。こうした思いから22年度予算を「いのちを守る予算」と名付け、日本の新しいあり方への第1歩を踏み出したい、と訴えた。
文案作成にあたっては松井孝治官房副長官と劇作家の平田オリザ内閣官房参与が中心となって、鳩山首相の指示で昨年末のインド訪問や17日の神戸市で聞いた息子を亡くした父親の思いなどのエピソードなどが織り込まれた。マハトマ・ガンジー師が80年前に記した「理念なき政治」、「労働なき富」など「7つの社会的大罪」が織り込まれたのは格調高いものと印象を与えてくれた。
いままでの自民党の総理大臣が官僚に作成させ無味乾燥な施政方針演説と違って、高い理念のもとに日本の将来ヴィジョンが織り込まれたのはいままでにないもので、政治主導を掲げる民主党の面目躍如たるものがあった。いまのところ、毀誉褒貶半ばしているものの、後世の歴史家にとって今回の鳩山首相の施政方針演説は歴史を変える画期的なものとして記録にとどめられるものとなるのは間違いないことだろう。
具体的な政策が示されていないとの批判があるが、首相の施政方針演説ではこうしたヴィジョンこそ掲げるべきで、具体的な予算の執行に関わるものは閣僚以下で示すべきで、それこそ国会審議や予算委員会の場などで討議されるべきことだろう。いままで官僚の描いたシナリオのもとに国会で動いてきた自民党の政治家にとってこうしたヴィジョンを示されたのは初めてのことで、勝手が違うということから反発されたのだろう。
鳩山内閣は自身と小沢幹事長の政治のカネの問題で守勢一方に立たされ、70%強あった内閣支持率も40%台に下降し、いまや不支持率と競う水準にまで来ているが、この高邁な施政方針演説をきっかけに国民の鳩山内閣への見方が再評価されることとなるのは間違いないことだろう。
来月4日に小沢幹事長の秘書だった石川知裕議員が起訴されて、小沢幹事長の進退がはっきりすることだろうから、再度民主党の体制が巻き直しということで、内閣支持率も再浮上することを期待したい。
鳩山首相は「いのちを守りたい」として、まず働くいのちを守りたいとして雇用の確保をあげ、1人暮らしのお年よりが誰にも見とられず孤独な死を迎える、そんな事件をなくしていかなければならない、と説く。次いで世界のいのちを守りたいとして、世界中の子どもたちが飢餓や感染症、紛争や地雷によっていのちを奪われることのない世界をつくろう、と呼びかける。そして宇宙が生成して137億年、誕生して40億年の地球を守るために核のない世界を築き、人間と調和した環境をつくることの重要性を訴えた。こうした思いから22年度予算を「いのちを守る予算」と名付け、日本の新しいあり方への第1歩を踏み出したい、と訴えた。
文案作成にあたっては松井孝治官房副長官と劇作家の平田オリザ内閣官房参与が中心となって、鳩山首相の指示で昨年末のインド訪問や17日の神戸市で聞いた息子を亡くした父親の思いなどのエピソードなどが織り込まれた。マハトマ・ガンジー師が80年前に記した「理念なき政治」、「労働なき富」など「7つの社会的大罪」が織り込まれたのは格調高いものと印象を与えてくれた。
いままでの自民党の総理大臣が官僚に作成させ無味乾燥な施政方針演説と違って、高い理念のもとに日本の将来ヴィジョンが織り込まれたのはいままでにないもので、政治主導を掲げる民主党の面目躍如たるものがあった。いまのところ、毀誉褒貶半ばしているものの、後世の歴史家にとって今回の鳩山首相の施政方針演説は歴史を変える画期的なものとして記録にとどめられるものとなるのは間違いないことだろう。
具体的な政策が示されていないとの批判があるが、首相の施政方針演説ではこうしたヴィジョンこそ掲げるべきで、具体的な予算の執行に関わるものは閣僚以下で示すべきで、それこそ国会審議や予算委員会の場などで討議されるべきことだろう。いままで官僚の描いたシナリオのもとに国会で動いてきた自民党の政治家にとってこうしたヴィジョンを示されたのは初めてのことで、勝手が違うということから反発されたのだろう。
鳩山内閣は自身と小沢幹事長の政治のカネの問題で守勢一方に立たされ、70%強あった内閣支持率も40%台に下降し、いまや不支持率と競う水準にまで来ているが、この高邁な施政方針演説をきっかけに国民の鳩山内閣への見方が再評価されることとなるのは間違いないことだろう。
来月4日に小沢幹事長の秘書だった石川知裕議員が起訴されて、小沢幹事長の進退がはっきりすることだろうから、再度民主党の体制が巻き直しということで、内閣支持率も再浮上することを期待したい。