食品の産地偽装が後を絶たずに続発している。岐阜県の食肉販売会社「丸明」が愛知産の牛肉を飛騨牛と詐称して販売していたのが発覚したのに続いて、徳島市のウナギ輸入販売会社「魚秀」が中国産ウナギを一色町産と偽って販売していたことが発覚した。昨年来、賞味期限の切れた商品のラベルを張り替えたり、産地偽装で大阪の高級料亭「船場吉兆」が倒産に追い込まれたのは記憶に新しいところだが、「丸明」は偽装を追求された社長が「社員のやったこと」と言い逃れをして、社員の猛反発にあい、墜には「私が指示した」と白状する始末で、お粗末な内情さえ暴露するに至った。
「魚秀」のケースは中国産ウナギの在庫が膨れあがって困ったところへ、中国産ギョウザの中毒問題が起き、人々の間で中国産食品に対する警戒が広がったという不幸があったものの、全く存在しない地名の愛知県岡崎市一色に加工工場があるかの如く装い、神戸市の卸売業者「神港魚類」と共謀して販売した。しかも「神港魚類」の担当課長に1000万円の口止料を払い、なおかつ「神港魚類」に罪をかぶってくれるように依頼した事実まで発覚した。
いずれも言語道断な振る舞いで、厳罰に処すべき事案であるが、なぜこんなようなことが続発するのだろうか。
思うにうち続く不況で競争が厳しくなっていることが考えられるが、日本人のブランドに対する盲目的な信頼ということがある。ファッション商品では昔からピエール・カルダンの偽物は後を絶たないし、ルイ・ヴィトンの偽物は相変わらず横行している。同じようなものが単にブランドもののタグがついているだけで一挙に価格が5倍にも10倍にも跳ね上がる。よく税関では偽ブランド商品と本物との見分け方という展示をしているが、素人にはなかなかわかりにくい。本場のイタリア国内ですら、実際には中国で生産している、ということがいわれているほどで、最後には買う本人の目にかかってくる。
食品の場合、店頭で見ただけでは判断がつかず、食べてみないことにはわからない。食べた後で、違うからお金を返せ、というわけにはいかないだろう。従来はおかしいとなれば、次回からは買わなくなり、偽装食品は次第次第に市場から淘汰されていくことで、市場原理が働いていた。
ところが、この市場原理がバブルが弾けたあたりから、働かなくなったようだ。100円ショップの普及に象徴されるように急激な価格破壊が起きて、モノの値段に対する通念がなくなってしまったのだ。つまり、価格の混乱が起きてしまったのだ。どんどん価格が下がっていくなかで、価格を維持するだけのものがものが一部のブランド商品だけになってしまったのだ。その実だけを手っ取り早く獲ろうとしたのが一連の産地偽装企業なのだろう。
きちんとしたコスト管理に基づく生産とマーケティング調査をしたうえでの価格政策のある企業のみが市場の混乱に惑わされない対応ができた、ということで、「丸明」、「魚秀」ともそうした経営がなされていなかったということである。大体、社長自らが偽装を指示するなどは経営の基本からなっていない。本来なすべきこともしないで、産地偽装に走ったということで、そんな企業は遠からず市場から消えてなくなっていたことだろう。
「魚秀」のケースは中国産ウナギの在庫が膨れあがって困ったところへ、中国産ギョウザの中毒問題が起き、人々の間で中国産食品に対する警戒が広がったという不幸があったものの、全く存在しない地名の愛知県岡崎市一色に加工工場があるかの如く装い、神戸市の卸売業者「神港魚類」と共謀して販売した。しかも「神港魚類」の担当課長に1000万円の口止料を払い、なおかつ「神港魚類」に罪をかぶってくれるように依頼した事実まで発覚した。
いずれも言語道断な振る舞いで、厳罰に処すべき事案であるが、なぜこんなようなことが続発するのだろうか。
思うにうち続く不況で競争が厳しくなっていることが考えられるが、日本人のブランドに対する盲目的な信頼ということがある。ファッション商品では昔からピエール・カルダンの偽物は後を絶たないし、ルイ・ヴィトンの偽物は相変わらず横行している。同じようなものが単にブランドもののタグがついているだけで一挙に価格が5倍にも10倍にも跳ね上がる。よく税関では偽ブランド商品と本物との見分け方という展示をしているが、素人にはなかなかわかりにくい。本場のイタリア国内ですら、実際には中国で生産している、ということがいわれているほどで、最後には買う本人の目にかかってくる。
食品の場合、店頭で見ただけでは判断がつかず、食べてみないことにはわからない。食べた後で、違うからお金を返せ、というわけにはいかないだろう。従来はおかしいとなれば、次回からは買わなくなり、偽装食品は次第次第に市場から淘汰されていくことで、市場原理が働いていた。
ところが、この市場原理がバブルが弾けたあたりから、働かなくなったようだ。100円ショップの普及に象徴されるように急激な価格破壊が起きて、モノの値段に対する通念がなくなってしまったのだ。つまり、価格の混乱が起きてしまったのだ。どんどん価格が下がっていくなかで、価格を維持するだけのものがものが一部のブランド商品だけになってしまったのだ。その実だけを手っ取り早く獲ろうとしたのが一連の産地偽装企業なのだろう。
きちんとしたコスト管理に基づく生産とマーケティング調査をしたうえでの価格政策のある企業のみが市場の混乱に惑わされない対応ができた、ということで、「丸明」、「魚秀」ともそうした経営がなされていなかったということである。大体、社長自らが偽装を指示するなどは経営の基本からなっていない。本来なすべきこともしないで、産地偽装に走ったということで、そんな企業は遠からず市場から消えてなくなっていたことだろう。