鈍想愚感

何にでも興味を持つ一介の市井人。40年間をサラリーマンとして過ごしてきた経験を元に身の回りの出来事を勝手気ままに切る

それなりに楽しめたものの、キリスト教に疎い日本人にはすんなりと頭に入ってきてくれなかった映画「インフェルノ」

2016-11-18 | Weblog
 18日は東京・渋谷へ出たついでに渋谷シネマズでロン・ハワード監督、トム・ハンクス主演の映画「インフェルノ」を観賞した。2013年に刊行されたトム・ブラウンの「ダ・ヴィンチ・コード」シリーズの3作目で、今回もトム・ハンクス演じるハーバード大の宗教象徴学者、ロバート・ラングストンが主にイタリアを舞台にダンテの神曲をもとに世界に黒死病なるものを流行らせようとする一味を追いかけ、最後はその試みを止めてしまう物語で、わけのわからにグループが2重、3重にからんで必死の追走劇を繰り広げる。ミステリーとしては理解するのにやや時間がかかるが、それなりに楽しめた。
 
 地獄を意味する「インフェルノ」は冒頭、イタリア・フィレンツェの街中で、人組に追われた男が塔の上に逃げ込むが遂には塔から飛び降りてしまう場面から始まる。そこから一変して同じフィレンツェのとある病院に負傷してベッドに寝込むラングストン教授が登場する。頭を撃たれて、記憶が定かでないところへやってきた女警官がいきなり警護についているガードマンを撃ち殺し、病室に入ってこようとする。驚いた看護婦のシエナは教授と逃げ出し、自分のアパートに逃げ込む。なぜこんなことになったのかわけのわからないまま記憶を取り戻そうとするが、状況が呑み込めないまま、看護婦の用意してくれた背広を身につけ、ポケットに手をやると骨でできたペンライトが見つかる。それを操作するとダンテの神曲に出てくる場面が映し出される。

 その場面が意味する謎解きをし、ラングストンはシエナとともにボッチィチェリの絵画のある美術館やサン・ジョバンニ礼拝堂、ベネツイアなどをめぐることになるが、そこでも命をねらう一団から追われ、必死の逃亡劇を続けながら、一方で謎解きをしていく。そのうちに彼らの背後に中世の黒死病にならってウィルス菌をまいて地球の滅亡を目論むゾブリスト教授の計画を知り、それをなんとか食い止めようとすることとなる。ウィルス菌は撒布後4-7日で全人口の95%が感染するという恐ろしいもので、ゾブリスト教授は地球の人口増加を食い止めるためにはこの方法しかない、として計画したものの、実施を前に自殺してしまい、その実行は弟子に引き継がれた。

 ところがそうした事実を知った後になって、ラングストン教授と一緒に逃げていたシエナが実はゾブリスト教授の愛弟子であることが判明し、最後のトルコ・イスタンブールでのサマーコンサート会場で地下水にウィルス菌を撒布しようとの試みをラングストン教授たちが必死になって食い止め、ハッピーエンドとなる。ラングストン教授がフィレンチェの美術館から何者かに盗まれたダンテのデスマスクをこっそりと返す場面でジ・エンドとなる。

 このシリーズ特有のイタリアを中心とする中世ヨーロッパの美術や遺跡をめぐりながら展開するミステリー劇は舞台装置としては絶好のものを感じさせるものの、キリスト教に疎い日本人にはすんなりとは頭に入ってきてくれない感は否定できない。それにはじめは理解しにくいグループが次から次へと登場してトム・ハンクスに絡んでくる背景もわかりにくいところもあるが、娯楽作としてはそれなりに楽しめた。
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相手を間違えた感のある慰謝料請求裁判はあっさりと終結してしまった、棄却の見通しか

2016-11-10 | Weblog
 9日は米大統領選の行方を気にしてはいたものの、東京・霞が関の東京地裁へ裁判の傍聴に出かけた。午後1時半からの630号法廷での慰謝料請求事件の民事裁判を傍聴した。夫の不倫に悩まされた主婦が不倫相手の女性に対し、慰謝料を請求したもので、原告側は証人に当の不倫をした夫を立てていたのが不審に思われたうえ、なぜ相手の女性だけに慰謝料を請求するのか、との疑問がずっと消えなかった。原告の夫と原告、それに被告の3人の証人尋問が終わって裁判長はさっと判決の日時を言い渡した意外な結末となった。

 最初に証言台に立ったのは原告の夫で、代理人に聞かれるまま不倫に至った経緯をすらすらと述べた。それによると、被告とは15年前から務めた会社の同僚で、どちらからともなくランチをともにする仲となり、ラブホテルに行く仲となってしまい、その後新会社を立ち上げた時も一緒に移り、ときには会社で関係を結ぶようなこともあった、という。それが、ある時原告に携帯のメールを見られて発覚してしまい、被告が会社を辞めることとなった。しかし、その後も関係が続き、被告との付き合いが全く切れたようなことでもないような状態となっていた。それでも被告に対しては「お互い家庭がある身なので、このような関係になるのはよくない」と言うようなこともあったというが、それが行動になって表われるようなことはなかった。こうした場合の証人は尋問が終われば法廷を後にするケースが多いのに、原告の夫は証言が終わっても証言台の後ろの原告側に近い席に座ったまま、裁判の進行を見守っていたのが異様な感じを与えた。
 
 続いて原告への尋問となり、被告とのやりとりが聞かれ、被告に「会社を辞めてくれ」と迫ったら、被告から「3年の契約だし、社長が決めること」だ」と言われ、仕事の内容を尋ねたら「事務員でもやれば、トイレ掃除もあるのよ」と言われ、「夫が出張した際に一緒に行った」ことをなじると「そんなに気におなるのなら監視していればいい」でしょ」と居直られ、精神的に傷つけられたと主張した。「謝罪してほしくない」ともいい、裁判しなければ不倫はなくならないと思った」とも語った。この後、裁判長からの尋問で、「夫とはほとんど会話もないし、この裁判の後に離婚を考えている」とも語った。

 最後に尋問に立った被告は原告と数回会ったが、そのなかで原告から「今度会社を変わったら、そこの会社の社長とセックスしたらいい」と侮辱的な言は浴びせられたと告白した。原告から慰謝料請求の内容証明便が届いたときにはなぜそこまでされるのか、と不思議に思ったとも語った。原告側の弁護士から「いつこの不倫を終わらせようと思ったのか」と聞かれ、「新しい会社へ移るのを決めたときにそう思った」と語り、当の不倫相手が後ろで見守る前で「いまは原告の夫をどう思っているのか」と聞かれ、「大嫌いです」と言い切った。

 で、裁判長は被告になにも聞かず、裁判の終結を宣言した。通常ならここで双方に和解の意思があるかどうか打診するのだが、そんなこともなく、次回には判決の日時を双方に告げて退席してしまった。不倫の相手に慰謝料を請求したものの尋問を聞いた限り、相手を間違えているのではないか、との印象はぬぐいえない。おそらく棄却されると思われるが、裁判長もそうした印象を持って、さっさと終えてしまったのだろう。
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トランプ勝利の前に米国の政権に依存して米国はじめ世界の政治動向を伺う輩は総懺悔すべきだろう

2016-11-09 | Weblog
 9日午後、米大統領選で劣勢の伝えられていた共和党のドナルド・トランプ氏が逆転で民主党のヒラリー・クリントン候補を破り、45代の大統領に就任することとなった。米国ではずっとヒラリー氏優勢を伝えてきたので、それに乗った日本のマスコミ各社もヒラリー氏が勝利することを信じ続けてきて、まさかトランプ氏が勝つことなど全く考えてこなかったので、大幅な軌道修正を迫られることになりそうだ。安倍政権もトランプが勝つことなど想念になかったので、早速官邸の首相補佐官を米国に派遣して情報収集にあたらせるなど懸命になっている。さきの英国のEU離脱国民投票の際にも思いもしない離脱決定で大騒ぎしたばかりに今度は頼みとする米国の動向を見誤った日本政府の海外動向の分析のお粗末さが露呈された格好である。

 今回の米大統領選挙はずっとヒラリー氏優勢できていて、最終盤になってヒラリー氏のメール疑惑について米FBIが捜査に入るというニュースが流れて若干トランプ氏が激しく追い上げたことから接戦の様相を呈してきたが、それでも終始ヒラリー・クリントン氏が十中八九勝利を手にするとの報道がなされてきた。そのなかでごく一部の報道として隠れトランプ支持者が白人層のなかに根強くあるのだ、という見方もあったが、大勢に影響するほどの力にはならなかった。

 トランプ氏は過激なナショナリストで、移民問題やテロ対策についても海外に敵をつくるような過激な発言を繰り返してきたし、女性蔑視発言もあって、米国民の支持をなくしている、と見る向きも多かった。しかし、トランプ氏は過去の米国の栄光を取り戻すべく強いアメリカの実現をスローガンとしており、格差拡大に悩む白人中間層にじわりと支持を広げていると見る向きもあり、それが隠れた支持となって、実際の票数に表れてきた、とみるべきだろう。

 米国の大統領選挙は伝統的に新聞各紙がどちらの候補を支持するか明確にすることになっており、ニューヨーク・タイムズ紙やワシントンポスト紙など名だたる新聞はじめ有力60紙のうちほとんどがヒラリー氏支持を打ち出していた。トランプ氏を支持する新聞はわずかに2紙しかなく、このことも事前にはヒラリー氏優勢を伝える声が大きくなったことに一役買った。新聞各紙の米国における影響力が低下しているのかもしれないが、そのあたりも日本の消息通といわれる人が予測を誤った大きな原因といえるかもしれない。その流れのなかで9月下旬以降、3回にわたって行われた大統領選候補者のTV討論は圧倒的にヒラリーが勝利を収めた格好で終わっていたのもヒラリー優勢に拍車をかけた。

 冷静に考えれば米国の大統領はここ24年民主党と共和党が8年交代で務めてきており、民主党のオバマ現大統領が8年務めて、今度は共和党の番である。それにヒラリー氏オバマ大統領のもとで国務長官を務めており、政治家としては新鮮味がないともいえる。しかも今回の大統領選挙と同時に行われた米議会議員選挙でも共和党は米国の上下院で過半数確保を確実にしたとも伝えられており、共和党政権下でのトランプ氏は収まりがいい、ということとなる。

 そう考えてくると、日本でのヒラリー優勢一辺倒の声がほとんど米国のマスコミの乗っ買ったものであることが明白となってくる。このことは日本の政治そのものが米国一辺倒できていることと無関係ではない。安倍首相の政策が米国一辺倒であることは間違いない。それも時の米国政権一辺倒であり、その首相官邸のもたらす情報に依存して米国大統領選の予測をしているのだから、日本での読みが当たるわけがない。お粗末な日本の米国政治動向の読みである。日本の政治通といわれてきた評論家はそろって懺悔すべきであろう。
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