鈍想愚感

何にでも興味を持つ一介の市井人。40年間をサラリーマンとして過ごしてきた経験を元に身の回りの出来事を勝手気ままに切る

詐欺めいた投資案件の返還を求める民事裁判に呆れかえった

2010-09-30 | Weblog
 29日は東京・霞が関の東京地裁へ裁判の傍聴に出掛けた。午後2時から625号法廷での不当利得返還を求める民事訴訟裁判の傍聴をすることにして、5分くらい前に傍聴席に入ると、被告席にはまだだれも来ていなかった。定刻を過ぎて被告側の代理人と被告2人が連れだって入廷したが、被告はいかにも胡散臭そうなサングラスをかけた30代の男性といわくありげそうな中年の女性で、傍聴席には他にだれもいなかった。
 まず、原告が証言台に立ったが、被告の男性にいなくなった女性のことで相談を持ちかけるうちに、被告が業務としているタレントの発掘・養成のプロジェクトに500万円もの資金を投じてしまい、その返還を求めた裁判であることが明らかとなった。新宿の喫茶店で、もう一人の被告で、元貴族と称する女性の口車に乗ってしまい、資金を投じることとなったものの、その資金は被告の会社の経費となったのは明らかで、世の中にこんなあやふやなことで大金を投じる人がいるものだ、と呆れかえった。
 続いて、被告側2人の証言となったが、武内晃一なる被告は自らのホームページを主宰し、水商売関係では著作をものにし、その世界では有名人であることが明らかとなったが、原告側の代理人の質問に対して自ら経営する会社の貸借対照表の中身を聞かれてもほとんど知らないうえ、原告と交わした契約書のコンサルティング業務の内容についてもコーディネートと同じことだ、と思いこんでいるなどお粗末な経営ぶりを曝け出した。
 夜の世界では帝王的な存在であるかもしれないが、こと会社経営では素人そのもので、そんな素人に大金を投じた原告も憐れといえば憐れではあるが、半ば自ら播いた種といえなくもない。
 傍聴しているうちにこんな詐欺めいた投資案件に関わっての裁判に貴重な時間を費やしている裁判長はじめ、原告・被告側の代理人が可哀想になってきた。刑事裁判ではどんな凶悪犯に対しても国選弁護人がつくことになっているが、こちらは民事裁判なので、勝ち目がなければ断ることもできるだろう。なのに明らかに非のある被告側の代理人を務めている弁護士を最初は同様に悪に染まっているのかな、と思って見ていたが、原告側の尋問で被告の会社がとんでもない財務状況にあることが暴露されるに至って、弁護士費用すら払えない状況にあることがうかがえたあたりから、被告側の弁護士の表情が曇ってきたようにも見えた。
 最後に裁判長は和解の可能性を打診する暇もなく、いきなり「次回の判決は11月29日、13時10分です」と宣告した。ずっとひどい内情を聞いていたうっぷんを晴らすかのようでもああった。なにがしかの返還を認めることにあんるのだろうが、被告にそれだけの財政負担能力があるかどうかは考慮の外ということとなることだろう。
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言論を封じられた社外取締役の存在意義はあるのか

2010-09-29 | Weblog
 都内のとある企業の社外取締役を務めるSさんの話である。先日、月に1回の取締役会で、通常の議題の審議を無事に終え、ランチをはさんでのミーティングに移ろう、ということになり、常勤役員は席に戻って業務のチェックなどをしている間、手持ち無沙汰で、取締役会の資料を改めて見ているうちに、最後に通常見慣れない「取締役会(書面報告)資料」なるものがあるのを見つけた。会議の最後にでもそうした報告もなかったので、何かなと思って見て、一瞬凍りついた。
 そこには2週間に1回、定期的に開催している執行役員会の規定の改定について書かれていた。改定の内容は3点で、うち2つは議事録と作成・閲覧と事務局に関するものでなんということもなかったが、問題は規定の冒頭にある執行役員会の構成メンバーに関するものだった。従来は「取締役およびあらかじめ選任された執行役員」となっていたのが、「取締役および」との文言が削除されていたのである、という。その理由として「会議の目的(日常の業務執行事項の報告、諮問)と構成員に不一致が生じている」となっていて、構成員のうしろにカッコして「日常業務を担当しない社外取締役が含まれている」と書かれていた。
 確かにSさんは1年ちょっと前まで執行役員会に1年間ずっと出席して、時には意見を述べたり、していた。取締役会で審議される案件のほとんどが執行役員会であらかじめ議論、決議されるケースが多くて、月に1回だけの取締役会だけでは社外取締役としての責務を果たせない、と思ったことと、当時社外取締役が複数いて、役割り分担するのもいいかな、と思って、社長の了解を得て、オブザーバーとして参加していた。オブザーバーなので、できるだけ聞くだけの態度で通していたが、それでもSさん生来の地が出て発言するようなこともあった。それも先任の社外取締役が引いてからは一切、出席しなくなった。
 それがいまになって「社外取締役は執行役員会に出席するな」と言わんばかりの規定改定とは、それほどうざい存在だったのか、といまさらながら当時の雰囲気を振り返った、という。Sさんは常に会社のためを思って発言しているのだが、中で業務を担当している社員からみれば、「何もしていないくせに……」と思われていたのか、と思うと、情けないやら、腹立たしい気持ちになって、一時落ち込んだ、という。
 そうしたSさんの思いを考慮して、「書面報告」という見慣れないスタイル、となったものと思われる。ただ、社内の会議がいかに行われているかを社外取締役の目からシャットアウトするこのような規定の改定はコーポレートガバナンス上、問題があるのではないか、とも思い直した、ともいう。規定の改定を決めた執行役員会の席上、そこまで踏み込んだ議論が行われたどうか、定かではないが、単にSさんの日頃の言動に対する反感だけからそうした決議を行った、としたら問題だろう。
 日常業務を担当していない、ということを理由に社外取締役の言動を封じ込めるのなら、社外取締役は何も言えないし、何もできないことになる。そもそも社外取締役を置く必要すらなくなってしまう。Sさんがやる気を失くしたのも無理はない。
 Sさんは一度、機会をとらえて、心のうちをぶちまけて議論してみたい、と言っていたが、日本の会社の社外取締役はまだまだお飾りにすぎないことを物語ってもいる。
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近くの病院からスリッパがなくなって却って清潔感が出て、スッキリとした

2010-09-28 | Weblog
 27日、かみさんが先週から行き始めた耳鼻科にビタミン12の注射をうちに行くというので、「保護者として付いて行こうか」と言うと、「いい」といい、「それより耳を診てもらったら」と言う。そういえば、このところずっと右耳の外耳がぐちゅぐちゅしていて、少し気になっていた。かゆくなるので指で擦ると、かさぶたが張るようなことを繰り返していて、今日もかみさんに耳の中を点検してもらうと少し腫れている、という。で、雨の中、山口耳鼻科へ2人で出かけた。
 山口耳鼻科へ罹るのは2年ぶりくらいで、入口を入ると、靴脱ぎ場があって、傘を傘立てに置き、さていつものように靴を脱いでスリッパを履こう、としたら、スリッパが見当たらない。「アレッ」と思って、周りをい見渡すと、壁に「そのままお上がり下さい」とのい貼り紙がしてある。待合室に座っている人を見ると、確かに土足のままいる。フロアは磨きたてられたようにコンクリートの滑らかな床で、さほど汚れた感じもなかった。
 そういえば、昔から病院、特に小さな個人医院に行くと、決まって玄関口で、靴を脱いで靴箱に入れ、代わりに段ボール箱の雑然と置かれた両足ごとに束ねられたスリッパが置いてあり、そいに履き替えるのが当たり前だった。小児科医院となると、子ども用の小さなスリッパが用意されていて、病院とはこういうものだ、と思い込まされていた。
 ただ、雑然と置かれたスリッパのなかには破れかかったものもあり、全体にうすら汚れていて、そんなのに履き替えるのにちょっとした抵抗感があったのも事実だった。だれが履いたのか、わからないスリッパを履くのにも嫌な感じがあった。多分、看護婦さんもスリッパのメンテナンスまでは仕事のうちに入っていないのだろう、スリッパ群はいつ見ても汚らしい感じだった。本来、清潔であるべき病院がなぜ、こんな不潔なことをして、平気なのか、と疑問を持ったこともあった。
 それが、この山口耳鼻科ではつい最近の改装を機に土足で上がれるようになり、待合室も診察室もそのまま行けるようにした。この方が合理的で、却って清潔感があり、スッキリとした。考えてみれば、埃っぽい田舎の中にある病院は別として、都心の街中も最近はほとんどコンクリートで、土の上を歩くこともないから、靴が汚れるということもあまりない。少なくとも都心の医院は土足のままで問題ないだろう。
 多分、明治の最初の頃に最初に開設された医院が欧米の例などを見て、入口でスリッパに履き替えることを始め、それが全国に広まっていったのだろう。医院の内装工事をする業者も入口に靴箱を作りつけるのが当たり前と思い込んで、今日に至ったのだろう。病院という場が通常の生活の場から離れた特別のところである、という意識を持たせるのに格好の具ともあんっていたのかもしれない。人間というのは一旦思い込むと、なかなか改めようとはしないものだ、という好例なのかもしれない。
 いまに日本中の病院からスリッパはなくなっていくことだろう。
 
 
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こと中国問題で政府の施策をなじるのは国益に反することだ

2010-09-27 | Weblog
 中国の尖閣諸島をめぐる日中間の交渉がさらに混迷の度合いを深めてきた。海上保安庁の巡視艇に衝突した中国漁船の船長を処分保留のまま無条件釈放したことで一件落着か、と思ったのに、中国側は謝罪と船長拘束に対する賠償を要求するという予想外の挙に出てきたからだ。法的に争うのでなく、頭ごなしに謝れ、と喧嘩を売るような態度に出てきた背景に一体何があるのか、こじれた日中関係は修復の見通しはあるのだろうか、不安になってくる。
 中国の謝罪と賠償請求に対して、日本側は「一切応じる考えはない」と一蹴しているが、これに対して中国側は再度、謝罪と賠償を要求し、強硬な姿勢を変えていない。さらには中国国内の学者が1950年代に日本が作成した世界地図によると、尖閣諸島は日本の領土と明記されていないことを指摘するニュースを大々的に配信している。政府の公式見解でなく、マスコミが流した情報という体裁をとってはいるが、明らかに政府の意向を受けての意見表明であるのは明らかである。
 26日にテレビで流れたニュースによると、中国は先に国連総会で、温家宝首相が「船長の無条件釈放を要求する」と述べた一方で、温家宝首相はアジアアフリカ諸国とのエイズ撲滅会議に出席し、中国は「エイズ撲滅のための資金協力を惜しまない。一緒に協力しましょう」とエールを送っている。日本に外交的な屈服を強いる一方で、チャッカリと第3世界諸国の支援を取り付けているあたり、相当な外交手腕をみせつけていた。
 これに対して管首相は国連総会の場ではオバマ米大統領との首脳会談をこなすのが精いっぱいの様子で、精力的に諸外国の首脳との会談が行われたとの話は伝わってこなかった。考えてみれば、ニューヨークの国連総会の場に当事者である温家宝首相が目と鼻の先にいるのだから、当面する尖閣諸島の問題について話し合おうとすれば、いくらでもできた状況にあった。それをせずに沖縄地検というローカルな手綱を手繰り寄せて、解決を図ろうとしたのは奇異といえば奇異なことではあった。
 1950年代の日本製地図についても当時、沖縄は米国の占領下にあり、尖閣諸島は日本領土ではなかったのが事実のようだが、この事実を中国に対して発信する手立てがないのも憐れといえば憐れなことである。
 中国側がここまで強硬な姿勢を貫いているのは来月の1日に1年で最大のイベントである国慶節、それに党中央委員会総会を控えていて、ここで政府の弱腰な姿勢など見せられない状況にあるからである。国内には少数民族の統治や、貧富の格差の拡大など諸問題を抱えているうえ、次代への政権委譲もあり、ここは日本に対して強い態度で臨むのが得策との判断があるのは確かだろう。
 それにしても日本国内での谷垣禎一自民党総裁はじめ野党の「無条件降伏」とか、「検察を隠れ蓑としている」との政府批判は聞いていて、その通りかもしれないが、国益を考えたら問題ではないか、と思える発言には呆れかえる。確かに政府の外交はなってないかもしれないが、ここで政府を叩くことは敵である中国を利することにしかならない、とどうして考えられないのだろうか。日本でのこうした声は中国政府には筒抜けとなっており、これが民主主義のいいところではあるかもしれないが、少しは国益を考慮すべきだろう。
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便利なはずのホテルのネット予約もそれなりの体制とスキルがないとできないのを実感した

2010-09-26 | Weblog
 かみさんの兄夫婦が来月末に上京するので、ホテルを確保してほしい、との連絡があったので、早速、溝の口駅前のホテルメッツにとろう、と思って、メッツホテルのホームページを開いた。メッツホテルに宿を頼むのは12年前に親父の葬式の際、親族が参列するのに5.6部屋取って以来のことだった。当時はネットでの予約がいまほど盛んではなかったので、いきなりフロントへ行き、予約し、宿泊料金を払ったたことを覚えている。
 いまはすっかりネットでの予約が当たり前となっているので、メッツホテルのホームページから溝の口店の予約へ行くと、部屋のタイプがシングル/ツイン/セミダブル、喫煙/禁煙、駐車場付きの24通りもあり、それぞれ空き状況を確認したうえ、予約できるようになっている。義兄は車で来るということだったので、駐車場付きのツイン、禁煙で空き状況を見ると、いずれも満室となっている。来るのは10月なので、翌月を見ると、これも連日満室で、「×」となっている。休日前の金曜日や土曜日ならともかく平日までもが満室で、連日「×」となっている。
 仕方なく喫煙で検索しても同じことだった。さらに、駐車場付きでなく、ツインで検索しても同じことだった。いかに駅前とはいえ、メッツ溝の口ホテルがこれほど人気があるものなのか、と驚いた。地元のホテルなので、普段はまず利用しないが、意外と東京への出張者が郊外の宿泊先を求めて、かくなる事態になっているのだろうか。それとも予想以上に景気なるものは底固いのではにないか、とも思った。
 かくなるうえは電話で直接聞いてみるしかない、とホームページで確認した電話番号をかけて、出てきた担当者に希望の日を告げ、「駐車場付きでお願いしたいのですが」と言うと、あっさりと「空いてます」と言うではないか。思わず、「ホームページでは満室と出ていたのに……」と尋ねると、担当者は「そうなんです。ホームページではそうなっているんですが、実はネット上で公開している部屋数はそんなに多くないんです」としらっと語った。
 そんな重要なことを不用意に語っていいのか、こちらの方が不安になったが、それよりはまずはポテルの確保が大事なので、「ではお願いします」と言って、義兄の名前を告げ、予約を完了した。
 それでも若干の不安があったので、その日の午後に駐車場なるものを見がてら、予約金を払いにフロントに行き、名乗った担当者にお金を払い、その時に「ネットにあげる部屋数は3部屋くらいですか、それとも5部屋くらいですか」と聞くと、言葉を濁して答えてくれなかった。
 大手のホテルチェーンのなかにはネットと予約すれば割り安の料金を呈示しているところもあるが、メッツホテルは単にネットで予約できることにしているに過ぎない。だからか、ネットで予約する人がいないのかもしれない。フロントに行ってみて、毎日ネットで予約してくる人への対応をきちんとしているような感じは受けなかった。だからか、ネットでの予約を十二分に活用しないのだろうか。それにしても「毎日満室」ではネット予約している意味はない。本部からの指示で仕方なく応じてやっている、ということなにだろうか。
 ネットで明らかになる情報を仕入れたうえで、電話すれば便利であるのは確かである。ただ、予約して直接売り上げに貢献できるほどにネットを活用するにはそれなりの体制なり、スキルも必要となる。それだけの力がないとできないので、あまりネットでの予約が入らないということになると、段々縮小していくことになるのだろう。
 よくネットの世界は「1強99弱」の一人勝ちとなる、と言われる。ホテルのネット予約でも同じことで、すでに力のある大手しか活用できない時代に入りつつあるのだろう、と思った次第。
 
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またしても中長期的な戦略のない、外交下手な日本を印象づけた中国人船長の無条件釈放

2010-09-25 | Weblog
 沖縄・尖閣諸島近くで中国漁船が日本の海上保安庁巡視船に衝突した事件で、那覇地検は24日午後、公務執行妨害で逮捕・送検した中国人船長を処分保留で釈放する、と発表した。中国側がこの日までに温家宝首相が国連の場で「船長を釈放しないなら、さらに強硬な措置をとる」と明言したうえで、日本の民間人4人を取り調べたり、レアアースの対日輸出を禁止したり一連の対抗措置に出たことから、これに抗しきれなくなったものと見られる。政府はあくまでも検察の判断に政治色はない、と言い切っているが、またしても外交下手の日本の弱点が国際社会に露呈され、残念なことである。
 中国人船長の釈放にあたって、那覇地検の鈴木享次席検事は「我が国国民への影響や今後の日中関係を考慮すると、これ以上身柄を拘束して捜査を続けることは相当ではない、と判断した」と検察としては異例ともいえる見解を表明した。このところ、無罪となった厚生労働省の村木厚子元局長の検察の取り調べにあたって、大阪地検の担当検事がデータを改竄した事実が明らかとなって、検察に対する目が厳しくなっているのを受けてか、バイアスのかかった判断となったことは否めない。
 日本側はずっとこの問題が発生してから、「粛々と国内法に基づいて処理する」との冷静な対応をしてきた。これに対し、中国側は尖閣諸島は中国の領土であることを前提に執拗に船長の即時釈放を要求し、上海万博への日本人学生1000人の招待を取り消したり、日本への中国人観光客のツアーを相次いでキャンセルし、これらに呼応して中国民間人の北京の日本大使館への抗議デモを連日行われるなど国内世論を巻き起こしてきた。
 さらには中国河北省の軍事管理区域でビデオ撮影したとして、日本の建設会社「フジタ」の社員4人を逮捕して取り調べに入ったほか、世界で圧倒的なシェアを持つレアアースの対日輸出を禁止する措置に出るなど、次第に対抗措置をエスカレートしてきた。
 これに対して日本側は前原外相とクリントン国務長官との会談や菅首相がオバマ米国大統領との首脳会談で、尖閣諸島が日米安保の対象であり、共同して中国に対してけん制することでは意見の一致は見ても、肝心の領土問題にまでは踏み込まず、温家宝首相が効果的にスピーチするのに比べると戦術的には1も2も劣っていたと言わざるを得ない。
 そして、その結果が屈辱的ともいえる無条件の船長の釈放である。ここまで粛々と国内法に則って対処してきたのが何だったのか、と思わせるような情けないことである。24日に専門家が言っていたが、「衝突の場面のビデオがあるのだから、国連などの場でビデオを公開して、非は中国にあるのだ、ということをアピールすべきだった」と思う。粛々と対応する、と言いながら、中長期的にどうするのかという戦略がまるで見えてなかったのはいかにもまずかった。外務省の官僚は一体、この間、何をしていたのだろうか、不思議でならない。
 こうした強硬な姿勢をとる中国はもともと国内の問題を対外的な問題にすり替えることに巧みな政治体質があり、今回も多民族社会の複雑な内政問題を抱えていた状況にあった、と指摘する声もないではない。さらにはこのところの中国の経済成長で日本のGDP(国内総生産)を追い抜き、米国に次ぎ世界第2の経済大国の地位を固めつつあることも大きく預かっていると見られる。いままでは日本の経済を頼りにしていたのが、いまやその関係は逆転しており、トップはともかく政府中枢部のなかに「日本なにものぞ」と侮る気持ちがなきにしもあらず、ではなかろうか。
 それに対して、日本政府のお膝元をみると、与党の松原仁衆院議員などからも今回の政府の対応はまずかった、と指摘する声が出ており、与党そのものが一枚岩でないことはいかにもまずい。外交交渉で足元からこうした声が出るなどいかにも外交下手を地dえいくようなものである。
 いずれにしろ、またしても外交下手の日本を国際舞台で露呈することとなった。お粗末な一幕だった。
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餃子の王将チェーン店の低価格路線に異変が起きた?

2010-09-24 | Weblog
 先日、いつもお世話になっている会社で会議が夜に行われていつもなら夕飯が出るのに経費削減で夕飯がカットされてしまい、午後9時すぎに溝の口駅に降り立ち、ふと駅前の「餃子の王将」溝の口店に足を運んだ。以前は見向きもしなかったのが、ここ1、2年すっかり「餃子の王将」店が気に入って、かみさんとよく利用しているので、その気になったのだ。いつもなら20~30組が客待ちリストに名を連ねて待機しているが、さすがにその時間となると、3組くらいしか待っていなくて、すぐにカウンター席に案内された。
 早速、いつものニラレバー定食を注文して、具たくさんのニラレバーと餃子を食べ終えて満腹となったところで、レジに進み、代金の924円也を払ったら、係の店員が「会員登録用のスタンプカードなるものをお持ちですか」と聞いてきたので、「ない」と答えると、スタンプを押して差し出してきた。以前にももらったことがあったが、2カ月で1万円も食べないと会員になれない仕組みで、安いこの店で1万円も使うのはしんどい、と思って会員になることを諦めたことを思い出した。
 で、帰り際にそういえばニラレバー定食の値段は以前は800円そこそこだったことを思い出した。800円と900円では随分感覚が違う。2人で腹いっぱい、しかも美味しく食べて1500円そこそこで済んでしまうのは驚異的だ。ニラレバーと餃子を2人分、近くのスーパーで食材を買ってきて、作ったら、まず2000円ではあがらない。なおかつ、作る手間も要らない、とあれば流行るはずだ。マンションの住人のなかには毎日のように通っている人もいる、と聞くくらいだ。
 餃子の王将チェーン店はチェーン店ごとにメニューを開発させて工夫させていることでも有名で、値段もある程度店長の裁量に任せられているのだろう。溝の口店は神奈川県下で最大の売上高を誇る店舗だ、という。安い店が居並ぶことで有名な溝の口にピッタリのお店でもある。
 そのお店が値上げに踏み切ったのだから異変といえば異変でもある。そう思っていたら、日本経済新聞に王将フードサービスが2011年3月期の連結経常利益が従来予想を9億円下回り、前期比6%減の102億円となる、と発表したとの記事が掲載されていた。売上高は増えているものの、既存店の売り上げが今年6月に2年11カ月ぶりに前年同月割れとなり、3カ月連続していることから下方修正となった。経常利益がマイナスになるのは10年ぶりのことで、低成長下の優等生だった王将フードサービスにも陰りが出てきた。
 こうした背景から、値上げとなったようだが、800円と900円とではわずか100円の差だけとは」いえない大きな差がある。900円では1回の食事の価格としては1000円に近く標準的な価格で、決して安いとは言えない。1000円なら他にもっと美味しいものがあるだろう、と思ってしむのが一般のサラリーマンの感覚だろう。
 「餃子の王将」の値上げが一時的なもんか、継続していくものか定かではないが、王将の売り物である低価格路線が修正されるようなことがあっては客足は遠のくばかりだろう。ここは踏ん張って、新たな食材なり、メニューなどの開発で、持ち前の低価格路線を貫いてほしいものだ。
 
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単なるメールのやりとりだけの証拠で不倫の損害賠償請求とはいかにも勝ち目がない

2010-09-23 | Weblog
 22日は東京・霞が関の東京地裁へ裁判の傍聴に出かけた。午後1時15分からの618法廷で、女性が女性を相手に損害賠償請求する民事裁判を傍聴することとした。代理人の弁護士席に相対して、原告、被告の中年の女性が向き合い、傍聴席に座っていた男性がまず被告側の証人として証言台に立った。原告の夫の数十年来の友人で、原告が離婚に至った前後の事情を聞かれる。続いて証言台に立った原告の夫も冷静に離婚に至った状況を淡々と述べた。その間、ずっと苦虫を押しつぶしたようんあ仏頂面で聞きいる裁判長の姿が気になって仕方がなかった。
 原告の夫はJTに勤めるエリートサラリーマンで、重要なプロジェクトチームのリーダーを任され、毎朝7時半から深夜2時過ぎまで働く典型的なモーレツサラリーマンだった。そんな生活から妻はママさんバレーにのめり込み、家庭をかえりみなくなっていき、次第に夫婦間の溝が深くなっていった。その後、夫は英国勤務を命じられたが、家族同伴が原則なのに単身赴任することとなった。3年間の英国勤務中に大分・別府に住む夫の父親が亡くなり、母も脳梗塞で倒れることがあり、英国から帰国して看病するうちに夫婦間の愛情はすっかり醒めてしまった。
 英国から帰国して高崎に単身赴任している時も別家族のような冷え切った生活となり、遂に離婚することになり、簡易裁判所の調停を経て、平成21年に離婚することとなった。それで離婚を決意した平成16年ころから被告とは学生時代に楽しんだ音楽を通じての知り合いで、「結婚を決めていたわけだはないし、いまもそうだ」と答え、いつも聞く不倫裁判とは少し違う様相を呈してきた。
 これは被告の尋問でも同じで、音楽を通じての友人ではあることは認め、お互いに行き来はしているが、単なる友人を超えるものではなく、結婚のことを聞かれても「将来のことはわかりません」と答え、「その意思はありますか」と聞かれても「わかりません」と答えた。不倫についても原告側の弁護士は追及せずに肝心の事実は浮かびあがってこなかった。
 最後に原告が証人に立ったが、そこで夫との離婚調停中に被告とのメールを見つけ、それが唯一の証拠であることが判明した。しかもそのメールのプリントアウトを知人に頼んだということで、どういうわけか日付けが漏れていることも判明した。夫の母親に浮気の事実を告げた際には別の女性である、と思っていた事実も明らかとされた。夫と被告の間の関係について興信所の調査をするなりして、決定的な証拠をつかんだうえでの告発ではなく、単にそれらしきメールの存在、しかもそのメールの処理を他人に委ねている状況で、相手に損害賠償請求しているのでは勝ち目がないのでは、と思われた。損害請求するにしても金額の算定はいかようにしたのだろうか、との疑問が湧いてくる。
 そんな裁判であるのを見越して、裁判長は最初から仏頂面をしていたのだろうか、いずれの尋問でもなんら質問もせずに、最後は和解の「わ」の字も出さずに、いきなり「次回は11月19日午後1時10分から判決です」と宣告した。被告側の弁護士がないやら食い下がっていたが、おそらく損害賠償は認められないということで結審することだろう。
 賢こそうな原告側の弁護士であったが、最後は諦めているようでもあった。弁護士といえども原告がやるといえば、止められないのだろう、とも思った。 

 
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企業は守りの時は一気加勢にいけるが、元に戻すのには時間がかかるものだ

2010-09-22 | Weblog
 東京・港区に本社を置くM社のことである。技術者の人材派遣を業としているが、2年前のリーマン・ショックの直撃を受けて、売上高は一挙に30%も減少し、それまで順調に利益を出していたのが、水面下に突入してしまった。得意先の大手自動車、電機メーカーが一斉に派遣社員切りを始めたため、モロに影響を受けてしまったのだ。6000人からいたエンジニアのうち2000人が仕事がなくて復帰してくる事態に見舞われるという未曽有の事態に陥った。
 それでもM社は「雇用を守る」という姿勢を貫き、待機しているエンジニアの教育研修に努め、じっと耐え忍んできた。もちろん、待機中のエンジニアは派遣されている時に比べ報酬はダウンするが、それは規定通りの減収で済んだ。ただ、余りにもその数が多かったために役員、管理職の報酬カットや賞与の削減に取り組んだ他、数々の営業活動や報奨金を軒並み廃止した。そして、折りからの雇用調整給付金の申請・給付で、なんとか最悪の事態に陥ることだけは回避できた。
 それでもこの3月に締めた平成21年度決算は創業以来初めての赤字となり、無配となった。しかし、じっと耐え忍んだ成果がようやく今年になってから出始めて、今期はなんとか利益を計上できる線まで回復の兆しが出てきた。全社あげて営業強化に取り組んだことと、なんといってもまだ雇用調整給付金のおかげでもある。
 とはいえ、まだ病み上がりの状態で、往時の売上高経常利益率20%で、年間純利益が50億円というところまでいけるか、というと覚束ない。回復したといっても稼働率でみると、まだようやく80%を超えたに過ぎない。往時は稼働率は100%近かったのだから、まだ20%弱の需要が戻っていない。問題はこの需要が往時の状態に戻るかどうかで、国内の自動車、電機メーカーの派遣技術者に頼る傾向が中国など海外への生産の比重が高まるにつれ、大幅に変化してきていることだ。
 ようやく稼働率は上向いてはきたものの、需要構造に質的な変化が見られる以上、楽観は許されない。M社はいまだに社内に遊休エンジニアを1000人以上抱えており、国からの雇用調整給付金の支給を受けている。それでやっとブレークイーブンポイントを保っている状態で、社内の管理職の報酬カットや賞与の削減、それに数々のインセンティブを往時の状態に戻していくプロセスを辿ろう、としている。
 それも雇用調整給付金というミルクを徐々に返上しつつ、国内の需要の回復度合いをにらみながら、アクセルを吹かしていく、という感じである。丁度、山を登る時は頂上をめざして一気にかけ登ることができるが、山を下る時に転んで足をくじくことが多く、登山の事故は下りの時が多いのと同じように、企業も守りの時は一気加勢にいけるが、いざ業績が回復して元のい戻そう、とする時には慎重に検討に検討を重ねて、事を進める感じとなっている。
 なにしろ、未曾有の事態なので、議論百出で、なかなか決まらない。そのうえ、いままで作成してこなかった中長期の経営計画も作ろう、ということになって、連日会議に次ぐ会議の状態に陥ってしまった。もちろん、議論を尽くすに越したことはない。明日へのヴィジョンこそがうち萎れた従業員の志気を高めることとなるだろう。
 従来の日本企業にはこんな時に外部要因の風が吹いたりして、難局を乗り切ってきたのだが、いまはそんな神風を期待するのは無理なことだろう。ここは地道に一歩一歩、道を切り開いていくしかないのだろう。
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若気の至り? 都市ガスとプロパンガスの違いを認識せずに使用していた

2010-09-21 | Weblog
 知人のKさんのことである。結婚して2年の長男の嫁が2人目の子の出産で、実家へ帰ったので、子守りを兼ねて一緒に実家へ帰り、家を1カ月近く空けた。その間、アパートの風通しをよくすることもあって、時々見に行くように頼まれた。Kさんのかみさんは折りを見て、のぞきに行ったが、生来の掃除好きが昂じてか、そのうちに毎日出かけて行くようになってしまった。最初はちょっとした洗濯物のあと片付けで済んでいたのだが、プラスティック製の整理棚を購入して、大規模な整理を始めてしまった。
 それまでお嫁さんの手前、そんなに家財の整理には手をつけなかったのが、1カ月の不在で、総点検したところ、息子の衣類がほとんど丸めて押入れの奥に突っ込まれているのを見て、整理したくなったようで、すべてを洗濯してきれいにして、プラスティックケースを購入して、きちんと整理しだしてしまった。そうなると、持ち前の整理くせがニョキニョキ芽を出して、とことんやらないと済まなくなってしまい、ほぼ2週間、連日のように出掛けていってはひたすら掃除、洗濯にこれ務めた。それだけでなく、窓になかったカーテンをつけたり、裸電球ひとつだった部屋の照明を蛍光灯に切り替えたり、大改装もやってのけた。
 おかげで本来のKさんの家の家事は2の次ぎとなり、時には夜遅くなってから帰ってきて、夕食も簡単なもので済まされることもしばしばだった、と一時、Kさんはこぼしていた。
 Kさんは2人目の赤ちゃんの誕生祝いを兼ねて、長男にかねてガスコンロを贈ることにして、近くの家電店で都市ガス用のコンロを購入して配達し、設置してもらったところ、それまで使っていたガスコンロがプロパンガス用のものであることが判明した。独身時代に住んでいたアパートのプロパンガスだったため、そのまま持ち込んで使っていたようで、よく爆発事故が起きなかったものだ、と胸をなで下ろした、という。プロパンガスは空気より比重が重いため、下に溜まるので、コンロもそのように設計されている。逆よりは安全かもしれないが、よく事故が起きなかったものだ。道理で、ガスコンロの点きがよくなかったわけで、配達してきた店員も驚いていた、とか。
 もうひとつ、そのアパートを出る際に長男はゴミ置き場の専用のポリバケツに生ゴミを仕分けせずに放り込んでいったので、そのまま2週間近く放置されていて、中でウジ虫が大量に繁殖する羽目になっていた。発見したKさんのかみさんは殺虫剤を撒いて、ウジ虫を殺したうえで、生ゴミの残骸をビニール袋で何重にも巻いたうえで自分のマンションのゴミ捨て場の持ってきて処分した、という。
 そんなKさん夫婦の悪戦苦闘を知ってか、知らずか、無事2人目の出産を終えた長男夫婦は久しぶりの帰ってきた我が家がすっかりきれいになっているのを見て、感激し、「ありがとう」と感謝の言葉を述べた、という。が、肝心のいKさんのかみさんはそれを聞いて安心したのか、ウジと埃にまみれて悪戦苦闘したのがたたったのか、それから熱を出して2、3日寝込んでしまった、という。
 2軒もの家の主婦をするのは大変なことだろう。それも積年の膿みを一挙に大掃除するようなことをし遂げたのだから、どっと疲れが出たのだろう。
 Kさんは若かりし頃を振り返って、自分も同じようなことをしてきていたのだろうか、としばし回想し、これを若気の至り、というのかしら、と思った。
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