会社の同僚のZ氏のことである。事の発端は今年はじめの親会社の賀詞交換会に一緒に行こう、ということになって、地下鉄のホームへ行き、電車に乗り込み、座席に隣合わせに座っても一言も言葉を発しない。駅に着いてもスタスタと前に歩いて行き、これでは一緒に行く意味がない。およそ話しをしよう、という態度が見えないのだ。何が気に入らないのか、同僚とは思えない。これまで何回も親会社に共に出向いているが、こんなことは初めてのこである。
Z氏とは会社の同期入社で、これまで顔を合わせれば話をし、同期会ではお酒を飲んだりしてきた。3年前から誰の差し金か、いまの会社で机を並べて同じ仕事をするようになった。一緒に仕事をしてみて、Z氏がいかにいい加減で、きちんと仕事をしない人であるか、よくわかった。同期の間ではあまり評判のよくない理由も納得がいった。いつも会社に寝に来るのか、と思うほどいつもコックリ、コックリと舟を漕いでいる。そのくせ、妙に対面を気にして、やたら原理原則を振り回す。
先日も仕事を進める上での基準を作る作業を頼んだら、いつものやっつけ仕事で、おまけに以前からある基準との整合性をまるで取っていない。それを指摘すると、「そもそも基準に沿ったことをやってないじゃないか」と他人事のようなことをいう。もともと、その仕事は年度のはじめにZ氏自らやる、と言い出したことなのに、呆れてしまった。
昨年末に麻布十番のそば屋で、恒例の忘年会を開いた折り、誰かが具体的な人名を挙げて、春の定期人事異動での動静をZ氏に尋ねたところ、Z氏は「そういう話はしないことにしている」とキッパリ言い、周りを唖然とさせた。みんな、いつもはそんなことはないのに、なぜ、と不思議がった。一辺に酒が不味くなり、全体にシラケたムードが広がったのは言うまでもない。おかげで、年が明けて新年会をやろう、とはだれも言い出さなくなってしまった。
あとでわかったのだが、Z氏はどうやら、年末に親会社の人事担当者から呼び出され、「お役御免」を申し渡されたようなのである。もともとZ氏は自分のことしか考えない人なので、他人の人事なぞ興味がないし、お役御免とあらば尚更だ。
それでも引き続き任期切れの3月末まではZ氏と机を並べていかなければならない。こと人事に関しては鈍想愚感子の運命も同じようなものだが、いずれにしろZ氏とはあとわずかの辛抱である。よく、離婚寸前の奥さんが旦那に向かって、「あなたと同じ空気を吸いたくない」と宣言する、と聞くが、Z氏に対する気持ちはそれと同じである。
Z氏とは会社の同期入社で、これまで顔を合わせれば話をし、同期会ではお酒を飲んだりしてきた。3年前から誰の差し金か、いまの会社で机を並べて同じ仕事をするようになった。一緒に仕事をしてみて、Z氏がいかにいい加減で、きちんと仕事をしない人であるか、よくわかった。同期の間ではあまり評判のよくない理由も納得がいった。いつも会社に寝に来るのか、と思うほどいつもコックリ、コックリと舟を漕いでいる。そのくせ、妙に対面を気にして、やたら原理原則を振り回す。
先日も仕事を進める上での基準を作る作業を頼んだら、いつものやっつけ仕事で、おまけに以前からある基準との整合性をまるで取っていない。それを指摘すると、「そもそも基準に沿ったことをやってないじゃないか」と他人事のようなことをいう。もともと、その仕事は年度のはじめにZ氏自らやる、と言い出したことなのに、呆れてしまった。
昨年末に麻布十番のそば屋で、恒例の忘年会を開いた折り、誰かが具体的な人名を挙げて、春の定期人事異動での動静をZ氏に尋ねたところ、Z氏は「そういう話はしないことにしている」とキッパリ言い、周りを唖然とさせた。みんな、いつもはそんなことはないのに、なぜ、と不思議がった。一辺に酒が不味くなり、全体にシラケたムードが広がったのは言うまでもない。おかげで、年が明けて新年会をやろう、とはだれも言い出さなくなってしまった。
あとでわかったのだが、Z氏はどうやら、年末に親会社の人事担当者から呼び出され、「お役御免」を申し渡されたようなのである。もともとZ氏は自分のことしか考えない人なので、他人の人事なぞ興味がないし、お役御免とあらば尚更だ。
それでも引き続き任期切れの3月末まではZ氏と机を並べていかなければならない。こと人事に関しては鈍想愚感子の運命も同じようなものだが、いずれにしろZ氏とはあとわずかの辛抱である。よく、離婚寸前の奥さんが旦那に向かって、「あなたと同じ空気を吸いたくない」と宣言する、と聞くが、Z氏に対する気持ちはそれと同じである。