鈍想愚感

何にでも興味を持つ一介の市井人。40年間をサラリーマンとして過ごしてきた経験を元に身の回りの出来事を勝手気ままに切る

トリノオリンピックを終えて

2006-02-28 | Weblog
 昨27日夜、NHKテレビで「トリノオリンピック総集編」を放映していた。ここでもスターはやはり荒川静香選手。最高の舞台で最高の演技が出来るのは持って生まれた運もさることながら強い精神力の賜物なのだろう。地元トリノからダイヤモンド600個をあしらったティアラを送られた。時価700万円というから、金メタルの報奨金300万円より多い。ひと事ながら税金は課けられるのか、気になる。そういえば、ビデオリサーチによると、荒川選手が滑走した24日午前6時台の平均視聴率(関東地区)は31.8%で、瞬間最高値は金メタルが確定した午前7時11分の43.1%だった、という。トリノ五輪ではもちろん、過去の冬季五輪の競技中継としては最高という。夏の五輪では1964年の東京五輪の女子バレーの66.8%というのには及ばないが、早朝という時間帯を考えるとそれに匹敵する記録、といってもいいだろう。今日の夕方、成田に帰国するが、その時からしばらくは荒川静香フィーバーが続くことだろう。あの笑顔がテレビ、新聞に氾濫するし、マスコミに追いかけられることだろう。素直で正直な荒川静香がマスコミにつぶされないことを祈りたい。
 女子モーグル・フリースタイルエアーで上村愛子選手が5位入賞したのを見ていて、競技場の斜面の角度が緩やかで、滑降タイムが優勝タイムより約2秒ほど遅かった、といっていたが、スキーの基本は早く滑ることではなかろうか。いくら飛び跳ねることが上手くても基本の滑降で劣るのでは話にならない。コースの傾斜なんて始めからわかっていない、とおかしい。上村愛子選手は「どうしたらメタルを取れるのかわからない」などと言っているのがわからない。それと、総集編で上村選手だけをクローズアップしていて、里谷多英選手のさの字も出てこなかった。結果は15位と惨敗しているが、長野五輪では金メタル、前回のソルトレーク五輪では銅メタルをとっている実績があるにもかかわらずである。酒を飲んで乱行した事件が尾を引いているのだろうが、そんな選手を派遣した協会に異を唱えたい。金メタリストといえども人間として恥ずべき行為をするのは許せない、ということで、今後里谷多英がまともなマスコミに登場することはないだろう。
 あと総集編を見ていて、思ったのは例えば女子スピードスケートの岡崎朋美選手が500メートル滑走4位で3位とは0.05秒差で惜しかった、男子回転の皆川賢太郎選手が4位でメタルを逃し、3位とはわずか0.13秒差だったというが、その差がどのくらいか計算してみると、言葉でいうほどの僅差ではないことがわかる。500メートル滑っての0.05秒は約70センチメートルある。競走馬は2000メートル走って、鼻、5センチの差なんてよくある。スキー回転の0.03秒は時速200キロとすると、約2メートル、時速100キロとしても約1メートルある。決して僅差ではない。むしろ決定的な差といってもいいだろう。メタルを取ることばかりに目を奪われないで、この決定的な差をどうしたら埋めていくことができるのか、を考えたらいい。コンマ以下の僅差で惜敗なんて美化することだけでは何も生まれないだろう。
 最後に日本体育協会の関係者は今回の金メタル一個の結果をどう考えているのか、猛省を促したい。閉会式前の会見で幹部が反省の弁を語ったようだが、通り一遍の反省の弁では説得力に欠ける。今後の選手育成方針、派遣選手の選び方、派遣方法に踏み込んで語ってもらいたい。結果を伴わない選手は遠征費の半分を自己負担するようなこともあっていいのではなかろうか。ジャンプの原田雅彦選手のような”粗悪品”はぜひ排除してもらいたい。
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生粋のエンターテナー外人指揮者

2006-02-27 | Weblog
 26日は東京・池袋の東京芸術劇場で読売交響楽団の定期演奏会を聴きにいった。マチネー公演で、スウエーデンの指揮者、マンフレッド・ホーネックによるショスタコーヴィッチの「ジャズ組曲第2番」とモーツアルトの「交響曲第41番ジュピター」の演奏のあと、休憩後はヨハン・シュトラウスの「喜歌劇こうもり」はじめ3-9分の小曲8曲を続けて演奏した。後半は演奏が終わる度に指揮台から降りて、コンサートマスターと握手して、敬礼することを繰り返し、指揮者も大変だな、と思ってみていた。最後のこれもヨハン・シュトラウスのポルカ「雷鳴と稲妻」の演奏を聴いていて、最後の方になってなんと最後列の打楽器奏者2人が傘を開き、くるくる回したり、振り出した。見ていると、他の奏者もこれに同調して、10カ所くらいでカラフルな傘が回り出し、これには聴衆は大喜びで盛んに拍手を送っていた。まさに耳だけでなく目でも楽しむコンサートとなった。
 演奏が終わって、コーテンコールで2度目に現れた指揮者は手に広げた傘を持って現れ、聴衆の大爆笑を誘っていた。そして、アンコールに応えて、ヨハン・シュトラウスの「鍛冶屋のポルカ」を演奏し出した。で、舞台の袖を見ると、前掛けをして鍛冶屋の道具を持った鍛冶屋さんが居て、そのまま中央に進み、演奏に合わせて鍛冶の音を奏で始めた。これには聴衆は大喝采。続けて、アンコールを「美しく青きドナウ」を演奏、さらには3曲目のアンコールとして聴衆の拍手を混えて「ラデッキー行進曲」を演奏してくれた。
 アンコールを3曲もしてくれたのを見たのは初めてだ。普通、コンサートというと、しかめっ面をしてタクトを振り、演奏が終わってもアンコールに応えようとしない指揮者もいるなかで、これだけ聴衆の喜びを考えて演奏してくれる指揮者に初めてお目にかかった。もともと音楽は音を楽しむもんで、こういうコンサートもあっていい。日本では教養が邪魔をしてか、なかなかこうはいかない。
 このホーネック氏は1958年生まれのノルウエーのオスロ・フィルの首席客演指揮者。そんなに音楽に詳しくないので、ホーネック氏がどのレベルにいる指揮者なのかよくわからないが、こうした聴衆の喜ぶことを企画し、実行できるというのは相当に高いレベルにいないとできないのではなかろうか。それと、氏はヨハン・シュトラウスやマーラ-の演奏を得意としていることから、こうした余裕の演奏が出来るのかもしれない。音楽の原点に立って、日本の指揮者も見習ってほしいものだ。
 演奏が終わって返ろうとしたら、楽屋へ向かうノーベル賞作家の大江健三郎氏がご子息の光さんを連れていくのに遭遇したが、いい音楽を聴きに来る人もレベルが高いのかな、とも思った。
 いずれにしろ、こんな音楽の楽しみ方があるものだ、と思い知った。
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米国の小津安二郎

2006-02-26 | Weblog
 新国立劇場でテネシー・ウイリアムズ作の劇「ガラスの動物園」を観賞した。1930年代の米国の中流家庭の風景を切り取った秀作で、登場人物わずか4人で、休憩なしの2時間を演じ切った。テネシー・ウイリアムズおきまりのどこにでもある家庭の悲劇を浮き彫りとしている。さながら、米国の小津安二郎といった趣きである。終幕間もなくとあって、開演前には空席待ちの列をなすほどの人気ぶりで、観客のなかに映画監督、新藤兼人氏をみかけた。
 開演の1時になると、出演者の一人でもある木場勝己が舞台の中央にぬっと出てきて、上着を取って椅子にかけ、観客に微笑みかけ、何事かと思っていると、舞台の片隅で場内整備係が「携帯電話の電源を切るよう」お願いしているのに向かって、手を上げ、挨拶しているようなふりをする。「もう舞台は始まっているのかしら」と思わせぶりな仕草。一呼吸おいて、椅子に座ると、進行役となってまず登場人物の紹介をして、4人が舞台に順番に出てくる。そして、夫に逃げられた主婦アマンダと家計を背負って働く主人公トム、それに片足の悪い姉ローラの三人家族の朝食から舞台は始まる。
 かつては大農園の令嬢として優雅に育ったアマンダは17人もの若者をおもてなしをした生活が忘れられない。日々、なんとかして娘のローラにいい結婚相手をみつけてやろう、と思って暮らしているが、内気で人見知りするローラは片足が悪いのを気にして折角習いにいったタイプライター教室も辞めてしまい、家でガラス細工の動物を飾ることと、レコードを聞くくらいが趣味の生活を送っている。
 そんな時にトムが会社の仲間で、かつて同級生だったジムを家に連れてくる。ジムはなんと昔、ローラが憧れていた学校のスターであり、最初はためらっていたローラもジムが昔話しに夢中になり出したことから、打ち解けて二人はダンスをするわ、キスをするわで急速に理解を深めていく。永らく不幸せの象徴であったローラにもやっと幸せが訪れた、と喜んだ途端に、ジムがふと我に帰り、「実は近じか結婚する」ことを打ち明け、ローラを奈落の底に突き落とす。それを聞いたアマンダは悲しみに崩れる。トムも居たたまれなくなり、家を飛び出て、放浪の旅に出てしまう。
 1930年代の米国南部のどこの町にもありそうな話を劇に仕立て上げ、人生とはと語りかけるのはテネシー・ウイリアムズの真骨頂なのだろう。東京物語で息子を訪ねて上京した老夫婦の心境を淡々と描いた小津安二郎に通ずるものがある、と感じた。2人とも日常生活のさりげない断面を切り取って、感動を与える作品に仕立てあげるところは共通している。時代をうまく写し取るとともに人生、生活の意味を考えさせてくれる。
 30年くらい前に出張で米国ニューオーリンズに行った際に行先表示版に「DESIRE」と書いたバスが走っているのを見て、テネシー・ウイリアムズの「欲望という名の電車」の舞台でアルニューオーリンズに来たのだ、と実感して感激したのを覚えている。この「ガラスの動物園」はテネシー・ウイリアムズの自叙伝的戯曲といわれている作品で、ニューオーリンズでの体験から即座に見てみよう、と思った。出演の4人とも熱演で、好感が持てたし、いい演劇であった。
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シンデレラとなった荒川静香

2006-02-25 | Weblog
 確か、ガリバー旅行記かなんかに「一夜明けたら世の中が一変していた」という件があったが、そんな気分を味わったのが、トリノオリンピック女子フィギア金メダリスト、荒川静香だろう。昨24日は一日、日本中がまさに荒川静香デーだった。朝から晩まで荒川静香の今や荒川静香のトレードマークのイナバウア、後ろへ反り返って滑るシーンを流しまくった。号外が出るのはもちろん、ニューヨークタイムズなど海外各紙も荒川静香を「クール&ビューティ」と讃え、演技小泉首相お得意のお祝い電話まで飛び出し、お祝いと喜びの渦に包まれた。このままいけば、日本は30年振りに冬季五輪メタルゼロになりかねないところを救っただけでなく、日本体育協会関係者の責任を問われかねない事態をも吹っ飛ばした。神が荒川静香にキスをした、とNHKアナウンサーは言ったようだが、荒川静香こそが日本中の暗雲を吹き飛ばす女神となった。
 ショートプログラムで3位につけた荒川静香のフリー演技はまさに完璧だった。本人があとでインタビューに答えていたが、「とにかくメタルのことなんて考えずに、ただ楽しく滑れたらいい、と思っていた」と述懐しているように無心で臨んだのが、良かったのだろう。ショートプログラム1位の米国のサーシャ・コーエンは2回転倒したし、同2位のロシアのイリーナ・スルツカヤも1回転倒した。最終演技者だったスルツカヤは最初から緊張のためか、身体が固くていつものスピードがなかった。荒川静香の演技があまりにも素晴らしくて圧倒されていたのかもしれない。女子フィギアとしてはアジア初の金メタルで、日本の女子としては98年長野五輪のフリースタイルスキー女子モーグルの里谷多英以来2人目という快挙である。
 一夜明けて、荒川静香も金メタルの実感が湧いてきたようで、メタリストが中心になって滑るエキジビションで観客の声援を受けて、喜びを感じた、という。改めて荒川選手を見ると、といってもテレビ、新聞の画面・写真を通じてだが、色が白くて、スタイルもいい秋田美人である。クール&ビューティがぴったりである。五輪前はどうかすると、能面のような感じがすような時もあったが、金メダリストとなったいまはそんな感じはない。今後自信が備わってくれば、もっといい表情となってくることだろう。
 ただ、金メタル確定後のインタビューを見ていて感じるのはとても素直なことと、世の中を渡りきるだけの器量はいまひとつ感じられないことだ。素直なことが今回の金メタルにつながったと思う。しばらくは金メダリストとしてマスコミの注目を集めることで過ぎていくことだろう。鈍想愚感子の関知するところではないかもしれないが、問題はその後だ。女子フィギアの世界で活躍することでどんな人生が開けていくものなのか、よくわからないが、それだけに里谷多英のように自らつぶれてしまうようなことが心配だ。よきコーチなり、マネジャー的な人が近くにいて、適宜アドバイスすることが必要だろう。
 荒川静香選手の所属する会社が堤義明氏がかつて率いたプリンスホテルなのは大きな皮肉でもある。親会社の西武ホールディングスの後藤高志社長は早朝のテレビ観戦の応援にも顔を出し、金メタルを取ったあとに「グループのシンボルとしてこれまで以上のサポートをしていきたい」と事実上の終身契約を示唆する発言をしている。その発言にうそはないと信じたいが、大事なのは本人が何をどうしたいか、はっきりとビジョンを持つことだろう。 
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身代わりとなった永田議員

2006-02-24 | Weblog
 民主党の永田寿康議員がライブドアメール問題の責任をとって辞意を表明し、同議員の進退を鳩山由紀夫幹事長に一任され、しばらく休養することになった。どうもこの問題に最初に火をつけたのは鳩山幹事長であり、そのお先棒を担いで衆院予算委員会で爆弾発言をし、結局メールの信憑性がわからないまま、身を引いたわけで、鳩山幹事長の身代わりとなって集中砲火を浴び、自爆した、というのが真相のようだ折角、小泉首相を耐震偽装、ライブドア、防衛施設庁の談合、靖国参拝の四点セットに加え、このメール問題で失脚寸前まで追い詰めた、と思ったのに、小泉首相はまたまたリングの中央に戻ってしまった。永田議員の責は重い。
 そもそも最初から、ホリエモンのメールとしては疑わしいところが多かった。聞けば、曰くのある輩がこのメールのコピーをもって国会周辺に片っ端から見せて回っていたようだ。もちろん、自民党筋にもいっており、予算委員会で永田議員が暴露する前から「ガセネタ」と判断されていた。そんな情報に簡単に乗っかって貴重な衆院予算委員会の議論を空転させた永田議員の罪は重い。日頃、国会議員に持ち込まれる情報はいっぱいある。それを精査して真偽のほどを確かめたうえで、国会で明らかにされるべきで、調査の基本すらわかってない。東大を出て、大蔵省かの役人を経験したうえで、国会議員になったと聞いているので、物事を追及するのに必要な基本的な手順は判っているものと思っていたのに、それすらなかったとはお粗末極まりない。
 たとえ、親分(?)の鳩山幹事長の身代わりに自ら、もしくは言われてなったとしても、基本的なことは押さえてから、事に臨むべきだったろう。国会議員のレベルなんてこんなものだ、と思われてしまうことが怖い。鳩山幹事長はかねて公式の場でホリエモンと自民党の国会議員の癒着を指摘しており、なんらかの証拠なり、事実を突きつけなければならない状況にあった。そこへ、持ち込まれたのが疑惑のメールで、おいそれと乗る方も乗る方だ。前原党首も党首討論で「確証がある」と言って小泉首相に迫ったのだから、ほぼ同罪だ。民主党もこれでは先が思いやられる。
 国民は小泉劇場の下手な芝居にうんざりしていたのに、それを下回る演技の下手な永田劇場をみせられては小泉劇場の幕を早く下ろしたいのに、下ろせない。下手な小泉劇場をまだ、見せられるのか、と思うとうんざりだ。かつての読売ジャイアンツが相手のエラーで得点を重ね、やすやすと勝ってしまった試合展開のようだ。民主党がこの劣勢をどう挽回するのか、前原党首よ。死に者狂いで奮闘を望みたい。
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見えてきたホリエモンの余生

2006-02-23 | Weblog
 ライブドアの個人株主が被った損害を回復するために「ライブドア株主被害弁護団」が結成された。同社やホリエモンはじめ旧経営陣に対し損害賠償請求を9月にも起こす、という。ホリエモンには粉飾決算をして証券取引法違反として、東京地検は再逮捕し、同じ容疑で熊谷史人ライビドア代表取締役も逮捕された。日々、ライブドアがいかにひどいことをしていたかが明らかになってきている。ホリエモンはじめライブドアの経営者は一生懸命仕事に取り組む真面目な社員をよそにマネーゲームという経営ごっこをしていたのだ。グループ全体で総勢3000人もの会社であり、そのほとんどがインターネット・ビジネスの現状・未来を信じてパソコンに向かっていた社員の心に一生消えない闇を作ってしまった罪は重い、と言わざるを得ない。
 平松ライブドア社長は昨22日になってようやく「ホリエモンらに損害賠償を求める」と言い出し始めた。ライブドアの会社そのものは代表取締役がわずか29日で交代あするわ、6人いた取締役のうち4人が逮捕され、商法で規定する最低3人の取締役がいなくなり、さらには上場廃止となると、22万人といわれる株主に株券を発行しなければならなくなり、機能不全でもう会社としての態をなさなくなる。崩壊である。
 上場廃止になれば、株主が一斉に損害賠償請求を起こしてくるだろうし、大株主のフジテレビだって同様の行動に出てくるのは必至だ。そうしないと、今度はフジテレビが株主から代表訴訟を起こされてしまうからだ。粉飾決算で株価を偽装されて、株式を購入したのだから、十分に損害賠償訴訟の余地はあるし、勝ち目はある。
 当のホリエモンは拘置所で韓国語や中国の歴史を勉強している、と伝えられているが、どこまでもノー天気な男である。宮内以下の役員が認めているのに「赤字にするなとは言ったが粉飾決算をしろとは言ってない」と言って頑なに罪を認めようとはしない。だが、考えてみたらいい。社長が知らなくて、事が進む会社なんてあり得ない。会社組織すら知らない経営者なんて、あり得ない。
 本件の裁判でも上訴、上訴で決着まで結構時間がかかるだろう。そのうえ、本件以外にいっぱいの損害賠償訴訟、はやまた株主代表訴訟とまず10年、20年は裁判に次ぐ裁判に明け暮れることだろう。ホリエモンが韓国語、中国の歴史など勉強してもその成果を試す場は永久にやってこないだろう。
 大体、ホリエモンはそんなことを心配してあげるほどのタマでもないだろう。これだけ世間を騒がせたのだから普通なら懺悔の弁でもあってもいいし、過去の悪人はもっと美学を心得ていた。醜悪すぎて、小説のネタにもならない薄汚い”ブタ”である。
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どこへいった国連常任理事国

2006-02-22 | Weblog
 国連事務総長に韓国が立候補し、日本に支持を要請してきた。さきに日本は国連の常任理事国入りを表明し、韓国、中国に支持を求めたが、靖国神社問題が祟って、逆に反対される始末。そうした折りに、今度は韓国から国連事務総長支持を求められたわけで、かねて「次の国連事務総長はアジアから」と主張していた日本としてはむげに断れない。そんなことなら、いっそ日本からも立候補者を立てたらいい、との声も出始めているが、ライブドア問題、耐震偽装問題など国内の諸問題で対応に大わらわの小泉首相にとてもそんな余裕はない。朝日新聞の世論調査によれば、頼みの内閣支持率も過去最低級の43%になった。やること為すこと後手後手に回って、いよいよ末期症状の出てきた小泉内閣、とみた。
 いまのガーナ出身のアナン第7代国連事務総長は今年末に任期が切れる。選出については安全保障理事会の勧告に基づき、総会が任命することになっている。これまで地域輪番制をとってきており、アジアは3代目のミャンマー出身のウタント氏以来30年にわたって出ていない。こうしたことから、アジアからすでにタイ、スリランカから立候補者が出ており、韓国からはは3人目の立候補者。外交通商大臣の藩基文氏で、南北協調を背景に北朝鮮の核問題解決に貢献できる、と立候補の弁を述べている、という。しかし、米国のボルトン国連大使は「出身地にとらわれず、ベストの人材を選出すべきだ」とアジアからの選出に暗に反対の意向を表明している。
 すでに韓国は公式ルートを通じて日本政府に支持を求めてきており、これに対して日本は支持する、ともしないとも態度を明確にしていない。最大の頼りの米国の真意がつかめないうえに靖国問題の影響で韓国との外交関係がスムーズにいってないからだ。日本の常任理事国入りの際にははっきりと韓国、中国から反対されたのにどうして国連事務総長選出で韓国を支持できるのか、といった反発もある。
 それよりも日本はなぜ先手を打って、次期国連事務総長に候補者を立てなかったのか、疑問が残る。候補者なら猪口邦子衆院議員はじめいくらでもいるだろう。なのに立てなかったのは外務省の怠慢なのか、それともまだ、常任理事国問題が片付いていなかったので様子をみていたのか、よくわからない。いずれにしろ、靖国神社参拝の余波でいまや日本の外交はにっちもさっちもいかなくなってしまっているのだろう。もともと米国の顔色ばかりをうかがって、外交をしてきたのが小泉首相の外交なのだから、当たり前だ。
 なにが大事なことなのか、見極める力なんかもうない。それでなくともライブドア、耐震偽装、防衛施設庁の談合など国内の諸問題山積で小泉首相の求心力は低下する一方で、正直、小泉首相の頭の中には次期国連事務総長人事などこれぽっちもないのだろう。こんな輩を首相にいだく国民こそ不幸だ。
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続トリノオリンピック三態

2006-02-21 | Weblog
 トリノオリンピックは相変わらず日本人選手の不振が続いている。NHKで毎日「特報トリノ」が放映されているが、初めは勢いのあったアナウンサーの表情が段段元気がなくなってきており、新聞・週刊誌にも不振の理由といった記事が続々と掲載され始めている。原田選手のボンミスが祟っているようで、マスコミのなかには今後はオリンピック選手は自費で行くべきだ、との声すら出ている。頼みの男子ジャンプ団体も6位に終わった。カーリングもいいところ4位で、最後の女子フィギアスケートも浅田真央選手の不出場を責められるような結果になりそうだ。
・冬季オリンピック不振の最大の理由は堤義明西武グループ総帥の失脚にある、との説がある。なるほど従来、アイスホッケーはじめ冬季オリンピック種目のなかで西武グループの活躍があった。確か女子フィギアスケートの荒川静香選手は西武系のプリンスホテル所属である。堤義明氏は日本体育協会の会長か、副会長でこの世界のドンであるとともに選手の育成、スポーツの振興に力を尽くしてきた。いわば、スポンサー的役割を果たしてきた。コクドは会社としては税金を一銭も払わずにグループの西武鉄道株式の不正記述事件で退陣を余儀なくさせられたが、一方ではスポーツの面では投資をしてオリンピック選手を育てることもしてきた。そのお金がきれいなものなだったのか、そのねらいがどこにあったのか、そのことがいい事だったのかの議論はあろうが、アマスポーツ界が企業なり、お金のある人に頼って成り立っているのは事実で、支えを失った世界が崩壊していくのは明らかである。
・NHKの「特報トリノ」を見ていていつも思うのはトリノとの時差8時間で、選手の地元市町村、もしくは出身企業で家族、関係者が集まって旗を振って、実況中継している姿が放映されているのはやらせ以外の何物でもない。百インチや2百インチの大型スクリーンが珍しかった時代ならともかく、いまや大型画面などどこにでもあるし、応援するなら何もみんなで集まらなくても、自宅でマイペースでしたい、という人も多いのではなかろうか。それに金メタルをとったりしたのなら、そういう風景もテレビで流すのもニュース価値があるといえるが、メタルも入賞もなく単に出場しただけのものを応援しているのを中継ななか見たくもない。ついでにいえば、入賞ごときで、選手をトリノのスタジオに呼んで喜びの声とか聞くのは止めてもらいたい。懺悔会見であるまいし、見ていられない。
・スピードスケート男子千メートルで米国のジャニー・デービス選手が優勝、冬季五輪の個人種目で初めて黒人選手が金メタルを獲得した。夏のオリンピック陸上はもはや白人選手のメタリストのが珍しいくらいになってきているが、いずれ冬季オリンピックも黒人選手に席巻される時がやってくることだろう。もともと運動能力は黒人選手のがあり、ヨーイドンで競争すれば、確実に黒人選手のが上にくる。冬季5輪の種目はいずれも練習にお金がかかるので、これまで黒人選手がでてこなかっただけのことだ。テニスのも黒人選手は登場しているし、いずれ水泳、スキーにも登場しよう。かつて「クールランニング」というアフリカの黒人がボブスレー競技に挑戦して、オリンピックに出場する映画を観たことがある。映画の世界の話でなく現実になってきたようだ。  
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相当なレベルの中国映画

2006-02-20 | Weblog
 真田広之主演の中国映画「PROMISE」を観賞した。数週間前にNHKの朝の番組で真田広之が出演し、この「PROMISE」の素晴らしさを語っていたので、見る気になって映画館に足を運んだ。日曜日の朝一番で予想通リというか、整理券の発行もなくゆったりと観賞することができた。感動作品というより娯楽作品で、こればかりは新聞の批評が当たっていた。評判の中国のチャン・カイコー監督の手になる作品で、どこか海外の映画祭で受賞した、というが、中国にしてはよく出来た作品、とおいう程度ではなかろうか。
 冒頭、少女が戦闘の終わった戦場で、死んだ兵士の手から饅頭をもぎ取るシーンが出てくる。その饅頭をやy年嵩の少年にかすめ取られ、少年が着けていた兜を誉めて、脱いだ兜で殴りかかり、饅頭を取り返すものの、湖に落としてしまう。そこに現れた女神が少女に「永遠の命を得るが、その代わり人を愛することはできない」旨の約束をさせる。で、タイトルの「無極」が画面に映し出されるが、これがなぜ「PROMISE」となるのかよくわからない。
 時はいつかわからないが、3000の兵を率いる将軍、真田広之が2万の敵を迎え討つところから物語は始まる。敵が放った野牛の大群を韓国ナンバーワン俳優のチャン・ドンコン演じる奴隷の若者が逆走させ、敵を壊滅する。その功でチャン・ドンコンは真田広之の家来に引き立てられる。野牛の暴走シーンはCGを駆使して映像を作っているとはいえ、迫力あって見事な出来栄え。あと、どのくらい迫力ある戦闘シーンが展開されるのか、と期待したが、見所としてはここだけで、結局このシーンだけに終わった。
 映画の物語は冒頭の少女が傾国の美女として登場し、ヒロインをめぐって男性俳優4人が死闘を繰り広げ、最後はヒロインとチャン・ドンコンが生き残る。ラストの切り合いの果てに冒頭の少年少女が再会を果たすのは荒っぽく、やや荒唐無稽なつくりでもある。映画の最後は死ぬことと決まっているようだ。
 映画は2時間楽しむためのもの、と割り切れば、この「PROMISE」もそれだけの価値はある。映画に人生なり、希望を見出したい人にとっては失望ものだろう。娯楽作品として眺めれば、中国の映画作りの水準もかなりのものになってきていることを再認識させられた。それと、真田広之の演技もさることながら、中国語も立派なものだ。単なる活劇スターではなく、国際的な演技派に成長している、と評価されていいだろう。
 
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はばたけ日本のオペラ

2006-02-19 | Weblog
 瀬戸内寂聴作のオペラ「愛怨」を国立オペラ劇場で観賞した。うかつなことに日本語でオペラを上演すこととは思わなかったので、正直感動した。これまでカルメンや蝶々夫人など数々の本場オペラを見ているが、いつも思うのは日本人がなぜドイツ語、もsくはイタリア語でオペラを演じるのか、なぜ日本語でやらないのか、と不満を感じていた。それだけに幕が開いて、ヒロインのソプラノ歌手が日本語で歌い出したのにびっくりした。、思わず左右の字幕を見ると、セリフが日本語で書かれてあったのにまた驚いた。
 「愛怨」は8世紀の奈良朝時代、宮廷の琵琶奏者、大野浄人は遣唐使として唐に赴き、光貴妃から名曲「愛怨」を伝授してくるよう命を受ける。その出発前に最愛の桜子と結婚し、子供をもうけるが、遣唐使船は難破し、南海に打ち揚げられものの2年間、行方知れず、となってしまう。難破の報を聞いた桜子は猿沢池に身を投げ、死んでしまう。そのことを知らない浄人は得意の賭け囲碁で食いつなぎ、たまたま阿倍仲麻呂の知遇を得て、玄照皇帝にお目見えする。そして、光貴妃から「愛怨」の曲を演奏してもらい、桜子の双子の妹、柳玲と出遭う。浄人を唐につなぎとめよう、と考えた玄照皇帝は囲碁大会を開催し、優勝者に柳玲を娶らせる、と宣言する。柳玲に愛を告白しては拒否され続けていた猛権は闘志を燃やし、なんとしても優勝しようとしてイカサマを企むが、浄人に見破られ、敗北する。そして、前夜に柳玲が浄人に名曲「愛怨」を密かに伝授していたことを告げる。「愛怨」は誰にも公開してはならない秘曲とされており、破れば死罪とされていたので、柳玲は薬を呑んで自殺を図る。
 で、死の床に就こう、という時に安禄山の乱が起き、宮廷は混乱に陥る。しかし、どんな混乱になろうとも浄人と柳玲の愛の事実は永遠に残る、と二人は合唱して、幕は降りる。主役を務めた二人は多分そんなに有名な歌手ではないが、熱演でまずまずの出来栄えであった。一幕の途中で中国の民衆が浄人の棹がへなへなとかいう下品な表現があったのが少し気になったが、全体として舞台装置や衣装、助演の連中も卒なく務め、見飽きることなく、観客の拍手を浴びていた。最後のカーテンコールには原作の瀬戸内寂聴さんも一緒になって手を振っていたのはよかった。
 休憩時間に瀬戸内寂聴さんが著作「美しいお経」を買い上げた人にサインするサービスを行っていたのも愛敬だった。
 で、全く知らなかったのだが作曲の三木稔氏は日本史オペラとして1975年以来、連作してきて、今回が8本目だ、という。いずれも日本語で上演してきた、というのだから不明を恥じ入るしかない。春琴抄や源氏物語、浄瑠璃など日本の古典に題材を採って活動を続けてきた。知らぬは鈍想愚感子だけだったのだろうか。こんないい試みはどしどし世界に向けて羽ばたいてもらいたいし、ぜひ、いままで見ていなかった人に再公開してもらいたいものだ。
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