東野圭吾の最新作「聖女の救済」を読んだ。流行作家、東野圭吾だけにテンポのいいミステリーで、一気に読ませた。「容疑者Ⅹの変身」で謎解きに現れた物理学者、湯川学が登場し、難問を解決するお馴染みのストーリーで、犯人の目星はついているのだが、犯行の手口がわからなくて最後の最後まで気をもたせるお得意の構成。今年読んだミステリーではベストに類するものといっていいだろう。
「聖女の救済」は会社社長宅のパーティから始まる。招かれているのは子供が生まれたばかりの顧問弁護士の夫婦とパッチワークのキルト教室を主宰する社長の妻の一番の弟子の若山宏美の3人で、誕生のお祝いにキルトの作品が贈られたり、わきアイアイと進む。ところが、パーティが終了すると、社長は妻の綾音に離婚を言い渡す。結婚して1年経って、子供が出来なければそうする、というのが当初からの約束だったからで、妻は了承し、2、3日実家の北海道へ帰ることにし、弟子の若山宏美に家の鍵を渡し、主人の世話を頼む。
実は社長と若山宏美はすでに愛人関係にあり、妻のいない間に逢瀬を重ねるが、2日後の夜、レストランで社長と会食の約束をした若山宏美は約束の時間になっても連絡がないので、携帯に電話をすると応答がない。家にも電話したが、応答がなく、不審に思って家に訪ねると、社長は台所で倒れていた。警察に通報すると、鑑識の結果、飲んだコーヒーから毒物の亜ヒ酸が検出された。
当然、犯人は妻の綾音が疑われるが、そうだと決めつける証拠が出てこない。コーヒーメーカーにもミネラルウオーターのボトルにも、ケトルにも亜ヒ酸が仕込まれた形跡がない。綾音もおよそ犯人らしい素振りもおどおどしたところを見せず、堂々としていて、却って若い男性刑事の同情を呼ぶほど。しかし、逆に若い女性刑事は疑いを強め、湯川教授にアドバイスをい求める。
最初はゼラチンでケトルに貼り付けるなどの方法を試みるが、決定的な解とはならず、湯川教授は完全犯罪だ、とも言い出す。
改めて事件の捜査を始めた警察は社長の以前の恋人が自殺していることを突き止め、実は亜ヒ酸で服毒自殺していたことが判明した。で、調べていくうちに綾音と知り合いだったことがわかる。ここから、綾音が友人の思いを夫にぶつけることにして、亜ヒ酸をある装置に仕込んだ。夫から離婚を言い渡された時に夫に対する「救済」が終わった、と意識した。タイトルの「聖女の救済」はここからとられた。
事件を解決したのは若い男性刑事が保管していたあるものだった。捜査では意外なものが役に立つ、ということなのだろう。
前作「流星の絆」に次いでこの「聖女の救済」もテレビドラマ化されることになるだろうが、いまから待ち遠しい気持ちにさせてくれる。
「聖女の救済」は会社社長宅のパーティから始まる。招かれているのは子供が生まれたばかりの顧問弁護士の夫婦とパッチワークのキルト教室を主宰する社長の妻の一番の弟子の若山宏美の3人で、誕生のお祝いにキルトの作品が贈られたり、わきアイアイと進む。ところが、パーティが終了すると、社長は妻の綾音に離婚を言い渡す。結婚して1年経って、子供が出来なければそうする、というのが当初からの約束だったからで、妻は了承し、2、3日実家の北海道へ帰ることにし、弟子の若山宏美に家の鍵を渡し、主人の世話を頼む。
実は社長と若山宏美はすでに愛人関係にあり、妻のいない間に逢瀬を重ねるが、2日後の夜、レストランで社長と会食の約束をした若山宏美は約束の時間になっても連絡がないので、携帯に電話をすると応答がない。家にも電話したが、応答がなく、不審に思って家に訪ねると、社長は台所で倒れていた。警察に通報すると、鑑識の結果、飲んだコーヒーから毒物の亜ヒ酸が検出された。
当然、犯人は妻の綾音が疑われるが、そうだと決めつける証拠が出てこない。コーヒーメーカーにもミネラルウオーターのボトルにも、ケトルにも亜ヒ酸が仕込まれた形跡がない。綾音もおよそ犯人らしい素振りもおどおどしたところを見せず、堂々としていて、却って若い男性刑事の同情を呼ぶほど。しかし、逆に若い女性刑事は疑いを強め、湯川教授にアドバイスをい求める。
最初はゼラチンでケトルに貼り付けるなどの方法を試みるが、決定的な解とはならず、湯川教授は完全犯罪だ、とも言い出す。
改めて事件の捜査を始めた警察は社長の以前の恋人が自殺していることを突き止め、実は亜ヒ酸で服毒自殺していたことが判明した。で、調べていくうちに綾音と知り合いだったことがわかる。ここから、綾音が友人の思いを夫にぶつけることにして、亜ヒ酸をある装置に仕込んだ。夫から離婚を言い渡された時に夫に対する「救済」が終わった、と意識した。タイトルの「聖女の救済」はここからとられた。
事件を解決したのは若い男性刑事が保管していたあるものだった。捜査では意外なものが役に立つ、ということなのだろう。
前作「流星の絆」に次いでこの「聖女の救済」もテレビドラマ化されることになるだろうが、いまから待ち遠しい気持ちにさせてくれる。