29日は東京・日比谷シャンテにある東宝シネマズで、週刊新潮の映画欄で紹介していたニコール・キッドマン、ジュリア・ロバーツ主演の映画「シークレット・アイズ」を観賞した。開始10分前に入場したからか、平日にもかかわらず結構な入りで、週刊誌の映画紹介の影響力を見せつけられた感じだった。映画は13年前の殺人事件を改めて捜査するといういわゆる刑事もので、二転三転するラストの意外な結末にあっけにとられたが、現実にはそんなことはありえないだろう、と思えてきて、二大女優の競演だけが印象に残った映画であった。
「シークレット・アイズ」はレイFBI捜査官が深夜にディスプレイにかじりついてk似顔絵と写真の照合をしているシーンから始まり、明けがたにやっと照合を終える。そしてレイはその朝にたぶん照合した写真の結果を報告すべく元の勤務先を訪れ、かつて好意を抱いていたニコール・キッドマン演じるエリート検事補のクレアの部屋に赴く。そこへジュリア・ロバーツ演じる捜査官ジェスが入ってきて、13年前に3人ともに追っていた殺人犯のマージンを見つけた、と報告する。13年前にジェスの愛娘のキャロリンはマージンに強姦され、殺されたうえ、無残にもゴミ箱に放置された姿で見つかっていた。3人で必死に捜査を行ったが、捕えるまでに至らなかった。
その犯人マージンがいまはベックウィズと名前を変えて、別の事件で10年の刑期を終えて出所したことをレイは10年以上刑期修了者の顔写真ファイルをチェックして突き止めた、というのだ。ところが、レイはいまは2001年9.11後のテロ撲滅のためのチームに入っていて、いまさら13年前の事件の捜査には加われない状況にある。とはいえ、ジェスの心情を思うとそうもいってられない。クレアにだけは事情を話して、元同僚の刑事を動員してジェスと3人で再びマージンを追うことになる。マージンの立ち回りそうなバーや野球場などをしらみつぶしに調査して、張り込みを続け、ようやく捕まえることができ、クレアも立ち会って尋問し、マージンから「おまえも殺してやる」といった言質を取り、逮捕できるか、と思ったものの上から釈放せよ、との命令が下る。
そのうえで、レイはマージンを追跡し、倉庫みたいなところで張り込んでいるところを見つけられ、窮地に追い込まれるが、そこへ仲間がやってきて逆襲して、助けられる。しかし、そこで仲間の一人が敵に射殺される事態に追い込まれ、レイも瀕死の重傷を負い、クレアの家で治療をうけることになる。そこへジェスがやってきて、「3人で追っていたマージンなる男は犯人ではない」と打ち明け、実はジェス自身が10年以上前に真犯人を待ち伏せし、銃殺し、死体を自分の家の庭に埋めたたことを告白する。
ところが、その翌朝にレイが死体を掘り起こして確かめようとジェスの家に行ったところ、ジェスが家の離れでなにやら作業しているのを目撃する。するとその離れの中に牢屋みたいなものがあり、その中に得体のしれない男が閉じ込められていたのを発見する。男は「何か話しかけてくれ」と語ってきたが、ひげ茫々で正体がわからない。レイはかつてジェスが「犯人には生涯閉じ込めて罪を補わせてやりたい」と言っていたことを思い出し、その男こそキャロリンを殺害した犯人であることを悟る。
映画はそのあとはジェスの家の庭で一心にスコップで土を掘り起こし、いかにも犯人マージンの死体を発見しようとしている姿を映しだしてジエンドとなるが、観客は二転三転するストーリーについていけないままじっと画面にみるしかない、といった感じだった。5年前の米アカデミー賞に輝いた「瞳の奥の秘密」をリメークしたサスペンス映画だというが、ニコール・キッドマンとジュリア・ロバーツだけが目立った、という感想しかないというのが正直なところである。