鈍想愚感

何にでも興味を持つ一介の市井人。40年間をサラリーマンとして過ごしてきた経験を元に身の回りの出来事を勝手気ままに切る

日本の防衛費の積み増しを議論する前に国会議員の定数削減こそを決めるべきだ

2022-12-01 | Weblog

 来年度予算の在り方が関心を集めそうな時期となってきたいま、日本の防衛費を積み上げようとする動きが活発化している。もともと凶弾の倒れた安倍元首相が提唱していたいまの日本の防衛費をGDPの1%から2%に大幅に積み上げようとする保守層の声が大きくなっているもので、ことし2月のロシアのウクライナ侵攻にこのところ相次いでいる北朝鮮のミサイル発射で国際的に日本の地位が脅かされていて、日本の防衛力を一層高めないと日本の安全保障が保たれない、という理屈である。

 そもそも日本はいまの憲法下では憲法9条で「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」としており、「この目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は有しないし、国の交戦権は認めない」と謳っている。しかも第2次世界大戦で広島、長崎で原子爆弾の被災を受けており、核戦力も保持しないし、我が国に持ち込むようなこともしない、とうたっている。

 なのにいまや一国として諸外国に劣らない戦力である自衛隊を備え、その維持にGDPの1%を超える年間5兆円余の予算を費やしている。それを5年後には防衛費をすでにそうしているEC諸国にならってGDPの2%まで拡大すべきだ、との論調が出始め、岸田首相以下自公政権はその路線をひたひたと歩もうとしている。その理由として繰り返しになるが、ロシアのウクライナ侵攻をきっかけに世界がいまにも核戦争が始まりかねない状況になっているのに加え、北朝鮮が日本海を越えていくつもミサイル発射を繰り返しており、そした事態に備えて防衛力を強化しなければ、ということである。この理屈を推し進めていけば、いずれ日本も核戦力を持つこともありうる、ということにも行きかねない。すでに自民党内ではいまの防衛費の年27兆円を40兆円台にする案も飛び交っている、という。

 しかし、それだけの予算を積み増すにあたって、一体どんな装備を増やし、どういった体制を組むのか、といった内容についてはあまり明らかとなっていない。しかもその財源をどこから持ってくるのか、ということについては何も決まっていない。新たに国債を発行したり、消費税などの増税で賄うといったことが検討されている、というが、だれも確としたことはいえないようである。国債を発行して賄うということは将来世代に負担させるということで、日本の財政事情をさらに悪化させることにつながりかねないことである。一部に予備費を充てるということもあがっているようだが、コロナ対策費の予備費もさることながら、1日の日経新聞によると、年金、外国為替資産など特別会計に計8000億円もの巨額予備費が存在する、ということで、こうした国の予算の無駄を省いてから議論を進めるべきだろう。もちろん、国の財政の均衡を保つプライマリーバランスを確保したうえで、果たして防衛費を積み増すだけの余裕があるものなのか、を実証したうえで議論に入るのは言うまでもないこっとだろう。

 それとこうした議論をすすめるうえで、忘れてはならないのはTBSのサンデーモーニングのパネラーに登場する寺島実郎多摩大学長がよく言っているのだが、人口あたりの国会議員の数は世界で日本が最も多い、ということで、最高裁が指摘する全国の都道府県の議員1人当たりの選挙人数の格差の拡大よりこっちの方が問題が大きい。日本の防衛費の積み増しを論議する前に国会議員の定数削減こそ真っ先に進めるべきだろう。

 

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