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鈍想愚感

何にでも興味を持つ一介の市井人。40年間をサラリーマンとして過ごしてきた経験を元に身の回りの出来事を勝手気ままに切る

伊調馨さん、唯々諾々と国民栄誉賞をもらうことなんてないですよ。4年前の悔しい思いを晴らして下さい

2016-08-27 | Weblog
 リオデジャネイロでのオリンピックで日本人選手が過去最高の41個のメダルを獲得し、バドミントン、カヌー、男子卓球などオリンピックで初めてのメダルを手にするなど華々しい活躍をした。これを受けてか、首相官邸ではそのなかでオリンピック史上初めての個人種目四連覇を成し遂げた女子レスリングの伊調馨選手に国民栄誉賞を授与することで、調整に入った、と報道された。4年前に伊調選手とともにオリンピック三連覇を成し遂げた吉田沙保里選手に国民栄誉賞を授与しているので、その辻褄合わせに授与の意向となったようだが、ここまで露骨に国民への人気取りをするとは安倍政権も末期に入った証拠ではなかろうか。

 4年前に吉田選手にだけ国民栄誉賞を授与した際に伊調馨選手の周辺では「どうして吉田選手だけに?」と説明のできないもどかしさを感じたに違いない。当時は世界選手権での連覇と合わせて13連覇といかにもとってつけたような説明がなされたようだが、それほどレスリング界に詳しくない鈍想愚感子は不信に思った記憶がある。伊調選手自身も悔しい思いをしたことは容易に想像できた。国民栄誉賞そのものが受ける側の事情というより、授与する方の思惑が優先するものであることを思い知らせてくれた。

 それから4年経って、吉田沙保里選手は日本人選手団の団長という責を負ってか、決勝ではいつものような切れのいい動きがなく、無様な敗戦の憂き目に遭ってしまった。国民のだれもが四連覇は動かぬものと思っていただけにテレビ画面を見ていて「まさか」と思ったに違いない。当の吉田沙保里は思ってもみなかった敗戦に我を忘れて表彰式までの30分間ずっと泣きっぱなしであった。吉田沙保里は今回のオリンピック前に所属していた綜合警備保障から独立し、個人事務所を構え、一説には報道陣に会見の取材に対して1回3万円の取材費を徴収するなど評判が芳しくなかった。

 それに引き換え、伊調選手はその前日に終了4秒前に逆転の技を決めてオリンピック個人種目初めての四連覇を成し遂げていた。それでも翌日に吉田沙保里の四連覇が続くものと見られていたので、そんなには騒がれなかったようだった。それが神の配剤か、四連覇の快挙は伊調選手だけのものとなって、改めて伊調馨のすごさが評価されることとなった。

 で、首相官邸は伊調選手への国民栄誉賞授与の意向となったわけだが、そんな人気取りに伊調選手があっさりと乗るようなことがあっていいものだろうか。首相官邸は4年前にどうして吉田選手と同時に状よしなかったのかをとくと説明しなければならないだろう。伊調選手はそれを聞いたうえでもらうことにしたらいいだろう。大リ-グのイチロー選手のように「まだやることがありますから‥…」と辞退することがあってもいいと思う。

 どうせ国民栄誉賞なんて時の政権が自らの人気取りを考えて恣意的に授与するものなんだから、どうしてももらわなければならないなんてものでもない。いまの安倍政権は頼みのアベノミクスが崩壊しかかっていて、内閣支持率をなんとか維持していきたい、とやっきになっている。伊調選手はそんな路線に易々と乗っかることはない、と思う。
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米国でもマスコミが影を潜めたきっかけとなったCBSのブッシュ大統領の軍歴詐欺報道事件を追った映画「ニュースの真相」は見ごたえがあった

2016-08-25 | Weblog
 23日は東京・有楽町のTOHOシネマズ・シャンテで「ニュースの真相」を観賞した。ケイト・ブランシェット、ロバート・レッドフォード主演とあってか、平日にもかかわらずほぼ満員で、上映15分前に飛び込んでなんとか席を確保できた。米ブッシュ大統領の再選前の2004年にブッシュ大統領のスキャンダルを追及した米CBSの報道番組「60ミニッツ」が仕掛けられた罠にはまって、高名なキャスターのダン・ラザーと敏腕の女性プロデューサーともども失脚してしまうドキュメンタリーで、見ごたえがあった。

 「ニュースの真相」はブッシュ大統領が2001年9月11日のテロ以来仕掛けた対イラク戦争でイラク兵士の捕虜を収容するアブグレイブ収容所での米兵による虐待事件を暴露して意気上がる米CBSのニュース番組「60ミニッツ」のキャスター、ダン・ラザーと女性プロデューサーのメアリー・メイプスが今度はブッシュ大統領が軍歴詐欺疑惑というネタを掴んで、関係者の証言を必死になってとり、報道するまでの苦労ぶりを描く。最初に情報をもたらした老人が渋るのをなんとか説得し、当時の軍関係者にも取材を重ね、証拠固めをしていき、上層部のOKも出て、放送となり、全員で祝杯をあげる。これで、米ブッシュ大統領の再選への道は一段と険しいものになる、と思われた。

 ところが、放映直後からネットでブッシュ大統領の軍歴詐欺を証拠立てる最初の文書の文字フォントが30年前当時にはなかったものではないか、との疑問が寄せられた。早速、その文字フォントなるものの妥当性の検討に入るが、そこから当時の関係者といわれていた人物がすでに軍を離れていたとか、CBSの幹部がこの報道の見返りにブッシュの反対陣営への就職を斡旋したのではないか、との話が取り沙汰されたり、果ては最初の情報提供者が「実はあの文書は偽造のもので、とある人に頼まれた仕組んだ」と告白するに至り、全面的にCBSは今回の報道を否定し、謝罪する事態に追い込まれてしまう。

 事態を重視したCBSは社内に調査委員会を設け、真相の解明に当たることとなり、ダン・ラザー、メアリーメイプスら関係者は謹慎し、委員会の査問に応ずることとなる。数か月かかって調査をした委員会は今回の報道は偽造であった、との結論を下し、これを受けてCBSは社長が辞任するほか、ダン・ラザーは番組を降板、メイプスも解雇という全面的に白旗を掲げることとなった。ダン・ラザーは最後の「60ミニッツ」で「勇気をもって」と語ったのが印象的だった。

 タイトルにある通り、ほぼ事実に近いストーリー展開だと思われるが、日本と同様、米国のマスコミもこれを以って、政治に切り込んでいくマスコミの鋭い切り口は影を潜めたのだろう。メイプスが査問の最後で語っていたようにこれを仕掛けた人物は米国の政治や軍に相当深くコミットした人で、なんらかの意図を持って仕掛けたのだろう。日本でいえば、朝日新聞の韓国人慰安婦報道問題もこうした形でドクメンタリー映画として取り上げられる価値があるのではないか、とも思った。
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いまごろになって米ワシントンポスト紙の報道を否定するなんて、それはないよ、安倍首相

2016-08-21 | Weblog
 毎日新聞が安倍首相がいまごろになって先日の米ワシントンポスト紙の「安倍首相が米国の核先制攻撃はしないことに対して修正を求めた」との報道を否定した。最初の報道があってから一週間以上も経っての否定で、日本国内で安倍首相の発言に対して否定的な意見が沸き起こっているのに耐えきれず、こうした否定発言になったものと思われる。北朝鮮に対する圧力に寄せて、憲法改正を含めて自らの戦争への道筋をつけるための意向がかくも多くからの反対意見が出されるとは思ってもみなかった安倍首相は大いに反省すべきである。

 米ワシントンポスト紙の報道は「安倍首相がこのほどハリス米太平洋司令官と会見した際、米オバマ大統領が核の先制攻撃はしないとしているのに対し、異議を唱え、修正を求めた」というもので、その理由としてイギリスなど欧州各国も修正を求めているうえ、日本は北朝鮮の核実験に直面していて、核の先制攻撃をしないことは北朝鮮に対する抑止力が効かなくなることをあげた、としている。最初にこの報道を聞いた際には日本は核を持たない、使用しないなど非核三原則を貫いているのに同盟国である米国に対して核の先制攻撃を促す、というのはこれに矛盾するのではないか、ということだった。また、こんな重要なことを米国の高官には伝えていて、国内に対してはなんらの声明もないのはおかしい、ということだった。
 
 その後、国内の核使用反対を求める関係者からは先日のオバマ大統領の広島訪問の際の非核運動に向けて日米が協力して取り組んでいくことに対して逆行する発言である、とする声が沸き起こってきた。民進党の岡田代表もその旨を発表し、国会でも問題にすべきだ、とし、「安倍首相からきちんとした説明を求めたい」と言明した。

 こうした動きに対して当の安倍首相は一切発言を控えてきたが、一週間も経った20日になって、冒頭の否定発言米国に核の先制使用を求めたいとの思いは安倍首相の本心であり、戦争への道をひた走る右翼そのものの思いでもある。国内であおんなに反発が出てくるとは考えなかったのだろう。

 しかし、ずっと無言でいて、こんなに遅くなってから否定発言しても一旦口から発せられた発言を取り消すことは不可能である。米ワシントンポストが虚偽報道をしたかのように責任を回避しているが、これまで米ワシントンポスト紙がこうした協議報道うをするようなことは聞いたことがない。安倍首相もワシントンポスト紙が誤った報道をしたというのなら、提訴するなり然るべき法的措置をとるべきだろう。提訴するなら、報道された後すぐにすべきだが、それもしないで、「どうしてそんなほうどうになるのか理解できない」なんてそれはないだろう。安倍首相は自らやましい思いがあるから、提訴するなんてこともできないのだろう。
 
 安倍首相は来週からサハリンでの日露首脳会談や国連総会など一連の外交活動にでかけるが、こんなお粗末な外交センスでは得られるべきものも逃げていくことになりかねないことだろう。
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8月納涼歌舞伎で改めて歌舞伎界も世代交代したことを如実に感じた

2016-08-15 | Weblog
 14日は東京・銀座の歌舞伎座へ「8月納涼歌舞伎第一部」を観賞に行った。いつものように早めに行って、銀座松屋でお弁当とケーキを買い込んで、予約した前から9列目の絶好な座席に着席し、幸い前の列が空席であったため、ゆったりとした気分で観賞できた。出し物は近松門左衛門作の「嫗山姥」と岡本綺堂作の「権三と助十」の2つで、「嫗山姥」はセリフが時代がかっていて聞き取れないこともあって、いまひとつ楽しめなかったのに引きかえ、後半の「権三と助十」は中村獅童と市川染五郎の意気もピッタリでわかりやすい内容で、十二分に楽しめた。歌舞伎を観賞するのは1年ぶりのことで、1年に1回くらいは歌舞伎を楽しむのもいいものだ、と思った。

 「嫗山姥」は別れた夫を探してか旅を続けるかつて傾城だった荻野屋八重桐は岩倉大納言兼冬の館の前で、煙草屋源七の声を聴く。夫しか知らないはずの曲とあって、恋文の代筆の売り声をあげ、まんまと邸内に招き入れられる。そこで、目にした夫に夫が追ったはずの父の仇はすでに妹が討ったと伝えると、夫は自らの不甲斐なさを恥じて自害し、みずからの魂を八重桐の対内に宿す。それで力を得た八重桐は百万力を得たかのように大力無双となり、押し寄せる敵をバッタバッタとなぎ倒す。その立ち回りが見事ではあるが、そこまで至るセリフ回しが難解で、わかりにくかった。八重桐を演じたのは3代目中村扇雀であるが、それほど見知っているわけではなく、最後の立ち回りでは女であるはずの主役が男みたいな感じとなってきていたのにはやや興ざめなところもあった。それにしても三味線弾きを交えた語りが聞きとりにくかったのも興をそぐものであった。

 それに引きかえ、後段の「「権三と助十」は江戸時代の長屋の大家と駕籠かきの権三と助十という落語でもおなじみの設定で、かつての長屋の住人であった彦兵衛が人殺しの汚名をかぶせられて牢死してしまったのをその息子の彦三郎から聞いた大家の六郎兵衛が駕籠かきの権三と助十に「いい知恵はないか」と尋ねると、権三は「その殺しのあった晩に血のついた刀を洗っている左官屋の勘太郎を見た」と答え、それを聞いた大家は彦三郎と合わせて3人を縄で縛り、代官所へ連れていくことを提案し、渋る3人を説得し、大岡越前守の前に参上する。

 大岡越前守は一計を案じ、いったんは勘太郎を放免するが、放免された勘太郎は権三と助十のところへお酒を持っていわゆるお礼参りにやってくる。最初は神妙に応対していた権三と助十はそのうちに慇懃無礼な勘太郎に我慢がならなくなり、取っ組み合いの喧嘩となり、勘太郎をふんじばってしまう。そこへ代官所のお役人がやってきて、勘太郎を踏ん縛る。理由を聞くと、大岡様の知恵でいったん放免したのは勘太郎の殺人の証拠を得ようというもので、その策略に乗って、動かぬ証拠を掴んで、逮捕となった、という。それに大喜びした権三と助十に今度は大家が「実は彦兵衛は生きている」と言って、彦三郎に伴われて登場し、万事めでたしめでたしとなる。

 権三と助十を演じたのは中村獅童と市川染五郎で見事な掛け合いで息の合ったところを見せてくれた。若手と言われた2人もいまや43歳と中堅からベテランの域に達しよう、としている。中村勘三郎、市川団十郎、坂東三津五郎といったベテラン勢が亡くなって、世代交代を果たしたここ数年であるが、いまや若手と言われた世代も立派な中堅になって、新しい歌舞伎をいつくりつつあることを感じさせてくれた一幕でもあった。 
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国民とともに歩む天皇が今回のお気持ち表明がもたらした2つのこと

2016-08-09 | Weblog
 天皇陛下のお気持ち表明が8日午後3時から10分間、テレビで放映された。象徴としての天皇の務めが高齢になるにつれ、難しくなってきた、なんらかの対策を講じてほしいものだ、と生前退位をにじませるものだった。これまでも宮内庁長官には暗に伝えてきたもののようだが、いまの宮内庁長官は聞いて聞かないふりをしてきたものとみられる。今回はNHKはじめ民放各局もこぞってビデオを放送したようで、国民は好意をもって天皇のお気持ちを受け止めたようである。民主主義の世の中で、天皇が自らの地位について決められないいまの制度はいかがなものか、という気もしないではない。

 今回の天皇のメッセージはまず第一に国民に対して、今後とも象徴としての天皇の務めをできる限り果たしていくことをきっぱりと宣言したことである。だけれども体力の及ばないような事態が起きた時にはご容赦願いたい、と付け加えた。そして何か天皇の身に不都合なことが起きた場合にはそれに対する備えを行ってほしい、ともいうことである。具体的には生前退位を認めていただくか、摂政のような役割りを果たす人を置くようなことも考えられる、とした。
 
 このメッセージがもたらしたことは現皇太子に対して、覚悟を持って事に処するようにとの意味が込められている、と思われる。とかく、現皇太子は神社に詣でないとか、次期天皇としての素質を疑われるようなところがないでもなく、このまま天皇を継いでも問題ないか、と取りざたされている。皇太子殿下は今回も天皇の肉声ビデオが全国に流されている時間にたまたまか、名古屋で開催されていた学会に参加されていて、直接ビデオ放映を目にはしていないようであった。ビデオ放映が決まったのはほぼ一週間くらい前とはいえ、いかにもタイミングの悪い公務であった。秋篠宮殿下がビデオ放映をどのように見ていたかは明らかにされていないが、ここは公務をやめて皇居でじっくりとビデオ観賞すべきだった、と思われる。ご自身に今後の活動に大きな影響を及ぼしかねない内容だっただけに軽率な行動が悔やまれるところである。通常の家庭なら、家庭内の問題としてまず親子で話し合われたうえで、対外的な手を打つ、というのが一般的なやり方だと思われるが、皇族というのは宮内庁が絡んでいるからか、一筋縄ではいかないようである。
 
 もうひとつは安倍首相に対してのものではなかろうか、と思われる。というのは安倍首相は参院選で願いの3分の2超の議席を確保して、いよいよ生来の思いである憲法改正へとりかかろう、としている矢先にそこまで舵を切ることに待ったをかけたことになるのではないか。天皇陛下の過去27年に及ぶ全国、、世界各国への行脚の足取りを辿ってみると、太平洋戦争で犠牲となった兵士とその家族の霊を弔い、二度と戦争を起こしてはならない、という願いであった。ところが、安倍首相のここ3年強の政治をみていると、これと真逆なコースを辿って、戦争への道を進んでいる。これはならじとの思いから、自らの務めにからめて真に思いを吐露した、のではなかろうか。
 
 もちろん、天皇が政治的な言動を行うことは憲法上でも禁じられているので、表だっての発言は全くない。ただ、国民の行く末を思って、日本の行く末が国民を戦争に駆り立てるようなものではあってはならない、ということで、軌道修正を図るようなものなら、許されるのではなかろうか。国民とともに歩む天皇として、国民が不幸への道に引きずられるようなことは望まれない、ということだろう。
 
 
 
 
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