自民党憲法改正本部が21日開いた全体会合で憲法改正の条文素案のなかに「教育無償」の文言を盛り込まないことを決めた。教育無償化は昨年5月の憲法記念日に安倍首相が私的な会合へのビデオメッセージで憲法9条に自衛隊の存在を明記することと並んで、突如打ち出したもので、自民党内で了解を得ていたものでもなく批判を呼んでいた。ことし末までに憲法改正の案をまとめることとしているが、首相自らが広言した教育無償化がここで否定されたことは安倍首相にう対する党内の求心力が大幅に低下している証拠で、ことし9月の自民党総裁選で安倍首相の続投に異を唱える動きが高まっていくこと予想される。
安倍首相はここへきて今年の政策の目玉である働き方改革法案の審議で野党から指摘された「裁量制労働者の労働時間が一般労働者のそれより短いとのデータがある」との国会での発言を撤回し、法案の撤回を厳しく求められている。国会審議では裁量労働者に対する労働時間の調査が行われていないことが明らかになり、法案の審議過程が杜撰であったことが改めて問題となっており、自民党内でも働き方改革法案について疑問を呈する向きが増えている、と言われている。
また、20日に青森県の小川原湖に米軍三沢基地のF16戦闘機が離陸直後にエンジンから出火したことから2本の燃料タンクを投棄したことに対する米軍への抗議が通り一遍のもので、沖縄で相次ぐヘリコプターの落下、物体投棄の問題について対米軍への抗議が生温いものであることを改めて印象付けた。
もともと森友、加計学園問題で安倍首相夫妻のパフォーマンスは問題があるこものと国民には映っており、1年経ったいまも国会では野党から激しく追及の手が及んでおり、いまだに安倍昭恵夫人と佐川国税庁長官を国会での証人喚問に呼ぶべきだとの声は日増しに大きくなってきている。
こう並べてくると、安倍首相がいつまでも首相の座に居座ることは国民にとって極めて不幸なことであることがひしひしと胸に迫ってくるものがある。安倍首相には一刻も早く首相の座から降りてもらいたい、と切に望むものである。マスコミはよく「安倍一強」と書くが、安倍首相が強いのではなく、自民党が小選挙区制度に守られて国会での議席の過半数を占めているに過ぎない。自民党もそうしたことが安倍首相のなせる業でもなく、単に安倍氏が首相の座にいるからそう思うだけのことで、もっと冷静な目で安倍首相の言うこと、行うことを見つめてほしいものだ。そうすれば安倍首相は決して首相の座にとどまっていてもらいたい人物ではないことがわかることだろう。21日の自民党憲法改正本部の決定はそうした意味で”安倍離れ”を打ち出したものといえる。