鈍想愚感

何にでも興味を持つ一介の市井人。40年間をサラリーマンとして過ごしてきた経験を元に身の回りの出来事を勝手気ままに切る

民主党の圧勝ぶりの裏にNHKの選挙結果報道の大勝利

2009-08-31 | Weblog
 30日は1955年以来の自民党政治に終止符を打つ歴史的な日となった。大方の予想通り、民主党が過半数を大きく上回る308議席を獲得し、自公は合わせて135議席と改選前の331議席から激減した。小泉元首相以来の人心を顧りみない放逸な政策運営ぶりに堪忍袋の緒を切った選挙民の怒りのマグマが一挙に爆発した感じである。小選挙区制度そのものの弊害が民主党の一人勝ちをもたらしたともいえるが、国民が民主党を応援したというより、自公政権にうんざりした結果の色彩が強く、民主党の政策運営次第では逆の結果を招くことになるのは明らかである。
 30日は午後2時過ぎに近くの小学校に投票にでかけたところ、行き交う人が多く、いつもと違う雰囲気を感じた。午後2時現在の投票率は26.7%と掲示板に表記してあり、前回より高そうだった。校庭の出口にはいつもは見かけないNHKの調査員らしき女性が立っていて、出口調査をしていて、NHKの選挙報道も力が入っていることをうかがわせた。
 午後7時55分になってNHKテレビが選挙結果の報道番組が始まった。報道の仕方を説明した後に、投票が締め切られ、直ちに選挙結果予測が画面に映り、事前の予測通り、民主党が300前後の議席を獲得し、政権交代は間違いないと報道され、画面の下に個別の候補者の当選確実を伝えるテロップが流れ出した。各党別の当選者数も表記され、自民党が伸び悩むなかで、民主党はぐんぐん数字を伸ばしていった。まだ具体的な集計票数も出ていない段階での、NHK独自の出口調査に基ずく予想である。
 その数字を見ながら画面には自民党の菅義偉選対委員長代理がびっくりしたような表情で映っていて、無理矢理コメントを求められ、「真摯に受け止めなければならない」と語っていたのが印象的だった。
 午後9時半過ぎに民主党の獲得議席予想が過半数の240を超えたところで、鳩山由紀夫民主党代表が党の開票速報センターで共同インタビューに引っ張り出され、率直な感想を聞かれ、予想通りになるとしたらとの前提で、「国民のみなさまに感謝している。政府与党に大変な憤りをぶつけ、政権交代が結実しそうな状況となっている。予断は許さないが、選挙中から手応えは強いものを感じていた。勝っても驕らずに国民のみなさまの勝利に結びつけていきたい」と謙虚に語っていた。
 続いて画面に登場した麻生太郎首相は敗北を認めたかたちで、「責任を感じている。総裁は辞任する」と明言していた。
 大勢は決したとして、さっさと就寝し、翌31日朝になって、やはり予想通りの民主党の歴史的大勝という結果になったことを確認した。自民党は46年ぶりに首相経験者の海部俊樹氏が落選するなど大物議員が枕を並べたようのい討ち死にしていたうえ、小泉チルドレンがほとんど敗退した。小沢一郎代表代行が刺客といsて長崎2区に送り込んだ福田衣里子さんが防衛相の久間章生氏を打ち破ったことが象徴的な結果となった。また、自民党と過去10年政権を担当してきた公明党が小選挙区では9戦全敗し、特に太田明宏代表が東京10区で民主党の女性候補に敗れたことも画期的なことだった。
 ただ、気になったのは今回の自民党の大敗をもたらした張本人である小泉純一郎の子息の小泉進次郎氏や安部晋三元首相が当選したことで、古い自民党の体質の残ったローカル選挙区では新しい風が吹かなかったようだ。
 最終的な投票率は期日前投票が前回の1.56倍にも伸びたことが大きく効いて69.28%と小選挙区制が導入された平成8年以降最高となり、このことが民主党の圧勝を招いたのは間違いない。今回のように事前の予想通りに推移した総選挙も珍しい。とりわけ、NHKの出口調査をふまえた大勢の予想は個々の候補者の当落予想では多少の狂いは出たものの、ほぼ当たっていた。かつては支持者が手に汗握って、当落がどうなるか、得票数字を追いながらテレビ画面に見入っていたかつての開票結果報道をガラリと変えた。NHKの選挙結果報道が予測を前面に押し出し、有権者に鮮明に訴えるようになったのは前回の東京都議選からだろうか、以前はこんなに結果予測が当たったという記憶がない。NHKに引きずられて他の民放各局も全国ネット局を総動員して特別な報道体制を敷いているが、減量経営を強いられていてNHKのような大量動員はできず、大勢の読みに関してはNHKの報道を後追いして格好をつけているに過ぎない。舞台裏ではNHKの報道を逐一テェックしながr、独自に取材しているようなふりをしているに過ぎないのが実態である。新聞は時間の関係で翌日の朝刊紙面をつくるのが精一杯で、てんからNHKの敵ではない。その意味では総選挙のリアルタイムでの結果報道は実はNHKの独壇場なのである。今回ほどそれがはっきりとしたことはかつてないことである。
 選挙結果報道ではNHKの圧勝で、出口調査という手法を編み出したことによる成果といっていいだろう。あとは個々の候補者の当落予想の精度を高めてもらうことを期待したい。

追記 31日の東京株式市場は95円17銭高の1万6291円31銭と民主党への政権交代を歓迎した。というよりすでに織り込み済みということなのだろうか。少なくとも景気てこ入れなど経済政策については当面変化はない、と判断したのだろう。
 それと31日付けの毎日新聞を見て驚いたのは森喜朗元首相が石川2区で民主新人の女性候補の猛追を振り切り、からくも当選した後に地元紙以外の報道陣をシャットアウトして選挙事務所で支援者との万歳をした、という事実だった。「さんざんマスコミにふりまわされた。当選が決まる瞬間は写真に撮ってもらいたくない」と言った、という。石破茂前農水相が31日朝にテレビ各局のインタビューに登場し、冷静に自民党の出直しを語っていたのとは対照的だった。こんな時代遅れの森元首相のような御仁がのさばって いる限り、自民党の蘇生はない、と強く思った。
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見て楽しい浅草サンバカーニバルも一度見ればいい

2009-08-30 | Weblog
 29日は東京・浅草の第29回浅草サンバカーニバルを見に行った。昨年夏に東北の三大祭りの青森ねぶた、秋田竿灯、仙台七夕を見たのに続いて今年は徳島の阿波踊りと高知のよさこい祭りに行こう、と思ってツアーを申し込んだところ、満員ではねられたことから、代わりに地元の浅草サンバカーニバルを観てみよう、と思ったのだ。午後1時半から始まっており、午後3時ころに地下鉄銀座線浅草駅の地下道から通りへ出てみると、いっぱいの人垣で、路上のパレードは人波の隙間から頭くらいしか見えない。
 しばらくよく見えそうなところを求めて人波をかきわけて雷門の近くへ来て、佇んでいて、前の人垣が崩れたのを見て、さっと前に進み、ようやく視界が開け、パレードをよく見渡すことができるようになった。ボーイスカウトの持つプラカードが過ぎるとブラジルのリオデジャネイロのカーニバルでお馴染みのビキニ姿に羽根の頭飾りをつけた踊り子が音楽に合わせて踊りながら行進していく。その後を磁石や、ダンスなど出演団体のコンセプトに合わせた衣装を纏ったグループが続き、さらには音楽隊や、少年少女のグループが続く。どのチームも構成は似たようなもので、ブラジルの本場のものを真似たということなのだろう。
 ひとつのグループで総勢200人から300人にものぼり、自動車から大型にスピーカー、太鼓や笛など中南米独特の楽器を奏でて、それに合わせてサンバのリズムを歌い、かつ踊りまくりながら行進する。 見ていて、両側の歩道の観客からの声援に答えて笑顔で返す踊り子もいて、楽しくなってくる。期待した本場ブラジルからのダンサーらしき踊り子は見かけなかったが、それでも見事なサンバを披露する女の子はカメラ小僧ならぬカメラおじさんの集中フラッシュを浴びて、大人気だった。
 なんでも19チームが出場しているというが、地元の浅草からだけでなく、遠くは北海道から、名古屋、埼玉県戸田市、千葉県浦安市、横浜市など全国各地からの参加もある。サンバを踊るためのグループがどうせならというので、パレードに参加しているようで、浅草だけでなく各地のイベントに参加し、日ごろの練習の成果を披露しているようだ。観客のおじさんが言っていたが、かつては60チームも参加し、夜8時までパレードが続いたこともあった、というが、それから見ると不況の影響でやや下火となっているのかもしれない。
 もちろん、単なるパレードだけでなく、チームごとの表現力、躍動感、演奏などで採点されるコンテストの形体をとっており、ホームページで結果を見たら、地元の「GRES仲見世バルバロス」チームがダンスではトップではなかったが、地の利を生かしてか、衣装、演奏で高得点をとり、総合点で優勝していたのは愛敬か。
 真夏の炎天下、アスファルトの上を踊りまくるのはしんどいことだろうな、と同情するが、若い女の子がビキニ姿で踊る姿を見るのは楽しい。と思って周りをみると、にやにや見ているのはおじさんばかりで、若い女性はほとんどいない。午後5時半ころまで立ちっ放しで、正直疲れた。大黒屋で名物の天丼を食べて一息ついたものの、この手の催しは疲れるので、一度見ればいい、と思った。
 30日付けの毎日新聞によると、浅草サンバカーニバルの人出は50万人とのことだが、馬道通りから雷門通りをカギ状に約600メートル行進するだけのイベントではほぼ限界にきているのかもしれない。終わって、浅草寺裏の出場チームの集合場所を通りかかったところ、いかにも疲れたといった感じで、主演者がたむろしていて、わびしい宴の後の雰囲気が漂っていたのがなんとも言えなかった。
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積年の自民党政権の腐敗に対し、国民が怒りをぶつけるのが今回の総選挙

2009-08-29 | Weblog
 注目の衆院総選挙は明日30日に迫ったが、大勢はもう決したようで、自民党支持の日本経済新聞ですら、29日付け朝刊一面で、「民主、来年度予算10月初旬に指針」との見出しを掲げ、横に申し訳程度に「政権獲得なら」と小さな見出しをつけていた。先週から新聞各紙が世論調査の結果、民主300議席獲得をこぞって報道しており、29日には読売新聞がさらに「民主、320議席へ」と大きく報道する始末で、さらに加速している。反体制報道を旨とする夕刊紙の日刊ゲンダイが29日発売号で、「民主300議席割れ」と報じていたほどで、民主党は官軍的扱いとなっている。
 これだけ自民党が大敗するのはなぜなのか。やはり、小泉純一郎元首相が「自民党をぶっ壊す」ことをスローガンに首相に就任したことが大きく響いているのは衆目の一致するところだろう。大体、組織に大きな歪みが生じている時には組織全体を揺るがすようなショック療法で、カツを入れて立て直すことがよく行われるが、小泉元首相の場合、本気で自民党を支えてきた派閥、支持団体をぶっ壊してしまった。自民党のなかに敵をつくり、葬り去ってしまったのだ。
 その挙句がどこにメリットがあるのかわからないままに郵政民営化を言い出し、自民党のみならず国民をも一大フィーバーに巻き込んでしまった。冷静に考えれば郵政を民営化しただけでなにもかもがうまくいくわけがない。1人でも賢い人がいれば行き過ぎを止められたのだろうが、だれもそれを言い出し、止めなかった。
 そして、無能な安部、福田、麻生と3代にわたって政権をつなぎ、年金問題はじめ後期高齢者医療、財政破綻、派遣労働者の首切りなど次から次へと政策運営の杜撰さを露呈し、官僚に任せっきりの丸投げ政治の実態をさらけ出した。さらには任期半ばで政権を放り出す始末で、国民はほとほと自民党政権に愛想を尽かした。もう自民党には政権を任せてはおけない、との積年の怒りが積もり積もった結果が300議席超えとなったのは間違いない。
 総選挙が公示されてから新型インフルエンザ問題が起こり、舛添要一厚労相の不手際が明らかとなり、これも民主党にとって追い風となった。29日に総務省が発表したことし7月の完全失業率が5.7%と過去最高となったことも現政権のなせる業といっていいだろう。
 こうした状況にもかかわらず麻生首相はいまだに「前回選挙より手応えはいい」と宣っている、という。応援演説で「お金がないのなら結婚するな」と発言する失言癖は相変わらずだし、長らく選挙に携わってきたはずの麻生首相が国民に声を聞き取るのにこんなに鈍いとは思いもしなかった。そんな鈍さだから、応援演説に行っても事務局がサクラといsて頼み込んで動員したうえでの聴衆であることとか、候補者は内心喜んでいないこともわからないのだろう。
 総選挙前に舛添首相に差し替えよう、との声が自民党の中にあった、と聞いているが、自民党首脳の間にはそうしておけばよかった、と反省している人も多いだろうが、いまとなっては手遅れだ。麻生首相のせいで失う議席は100前後にのぼるのではなかろうか。
 ニューズウイーク日本版9月2日号で、米マサチューセッツ工科大のリチャード・サミュエルソン教授が民主党の政権獲得で自ら考える政策を実現できる、として「日本はやっと欧米並みになった」と語っていたが、民主党政権となって、本当に国民のための政策を実現してもらいたいものだ。
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地球は地獄だとのセリフにはドキッとしたが、楽しめた演劇「サマーハウスの夏」

2009-08-28 | Weblog
 27日は東京・六本木の俳優座劇場で演劇「サマーハウスの夢」を観賞した。俳優座から定期的にダイレクトメールが来るので、スケジュールが空いている限り、見に行くことにしているが、今回も中身をそんなに検討せずに俳優座だからハズレはないだろうと、即申し込んだ。六本木の東京ミッドタウンの平田牧場で早めの夕食を摂りながら、改めてチラシを見ると音楽劇となっており、まさか俳優座でミュージカルを見ることになったのか、と半ば落胆しながら、劇場に赴いた。が、どうしてどうして俳優座の原恒雄代表が入口で渡されたパンフレットに「ミュージカルとは一味違った音楽劇の面白さ」と書いていたように演劇に音楽が加わった程度の音楽劇で、十分に面白いもので、大いに楽しめた。
 「サマーハウスの夢」はイギリス・ロンドンの郊外に実業家の家の離れで絵を描きながら気ままに過ごしている娘婿、といってもすでに離婚しているロバートのところに義妹、メルが様子を覗きに来る場面から始まる。メルは17歳にもなるのに格好を構わない自然児で、男の子のように木の上に住まいを作って親の言うことも聞かないが、密かにロバートに思いを寄せているが、子供扱いされてロバートとは絶えず喧嘩を繰り返している。ロバートは子供向け絵本の挿絵を描いていて、キャンバスに理想の女性を描きながら、今日も好きなお酒に溺れている。
 そんな折り、かつてのロバートの妻であるメリンダが再婚した相手との新婚旅行から戻ってくるとして、義母から家を出ていくように要請される。メリンダは癇癪持ちで、ロバートがまだ家に住んでいると知ると怒りだすことを懸念してのことで、それならといそいそと荷物をまとめ出す。
 そんな折り、にわかに空がかき曇り、メルの木の上の家に突如、真っ赤なドレスを着た美女が現れる。ロバートがキャンバスに描いていた美女そっくりの出で立ちで、ロバートとやりとりをするうちに異星から来た王女、ベルと名乗るが、歌うことでしかコミュニケーションが図れないことが判明する。聞けば、異星で恋人との結婚を嫌って逃げてきた、という。一方、ロバートは理想の女性が現れたとしてベルに夢中になる。
 歌でベルとコミュニケーションを図るうちに恐怖のアマンダが帰ってくるが、見知らぬ女性がいることで怒り出すが、みんなで歌を歌うように勧めるものの、音痴だからと取り合わない。そうしたところ、再び雷が起きて、異星人が現れてアマンダをさらっていってしまう。その異星人を見て、ベルは婚約者のバルドマーだ、といい、アマンダを殺しはしないが、幽閉してしまうだろう、と告げる。
 休憩後の後半はアマンダを幽閉したバルドマーがアマンダを飼い馴らしていくうちにいつしか、攻守逆転し、アマンダの言いなりになってしまうさまを面白おかしく演じていく。一方、ベルは歌うことを忘れてしまったのか、歌えなくなってしまい、実はバルドマーを愛していたことを改めて思い知る。
 バルドマーはアマンダにこき使われ、疲れ果てて、ベルに救いを求め、大声でベルを求める。それを聞いたベルはバルドマーへの愛を伝えるべきだとバルドマーのもとに馳せ参じる。そして、代わりにアマンダが地上のサマーハウスに無事、帰ってきて、怒りを忘れて生まれ変わったようにロバートらに接する。
 一同よかった、よかったと胸をなで下して、喜びに満ち溢れているのにロバートだけはベルを失って心寂しく、サマーハウスを立ち去ろう、とする。そこで、メルが遠くにいるベルに助けを求めながら、ロバートへの愛を打ち明け、ロバートは改めてメルへの愛に気づき、めでたしめでたし、となって幕となる。
 随所に歌が歌われ、特にベル役の鈴木ほのかとバルドマー役の米谷毅彦は歌唱力抜群で、劇場いっぱいに響き美声をはいりあげ、会場から拍手を浴びていた。原作のアラン・エイクボーンをほめるべきなのだろうが、歌でしかコミュニケーションを図ることができない設定で、無理なく歌が歌われていて、うまく演劇に歌を取り込んでいる、という感じで抵抗がなかった。
 地球へおりてきたベルが「異星では地球のことを地獄だ、と思っている」と告白する場面はドキッとしたが、作者の痛烈な皮肉が織り込まれていて、面白いと思った。全体としても満足のいく内容であった。
 
 
 
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感動のマーラー「交響曲第5番」の演奏の途中で調律の調べが流れた

2009-08-27 | Weblog
 26日は東京・赤坂のサントリーホールでの読響名曲シリーズ演奏会を聴きに行った。前半はヘンデル没後250年を記念して、ヘンデルの組曲「王宮の花火の音楽」で、指揮者の高関健が中央に置かれたハモンドオルガンのような小型オルガンを自ら演奏しながら指揮するという異例な指揮ぶりで、以前に聴いたことがある水上の音楽を思わせる宮廷の華やかな気分を味わわせてくれた。演奏が終わって、拍手のなか、指揮者がよく演奏した楽団員を指して、立たせて自らも拍手をして讃えていたのがいつになく的確な指摘で、できる指揮者であることをうかがわせていた。
 休憩をはさんだ後半はマーラーの「交響曲第5番嬰ハ短調」で、ハープ2台と銅鑼など打楽器陣を従えた総勢100人に及ぶ大編成で、交響楽団がなかなか演奏しようとしない曲目であることがよくわかった。考えてみれば、コンサートホールでマーラーの交響曲第5番を聴くのは初めてで、出だしから荘重な響きが流れ出し、見事な演奏に感動した。
 曲は5つの楽章から成り立っており、葬送行進曲といわれる第1楽章と嵐の激しさの第2楽章を第1部とし、第3楽章を2部とし、第4、第5楽章を3部とし、第2部を中心として対称的な構成となっている。第4楽章の甘美な調べはマーラーが愛妻のアルマへ送った愛の告白だったといわれており、ルキノ・ヴィスコンティ監督が映画「ベニス死す」のテーマ音楽としても用いられたことでも有名である。
 全体で68分とあまりにも長いためか、第2楽章が終わったところで、いつも演奏の始まる前に行われる調律の響きが流れたのには驚いた。第2楽章で激しい演奏が続いたので、楽器の調子を元に戻したのだろうが、演奏会でこんな場面に遭遇したのは初めてのことだった。
 後半でも演奏が終わって指揮者がいい演奏をした楽団員を指名して拍手していたが、クラリネット、オーボエ、打楽器などに加えハープ奏者も指名していたのがいい指揮者だな、と思わせた。そんな雰囲気もあってか、観客のカーテンコールは5回にも及んだが、あまりにも熱の入った演奏で疲れたのだろう、アンコール演奏はなかった。
 この日の読響の定期演奏会ではオペラグラスを持参して、楽団員の顔をじっくりと見たが、3年前に見知った顔はほとんどなかった。特に若い人にそうした傾向が強い、と思われた。N響と比べて比較的若い楽団員の多い読響だけに入れ替わりが激しいのかもしれない。特にこの世界は1年契約で、どしどし海外なり、国内の他の楽団なりにキャリアアップをはかっていくのかもしれない。特に若いうちに経験を積み、自らの力を磨いていくものなのかもしれない、と思った。
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高邁な理想に燃えるSさんにエールを送りたい

2009-08-26 | Weblog
 25日は東京・銀座のとあるビルにある某社の健康保険組合の理事長を務めるSさんが9月末にて退任する、と聞いていたので、予約もとらずお別れの挨拶に出かけた。時間があるのでゆっくり構えていたら、早めに休暇をとってそのまま退任の日を迎えるという話だったので、先日歌舞伎座に行った際に買ったグッズを記念に渡そうと持参した。
 SさんとはSさんが勤める会社の仕事をしていた時に同じ職場で3年間、お世話になった。労組の委員長を務めたこともあり、俳句をたしなみ、越中おはら風の盆にも出かける趣味人で、飄々とした仕事ぶりに人気もあった。その後、取締役のもなったが、トップとそりがあわなかったのか、いまのポストに座ることとなった。それでもSさんは淡々と職責を果たし、1年前に訪れた際もにこやかに迎えてくれた。
 Sさんの会社はいま逆風に遭って、創業以来の難関に立ち向かっている。そんな状況にひとしきり触れたあと、「退任後、どうされるのですか。何かやろうと思っていることでも」と伺ったら、即座に「精神保健福祉士なる資格を取ろうと思っている」とはねかえってきた。なんでも精神保健福祉士とは心や身体を病んだ人の擁護や社会復帰をお手伝いする資格を持った人のことで、そんな資格があることさえ知らなかったので、思わず問い直したほどだった。
 Sさんによると、いま年齢を問わず、心を病んで仕事に適応できない人が増えており、Sさんの会社の中でも若い人にそうした病気が蔓延しつつある、という。いまの健康保険組合の理事長の立場からも、なんとかしなければと思い、まず資格を取ろうと数年前から勉強を始めており、ついこの夏休みも1カ月間休みを取り、そうした施設で1カ月のい実習をしてきた、という。さらには今年4月に入社した新人に精神障害者に対するケアについて研修の講師も務めた、という。
 来年1月にそのための国家試験があるので、それを受験し、合格したら、地元の岐阜県大垣市周辺のそうした病院、保険所に勤めたい、とも語った。
 軽い気持ちで趣味の道を究めるとでも返ってくると思った質問が意外と真面目な答えだったので、驚いたが、考えてみればSさんの気質からして社会にお返ししなくては、と思う気持ちはすぐに理解できた。退任後は何か面白いことはないか、と勝手気ままに動き回っているだけの鈍想愚感子にとっては頭をゴツンと殴られたような思いで話をうかがった。
 Sさんの高邁な考えは素晴らしいことだ。これぞ退任後の第2の人生のお手本のような生き方である、それにひきかえ自分はなんだろう、と反省しながら家路に着いた。
 家に帰って、精神保健福祉士なるものを調べたら、「精神保健福祉士法(97年制定)に定められた国家資格で、精神障害者の保健、および福祉に関する専門的知識および技術をもって、精神病院その他の医療施設において精神障害の医療を受け、または精神障害者の社会復帰の促進を図ることを目的とする施設を利用している者の社会復帰に関する相談に応じ、助言、指導、日常生活への適応のために必要な訓練、その他の援助を行う専門職」とあった。調べれば調べるほど頭の下がる聖職である。身近にこんな素晴らしい人がいるなんて勇気づけられる思いである。
 改めてSさんにエールを送りたい気持ちとなった。
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東京カワイイ・ファッションが評価されたのは日本経済の底力だった

2009-08-25 | Weblog
 先日、NHKテレビが毎週土曜日夜に放送している「東京カワイイ」を見ていたら、花の都パリで番組が追っかけてきたロリータなどカワイイ・ファッションの集大成としてファッションショーを開いたところ、フランスのファッション界の重鎮が大挙来場して、大成功だった、としていた。番組そのものの存立に関わることなので、多少割り引いて見なければならないとしても、日本の少女ファッションがパリで評価されたことは素晴らしいことだ、と思った。
 「東京カワイイ」はこのところ、パリへ日本のカワイイ・ファッションの代表作を引っ提げて乗り込むことで、ロリータ・ファッション、女学校の制服、男子服、それにジュエル・デコの4部門のトップデザイナーを選別することに精力を注いできた。ナビゲーター役には俳優の沢村一樹を起用し、アシシタントにモデルの紗耶らを配し、随時東京・原宿の竹下通りでの最新ストリート・ファッションを反映させ、最終審査にはクリーティブ・ディレクターではトップの佐藤可士和が立ち会った。
 で、パリでのカワイイ・ファッションの発表は7月はじめの「ジャパン・エキスポ」で、パリの中心地で東京カワイイのファッションショーを開催することに決めて、ファッション界のトップデザイナーやファッション雑誌の編集長・記者らに出席を求めたが、子供のファッションとみなされて思うようにいい返事がもらえなかった。そこで、沢村一樹がつてを頼りにパリの副市長や、有力なデザイナーらに直談判に及び、なんとか約束を取り付けた。これには日本の外務省から「カワイイ大使」の青木美沙子、木村優もファッションモデルとして参加し、万全の体制を整えた。
 当日、開始時間になっても「来る」と言ってくれた重鎮は1人も現れず、一同をヒヤリとさせるが、どうやら名古屋時間ならぬパリ時間だったようで、待つこと30分にして続々と重鎮が集まってきた。交通渋滞を織り込んでか、何事も時間通りに始まらないのがパリの習いのようで、一同ホッと胸をなで下ろした。
 本番の東京カワイイ・ファッションは日本での勢いそのものの元気のいい、溌剌とした生きの良さを見せつけ、満場の喝采を浴びた。パリの淑女向けの高価できらびやかな豪華さとは違うが、素材であったり、デザインであったり、組み合わせであったり、一部にキラリと光る何かを訴えたようだった。終わったあとにの質問コーナーで集まった記者、デザイナーからは賛辞の言葉が相次いだことでもそれが実証された。特に有力デザイナーのカステルパジャック氏は男子服のデザイナー、山口慎弥君の作品に痛く感心したようで、このままパリに残って自身の工房で修行していくことを勧めたほどだった。
 番組では最後にその山口慎弥君がカステルパジャック氏の工房を訪ね、できればそのまま弟子入りしたい旨伝えるところまで追いかけていたが、東京カワイイ・ファッションのパリデビューで一番成果を得たのは外務省でも、NHKでもなく、山口慎弥君だったのかも知れない。
 番組のなかでカステルパジャック氏が言っていたが、いまパリファッション界は昨年のリーマン・ショックの影響で不況のどん底から脱し切れていないという。そのなかで、「日本の東京カワイイ・ファッションの元気の良さがパリに活力をもたらしてくれたのは素晴らしいことだ」と語っていたのが印象的だった。東京カワイイ・ファッションが評価されたのはファッションでではなく、日本経済の持つエコノミック・アニマル的な底力だった、というのが面白かった。
 
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23日のテレビ各局の党首討論会でよくわかった国民の積年の怒り

2009-08-24 | Weblog
 衆院総選挙まで1週間となったが、23日朝のテレビ各局の政治報道番組を見る限り、政権交代一色となった感があった。NHK、テレビ朝日の党首討論会を見ていても与党の麻生太郎首相と太田宏昭公明党代表もそのあたりを意識してか、まるで精彩がなかった。一方の鳩山由紀夫民主党代表ら野党陣は破竹の勢いそのままで、もう政権は野党に移ったかのような印象を受けた。いままで総選挙を何回も経験しているが、こんなに早くから結果が見えているのは初めてだが、その背景にあるものが23日のテレビ各局を見ていてよくわかった。
 朝6時からのTBSの「時事放談」は片山善博慶応大学教授と増田寛也元総務相がパネラーで、選挙結果がどうなるかは自明のものとして民主党政権になってどうなるか、を話し合っていた。与党が民主党のマニュフェストをばらまきだ、財源がない、と攻撃しているのを意識してか、片山教授が「予算を点検すれば、隠されている公費のムダが出てくるはずで、財源がないというのは当たらない」と解説していたのが注目された。民主党が100人の議員を投じて各省庁の予算を総ざらいすることについてもきちんとやれば各省の事務次官が不要になる、としていたのも注目すべき発言だった。
 増田元総務相も「民主党がいかに官僚支配を打破できるかがカギだ」と指摘し、片山、増田両氏とも官僚出身で、なおかつそれぞれ鳥取、岩手県知事を経験して官僚のなんたるかをよく知っている人だけに重みある発言で、見ている人をなるほどと思わせた。
 続いて、フジテレビの「新報道2001」、NHKの「党首討論会」、テレビ朝日の「サンデープロジェクト」で各党党首のパフォーマンスが繰り広げられた。特に「サンデープロジェクト」では田原総一朗を司会に各党の党首に切り込む討論会が行われたが、郵政民営化、年金問題、核廃棄問題などを順次取り上げていったが、画面を見ているともう政権交代はなっていて、鳩山首相を麻生首相と太田代表が攻めているような感じだった。テーマによっては志位和夫共産党委員長、福島瑞穂社民党党首が鳩山代表に切り込む場面すら見えた。
 核持ち込み禁止では米国との秘密条約で日本に密かに核を持ち込んでいた点を質した田原総一朗が鳩山代表に「オバマ米大統領に直談判すべきだ」と鋭く迫り、鳩山代表が「とことんやります」と力んでいたのだ出色だった。
 自公政権の成果を振り返って、郵政民営化、年金問題を点検してみると、改めて自公政権が国民をないがしろにしてきたか、ということがよくわかる。失われた5000万件の年金記録はいまだに解決を見ていない。郵政民営化にしても郵貯の200兆円のほとんどが国債の消化に充てられている、と聞いて驚かざるを得ない。
 民主党の衆院議席の獲得数が300議席を超える、との新聞各紙の予想の背景にはこうした杜撰で、官僚任せの自公政権の政権運営に国民がうんざりしていることの表れであることがよくわかった。
 戦う前からこんなに結果がはっきりしている総選挙も珍しいが、積年の国民の恨みは骨髄に達しており、容易なことではひっくり返るようなことはないだろう。来る30日の投票日に、国民は怒りを持って投票所へ向かい、民主党、もしくは野党に一票を投じることは間違いないことだろう。
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ダブル直木賞受賞としてもおかしくない「プリンセス・トヨトミ」

2009-08-23 | Weblog
 第141回直木賞候補作の万城目学著の「プリンセス・トヨトミ」を読んだ。受賞作の「鷺と雪」(北村薫著)よりいいとの評を聞き、興味をもって買い求めたもので、奇想天外なストーリーに惹きつけられて一気に読み進んでしまった。地方分権を意識してか、大阪国なる存在と会計検査院を結び付けての筋立ては素晴らしかった。いかにも関西人らしい発想のもとこんなことがありうるのか、と思うほどの組み立てに驚いた。ただ、主人公であるはずのプリンセス・トヨトミの存在感が希薄な点に不満が残った。
 「プリンセス・トヨトミ」は東京駅から会計検査院の検査チームが大阪府庁への検査のため旅立つシーンから始まる。将来の会計検査院のトップと目される第六局の松平元副長をリーダーとし、短躯の男性と長身のハーフの美人女性の3人組で、凹凸コンビを後ろから見た人はこれが敏腕なチームだとはだれも思わない。大阪府で検査を終えた3人は府が長年にわたって助成しているOJOなる組織に着目し、チームリーダーは部下に実地調査を命じる。
 そのOJOがある長堀商店街の一角にあるお好み焼き屋、「太閤」の1人息子の真田大輔はかねて女になることを念願しており、遂にセーラー服を着て中学校に行くことを決意する。ところが、教師らの猛烈な反発に遭い、2度としないことを約束させられる。ところが、翌日になっても同じようにセーラー服で登校してしまい、不良仲間の横須賀らから袋叩きに遭ってしまう。それを知った幼馴染みの橋場茶子が首謀の横須賀を急襲し、鼻柱を折ってしまう。
 一方、OJOの調査を命じられた部下2人は事務所の所在地の長堀商店街に赴くが、居留守をい使われて空振りに終わってしまう。出張の期限が迫ったので、父の墓参りをするという松本副長を残して東京へ帰ってしまう。残された松本副長は単身、改めてアポをとった期日にOJOを訪れる。長堀商店街にあると思ったOJOの本部は地下深くに長い通路があり、それを辿っていくと大阪城の下あたりにたどりつく。
 そこに現れたのはなんとお好み焼き屋「太閤」の主人、真田幸一で、名刺には「大坂国総理大臣」となっている。そこで、明かされた事実は豊臣秀吉の末裔であるプリンセスを守るため、大阪の男性が大阪国なるものを組織し、なにか事あるごとに集結することになっている、という事実で、助成金はその組織を存続させるための資金である、という。
 実は35年前にもOJOに会計検査院の調査が入り、大阪国の決起集会なるものが開かれ、なんということなく済んだことがあった、という。松平副長はその時のことをうっすらと憶えている、という。
 そんな折り、プリンセスである橋場茶子は大輔へのいじめを止めない横須賀に業を煮やし、遂には横須賀の家である横須賀組を襲うことを決め、実行に移すことにして、大輔の仲間の島に協力することを要請する。困った島は大輔に相談し、そこへ茶子の調査を命じられた副長の部下が訪ねてきて、一緒に横須賀組に向かう。
 で、横須賀組に乗り込んだプリンセスの茶子ともども4人は駆け付けた警察に捕えられてしまう。プリンセスが警察に捕まったことを伝えられた大坂国のメンバーは一斉に大坂城へ集合し、大阪の機能は麻痺してしまう。
 大阪国の団交の場に引っ張り出された松平はOJOの存在意義について疑問を呈するが、最後には認めるこtになり、同じ頃、プリンセスは警察から問題なしとして釈放され、大阪国メンバーはホッとして離散し、何事もなかったかのように集団は消えて、幕となる。
 ストーリー展開がわかるようになるもでの前置きが長いのとプリンセスのキャラクターの書き込みが足りない点に不満が残ったが、エンターテイン面を重視する直木賞の評価を下してもいいような感想を持った。
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早速に新型インフルエンザ対策で手腕発揮を願いたい、長妻昭民主党議員

2009-08-22 | Weblog
 新型インフルエンザが猛威をふるい始めている。21日午後7時のNHKニュースを見ていたら、国立感染症研究所がこの一週間で全国で新たにインフルエンザに感染して医療機関を受診した患者が11万人に達した、とする推計を発表した、と報道していた。沖縄で新型インフルエンザ患者が5000人を超えたと報道されていた後も死者が相次いで出ていて、心配していたが、予想外に広がっていることが明らかとなった。この患者数は1医療機関当たり1.69人と流行期レベルの1.00を超えており、真夏の8月に流行期入りするのは異常な事態。ことし5月に新型インフルエンザが流行した際に収束したばかりと思っていたのに明らかに政府の対策が手ぬるかったことを裏付けている。
 5月に新型インフルエンザが流行した際には米国への旅行から帰国した川崎在住の女学生が溝の口駅へ降りて、タクシーで自宅へ戻った、とされた日の夜に国内旅行から溝の口へ帰ってきたばかりで、身近にインフルエンザ菌が漂っているのではないか、と緊張したこともあって、鮮明に覚えている。ただ、その後は本来の流行期でない夏に向かったこともあって、報道されなくなり、収束していったように思われていた。
 ところが、新型インフルエンザ・ウイルスは知らないところで、どっこい増殖していたかのように沖縄県で猛威をふるい始めた。真冬にインフルエンザが蔓延するというのは人間の勝手な思い込みで、気温の高い夏はウイルスにとって格好の繁殖の季節なのかもしれない。
 専門家は5月の新型インフルエンザ発生の際の政府の対策が対症療法的なもので、危機管理を意識したものではなかった、という。実際、成田空港での水際防止策も検査にひっかからずに通り抜けた患者が家に帰ってから発症ケースが相次ぎ、なんら水際防止の役割りを果たさなかった。単に桝添要一厚労相のパフォーマンスだけが目立って、肝心の危機管理が進んでいなかったことが露呈された。
 問題はワクチンが4300万人分しかなく、新型インフルエンザに罹った場合に効果的とされるタミフル・リレンザも必要な量が確保されているのか不透明なところがある。
 通常、季節性インフルエンザは年に1000万~1500万人が発症し、1万~2万人が死亡する、といわれている。これが免疫の効かない新型インフルエンザになると、患者数は2~3倍になり、致死率は0.5%程度に達すると推定されている。そうなると最大22万5千人もの人が死亡することになる。
 今後、新学期に入り、抵抗力の少ない小中学生が登校すると、一挙に新型インフルエンザが広がることにもなりかねない。ワクチンはいうに及ばず、タミフルなど抗インフルエンザ薬や人工呼吸器などの配備で適切な措置を講じれば新型インフルエンザの蔓延や、死亡を食い止めることはできないわけではない。
 いまは丁度、政治の世界では関ヶ原ともいえる衆院の総選挙の真っ最中である。一般各紙のここ一両日の結果予想では幸い、民主党の圧勝ということになっている。ことし5月の先回の新型インフルエンザ騒動時には対策を誤った桝添大臣には退いてもらい、新政権の厚労相と目されている長妻昭民主党衆院議員には早速、新型インフルエンザ対策を講じてもらい。新大臣のさえを見せてもらいたいものだ。
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