相変わらずコロナウイルスの猛威は収まる気配すら見せていないが、23日の正午NHKニュースを見ていたら、千葉県成田市がコロナウイルス感染防止に取り組んでいる市内の成田赤十字病院と国際医療福祉大学成田病院に対し、それぞれに1億円の給付金を支給することを決めた、と報じていた。これまで大阪府が府民に対し、病院で使用する防護服などに充てるために雨合羽などの寄付を呼び掛けた例はあったが、直接コロナウイルス防止に苦闘する病院など医療施設に対して給付金を支給した例は聞いたことがなかった。それだけに成田市の大きな英断である、と拍手したい。本来、こうしたことは国が真っ先に行うべきことではないか、と思われる。
成田市はこの給付金について、財政調整基金を活用して予算措置を講じたい、としている。成田市は成田山新勝寺や成田国際空港があり、ホームページを見ると人口12万人、一般会計予算の規模は歳入歳出と628億円から見て、2億円を支出するのは相当な決断がいったことと思われる。千葉県のコロナウイルス感染者数は22日段階で751人なので、この割合からして成田市内で14人程度の感染者がいても不思議ではない。もっとも成田赤十字病院、それに国際医療福祉大学成田病院が成田市周辺からもコロナウイルス感染者を収容していたとしても不思議はない。
このうち国際医療大学成田病院は本来この4月1日に開設の計画であったのをコロナウイルス感染が広がったのを受けて3月16日に前倒しして開業に至ったという事情があり、成田市としてもこの功績に鑑みて支給金の給付に踏み切ったものともみられる。今回この2病院への支給を決めたのは成田市長の小泉一成氏か、市議会の議長あたりかよくわからないが、いまの段階では推察するしかない。いずれ当事者に”英断”のそのあたりをどこかで明らかにしてもらいたいところだ。
いま日本全国至るところで、病院はじめ医療崩壊の兆しが出ており、国をあげてそれをなんとしても食い止めることが切に望まれている。毎日のように新聞テレビで、その実態ぶりや支援を呼びかける声が叫ばれいている、が、いままでのところ、各種病院や医療現場に対して具体的な支援策としてはマスクや防護服、消毒液を届けるといった程度で、有効な策が講じられるには至ってないのが現状である。
だからまずは政府が医療崩壊寸前の実態を掴み、それに対してどうすべきか、を早急に講じるべきであるが、これについてもなんらこれといった策が打ち出されていない。成田市の英断はこうした事態に対して楔を打ち込むようなもので、国をはじめ全国の地方自治体も見習うべきではないだろうか。また、市民としても近く国民すべてに支給される10万円の給付金の使い道についても大きなヒントを与えてくれた、と言えるのではなかろうか。
今回のコロナウイルス騒動は初めてのことで、緊急事態宣言の発動などで様々な波紋を呼んでいるし、医療崩壊もどこまで進むのかまだわからない状態だが、いずれ事態が収まった段階で、病院など医療施設に対する支援の在り方についてもどういった枠組みで進めるのが一番いいのか、を実証して、今後こうした事態が再び起きた際には参考となるような形で残すべきだろう。