先日、テレビを見ていたら、西濃運輸グループが自前の健康保険組合を解散し、グループ員全員を政府管掌健保に切り替えることを決め、これによる政府管掌健保の負担金が年額で16億円も増えることになる、と報じていた。民間の健保組合はどこも財政難にあえいでおり、西濃運輸に続いて続々と政管健保に切り替えてくるところが続出することになりそうである。民間企業の行為としては当然の決断ではるが、制度自体のあり方がこれでいいのだろうか、と思わせる問題である。
西濃運輸グループの健保にはグループ31社で従業員および扶養家族合わせて5万7000人が加入しており、07年度には75歳以上が対象の老人健保制度などに36億円を支出したが、08年度には高齢者医療制度改革で前期高齢者納付金や後期高齢者支援金が加わり、支出は前年度比62%増の58億円となる見通しとなった。このため、保険料率を月収の8.1%から10%以上に引き上げることが必要となったが、それだと政管健保の保険料率の8.2%を上回ることになるため、今年3月に政管健保へ移行すべく健保組合の解散を決定し、この8月1日付けで解散していた。
民間の健保組合への国庫補助はないが、政管健保では国が医療給付金の13%、介護給付費や後期高齢者への支援金の16%を負担するので、08年度の国庫負担は計1兆100億円になる。本年度はすでに12組合(11万人)が解散し、うち9万人が政管健保に移行していて、20数億円の負担増となっている。今回の西濃運輸グループだけでも年ベーズで16億円の負担増となる、と厚生労働省は試算している。
全国の健保組合でつくる健康保険組合連合会によると、07年度には全体の7割の1056組合が赤字だったが、本年度は1334組合が赤字とほぼ9割にも増えている。
民間の健保から政管健保に移行した場合、従業員から保険料を徴収してまとめて国に納付する業務は残るが、健保に携わる作業からは解放されるので、今後さらに政管健保への移行は続くことになることだろう。
ということは政管健保の台所がますます悪化することは避けられそうもなく、国の財政赤字はますます膨らむことになる。
後期高齢者医療制度は保険金の徴収の方法を含め散々の評判であるが、健保組合に異常な負担を強いていることが判明したわけで、高齢者に対する医療制度のあり方を含めて再検討の必要がありそうだ。
西濃運輸グループの健保にはグループ31社で従業員および扶養家族合わせて5万7000人が加入しており、07年度には75歳以上が対象の老人健保制度などに36億円を支出したが、08年度には高齢者医療制度改革で前期高齢者納付金や後期高齢者支援金が加わり、支出は前年度比62%増の58億円となる見通しとなった。このため、保険料率を月収の8.1%から10%以上に引き上げることが必要となったが、それだと政管健保の保険料率の8.2%を上回ることになるため、今年3月に政管健保へ移行すべく健保組合の解散を決定し、この8月1日付けで解散していた。
民間の健保組合への国庫補助はないが、政管健保では国が医療給付金の13%、介護給付費や後期高齢者への支援金の16%を負担するので、08年度の国庫負担は計1兆100億円になる。本年度はすでに12組合(11万人)が解散し、うち9万人が政管健保に移行していて、20数億円の負担増となっている。今回の西濃運輸グループだけでも年ベーズで16億円の負担増となる、と厚生労働省は試算している。
全国の健保組合でつくる健康保険組合連合会によると、07年度には全体の7割の1056組合が赤字だったが、本年度は1334組合が赤字とほぼ9割にも増えている。
民間の健保から政管健保に移行した場合、従業員から保険料を徴収してまとめて国に納付する業務は残るが、健保に携わる作業からは解放されるので、今後さらに政管健保への移行は続くことになることだろう。
ということは政管健保の台所がますます悪化することは避けられそうもなく、国の財政赤字はますます膨らむことになる。
後期高齢者医療制度は保険金の徴収の方法を含め散々の評判であるが、健保組合に異常な負担を強いていることが判明したわけで、高齢者に対する医療制度のあり方を含めて再検討の必要がありそうだ。