つい先日、最近本を買っていないなと思って、永年購入した本の購入台帳を見てみたら、なんと昨年1年間の本の購入が全くなかったことに気がついて、愕然とした。会社を退職して、財政状況が厳しくなったので、できるだけ市販本は買わずになるべく図書館で借りて読むようにしてきたが、それでもこれはと思う本は購入していたので、まさか年間を通じて全く本を購入したことがないないなんてことになる、とは思いもしなかった。昔から読みたい本があったら、即座に購入して読んだ後も本棚に並べて、折りに触れ、読み返すようなこともあったのに、何という変化か、と驚きもした。
本の購入台帳は時々、好きな作家の小説など以前に読んだことがあるのにすっかり忘れて、2度目の購入をしてしまうことが相次いだので、もうかれこれ約30年前から、購入した本のタイトルと値段を書いておき、買おうと思った時にこの台帳をめくって、以前に購入しているかどうかを確かめてから、購入するようにしてきた。新本に限らず、アマゾンのサイトから古本を購入した場合もきちんと書き込んできた。だから、年末になると、過去1年間の図書購入費がいくらか、を計算して、多い時には1年に10万円を超えるようなこともあり、そんな時は「今年は本を買い過ぎた」と反省することにもしていた。
それが、会社を定年退職した2011年を境に年間の図書購入費は下降線をたどり。2015年には5万円を切り、ここ最近は1万円を下回るようになってきた。年金生活で月々の生活費のやり繰りに追われるようになってきたのにと伴い、読みたい本はなるべく図書館で借りるようになってきたことが大きいと思われる。若い頃は電車のなかで、人が図書館から借りてきた本を読んでいる姿を見ると、「本くらい自分のお金で買えばいいのに」と思って半ば軽蔑の念すら感じていたのに、我ながら変われば変わるものである。
とはいえ、これはあくまでも単行本の購入費であり、週刊新潮や週刊文春などの週刊誌については全くのゼロではなく、時には購入することもあったので、年間を通じて全く市販の活字媒体を購入していないわけではない。ただ、単行本の購入は年間を通じて全くゼロというのは偽りのない事実で、高齢者が生活のやり繰りでこうした状況に追い込まれるとそうなる、という間違いのない事実でもある。
ちなみに鈍想感愚子の単行本購入台帳によると、1994年から2020年までの25年の図書購入金額は217万円余で、年平均にすると、8万3500円程度となっていて、それが2021年には1万円を切ってしまい、昨年についにゼロとなってしまったわけである。もっともこれは物理的な印刷書籍についてのことで、デジタル書籍については別のことかしれない。ただ、鈍想愚感子はデジタル本は一切購入したことがないので、あくまでも物理的な印刷書籍についての話である。
全国に本屋さんはかつて6万軒あったのがいまや半分近くに減っており全国の市町村のなかに1軒も本屋がないところも結構ある、と聞いている。そんな書籍離れの傾向に拍車をかけるようなことをしていて、一方では申し訳ない気持ちもあるが、ここは一市民として生きていくためにもやむを得ぬ方便でもある、と割り切るしかないだろう。