今日(26日)北海道新幹線が開通する。といっても本州から北海道の玄関である函館までで、一般的には北海道といえば札幌までは従来路線に乗り換えていかなければならないので、ピンとこない。JR北海道の営業上、北海道新幹線と表示するしかないのだろうが、羊頭狗肉の感は否めない。一時乗車率は25%と言われていたが、開通の当初こそはそこそこお客は集まるだろうが、落ち着けば乗車率はそんなところまでしか伸びないことだろう。北海道新幹線が札幌まで延びるのはまだ5年以上かかると言われているが、それまで北海道の春はこないことだろう。
鈍想愚感子に限らず鉄道マニアでない一般人にとって、新幹線の建設・開通状況にそれほど詳しくないので、北海道新幹線と聞いたら、だれしも札幌まで行けるものと思うことだろう。それで、開通間近になって、具体的な路線を聞いて函館までと知ってがっかりしたというのが大方の人の反応だろう。これまでも東北新幹線が東京から青森まで通じていて、それが北海道新幹線として延伸するとなれば、旭川までは行かなくともせめて札幌まではいく、と思うのは当然のことだろう。それが単に函館までというのでは肩透かしを食った思いともなる。
北海道新幹線の開通で東京から函館までは4時間強で行くということだが、そこから在来線に乗り換えて札幌までは特急でさらに2時間半はかかることになり、乗り換え時間を考慮にいれると東京から札幌までざっと7時間かかることになる。これでは新幹線のメリットはあまり感じられないことだろう。飛行機で羽田から札幌千歳空港までは1時間半程度しかからない。しかも料金はLCCを使えば2万円強とJRを利用するのと比べ少し高い程度である。これでいくら新幹線が北海道まで開通したとへいえ、忙しいビジネスマンは北海道新幹線を利用しよう、とは思わないことだろう。
しかし、北海道民にとって新幹線が開通するということは悲願であり、待ち望んでいたことであるのは十分に理解できる。開通前のテレビの報道では旭川の住人が北海道新幹線の開業第1号の列車に乗り込むためにわざわざ青森までやってきていた姿を映し出していた。それでけ地元の期待は大きい、というわけでやっと北海道も本土並みの利便を享受できるようになった喜びがあふれていた。
とはいえ、北海道新幹線の事業としての採算は必ずしも明るくない。当面は雪まつりや旭川動物園や阿寒湖、洞爺湖、支笏湖など豊かな自然を売り物とした観光で利用促進を図ることで利用率のアップをめざすしかないだろう。それで心配なのは特に東海道新幹線が開業当初から雪のためにストップしたことで、北海道は本州以上に雪が激しく降ることが予想され、雪害はじめ安全対策に万全を期すことが避けられないことだろう。新幹線は雪に弱いのが定説で、JR北海道がどこまで対策を講じているか、 注目したい。