孫が来年小学校に入学するため、ランドセルをプレゼントしよう、と溝の口のマルイへ出かけ、見てみて驚いた。来年4月に要るというのにズラリと商品が並んでいて、いずれも結構な値段がするのだ。いままでランドセルになど目が向かなかったのでよそ事としか思わなかったが、いざ自分の身にふりかかってくると、大変な商戦であることがわかった。小学生がランドセルを背負って通学する風景はよく見ているものの、一方ではランドセルでなければならないとは一体だれがどこで決めたものなのか、と疑問に思った。
ランドセルを買わなくてはと思ったのはかみさんの妹も同じ年の孫がおり、電話で話していて「もう注文した」と聞いて、「うちでも買わなくては」と思った次第である。わが孫はディズニーのキャラクターが好きなので、ネットで調べてみると今年から新たにディズニーのミニーちゃんをあしらったランドセルがあるようだった。それで、まずマルイでどんな商品ラインがあるのかを実際に目で見て、触れてみよう、ということになった。まず価格帯が3万円から10万円まであり、ちょっと見ただけではどうしてそんなに価格差がるのか、わかりにくい。店員に聞いてみると、素材、および堅牢さによって異なるということだった。
で、5万円くらいのもので十分というアタリをつけておいて、ネットで検索してみると、大阪のシブヤというメーカーがディズニーのランドセルを製造していることが判明したので、電話で問い合わせてみたところ、「もう内覧会は終了していて東京で商品を見る機会はない」とのことだった。そのシブヤによると、他にディズニーのランドセルを販売しているのはディズニーランドとスーパーのイオンの両社しかない、という。ディズニーランドに行くわけにはいかないので、イオンのチェーン店でランドセルを扱っている店舗を探したところ一番近いのは田園都市線のつきも野店だった。ついでに安くていいものがありそうなニトリのチェーン店を探すと、港北ニュータウン店が見つかったので、その両店舗に出かけた。
ネット検索では他に百貨店系のランドセルを探してみたところ、高島屋はほとんどの商品が完売となっており、もうランドセル商戦は終盤にさしかかっていることが判明した。体面を気にする上流階級ではやはり高島屋のブランドが圧倒的に強いのだ、ということがわかった。
イオンでは肝心のディズニーのランドセルはお目にかかれず、イオンでは特に気に入ったランドセルはなく、結局、最初にマルイで目をつけていたピンクの約5万円のものを注文して、一件落着した。
ランドセルを買ってみて、思ったのは単一の商品で、これだけの数のメーカー、お店が力を入れて商戦を繰り広げているのは他にないのではないか、と思ったことだ。ざっと100万人の小学生が単価5万円のランドセルを一斉に購入することになれば、市場は500億円の規模となる。にもかかわらず価格が高い水準に保たれているのは実際にユーザーである小学生自身が買うのでなく、おじいちゃん、おばあちゃんという豊かな高齢者のポケットがあるからだろう。そこには見栄や体面といった要素が入り込んできて、価格を高位に保つ力が働くであろうし、ランドセル以外のものを使おうか作ってという意志も排除してしまうのだろう。