東京都の29日のコロナウイルス感染者数が3865人と連日の過去最大を記録し、全国の新規感染者数も初めて1万人を突破し、1万693人もの感染者が出て、医療崩壊が間近に迫り、専門家のなかには8月末には7万人を突破する、との予測も出始めた。東京オリンピックの開催がこうした感染爆発をもたらしているのは明らかで、いまはなんとしてでも感染の勢いを止めなくてはいけないのに、小番頭の菅首相と古狸の小池東京都知事はオリンピックの開催に触れることなく、「コロナワクチンの接種で高齢者への感染が止まっている」とまるでワクチン接種の成果があがっていることを誇示する始末で、あまつさえ「人流は止まっている」とあさっての見解を堂々と述べている。まるで、国民感情を無視する発言をしており、もはや我が国のコロナ感染対策は完全に狂っている、としか言いようがないところまできている。
菅首相は大阪府はじめ神奈川、埼玉、千葉県から要請の出ている緊急事態宣言を認め、今日30日にも8月2日から8月31日まで6都府県に拡大し、あわせて北海道、石川、京都、兵庫、福岡の5道府県に「まん延防止等重点措置」の運用適用を決める方針である。しかし、それでも東京オリンピックの開催、およびそれに伴う感染拡大についてはなんら手を加える意向は全くなく、相変わらず不要不急の外出抑制と飲食店の酒類提供禁止措置を呼びかけるだけで、アクセルを踏んでブレーキをかけているようなもので、それでは国民の心に全く届かないのは明らかなことである。
菅首相は東京オリンピックの開催は「安心、安全で、コロナ感染の対策も万全」と何回も語ってきたが、ここへきてオリンピック関係者の感染が徐々に拡大してきており、29日も24人、うち選手が3人の感染者が出ており、累計193人になってきている。この数字が東京都の感染者に含まれているかどうかは定かではないところへ持ってきて、数万人いるボランティアに義務付けられているはずの毎日のPCR検査が実は任意で、置かれてある検査キットをボランティアに人が手に取って自ら唾液を取って検査に回す仕組みで、誰も管理したり、記録を取っておらず、ボランティアの人もほとんどがPCR検査などしたことがない状態で、業務に携わっている、ということが明らかとされた。オリンピック組織委員会は「バブル方式のなかで外には感染を広げない」と豪語しているが、そのバブルが全くのザル状態であることがはっきりしたわけで、ボランティアの人が仮に感染者だったら、一気に感染が広がってしまうことになる。
オリンピックの報道に携わる関係者の行動規制についてもルールブックでは行動を申請して組織委員会で管理しているということになっているが、実際には記者がどこへ行こうが、自由な状態で、仮に記者なりカメラマンが保菌者であった場合に直ちに退去を命じられるような体制にはなっておらず、実際には野放しの状態といってもいい。あと交通規制にあたっている全国から駆り集められた警察官のなかから感染者が出た、との報道も出ており、オリンピックに関わる関係者へのPCR検査がきちんと行われているのかどうかも疑わしい。
さらには東京オリンピックの誘致活動の際、東日本大震災からの復興を旗印にし、サッカー、ソフトボールなどの競技を東北の福島、宮城県で開催し、宮城県では有観客で開催されたが、これまでIOC(国際オリンピック委員会)から「全世界でそうした災害を受けたケースは多々あり、その復興をオリンピックの開催意義とすることは認めてこなかった」と言われ、日本の組織委員会もそれを認めてきた、という事実がある、ということがごく最近明らかとなった。これまで日本のオリンピック組織委員会は「IOCからそう言われた」ということは一切明らかにしておらず、重大な背信行為である。開催直前まで宮城県などは村井嘉浩知事は「震災復興のために有観客で開催する」と力説して有観客として実際に開催した。なのにIOCが復興五輪としての開催を認めていなかったとはいまになってどうしてこんなことがあきらかになるうのか、不思議なことである。日本のオリンピック組織委員会はIOCとの間でいまだに明らかとされていない暗黙の了解事項があるぼではないか、と思いたくもなる。
いずれにしろ、ここまで感染爆発した最大の元凶は東京オリンピックにあることは間違いない。いまの国民の心のうちはオリンピックを開催している限り、「どうして自粛しなけけばならないのか」との思いで、無能な政治家の言うことを聞く積もりはまるでない。まずはオリンピックの開催について中止、もしくは延期へ、なんらかの舵を切る、そのうえで感染対策、および医療崩壊の防止策を早急に立案することしかないだろう。
追記(7月31日)30日午後7時からの菅首相の記者会見を見たが、菅首相はこの事態に及んで、自らの施策の失敗をなんら反省することなく、中年へのコロナワクチンの接種を急ぐこととコロナ用の新薬の効能を述べ立てるなんとも言いようのないTPOの欠けた会見ぶりで、途中でスイッチを切ってしまった。国民がいまの事態にどう思っているかにまるで理解を示さず、持論を滔々と述べるのは全くセンスのないトップであることをはっきりと示した。相変わらず「人流は減っている」と「飲食店での会食を減らすことが重要」との認識は変わらず、これではいくら緊急事態宣言を発出しても感染爆発は収まらないだろう。30日には菅首相の盟友だった松井一郎大阪市長が来月に、東京オリンピックの開催を理由に市内の4中学校の修学旅行を実施すると、発表したし、東京都の飲食店休業要請に反抗して営業を続けるグローバル・ダイニング社がことし1-6月の売上高が47億円で前年同期比92.3%増、純利益が5億円の黒字(前年同期は9億円の赤字)となったことを発表した。政界は及ばず、経済界にも”反菅首相”への動きはとてつもなく広がっていることを示している。