鈍想愚感

何にでも興味を持つ一介の市井人。40年間をサラリーマンとして過ごしてきた経験を元に身の回りの出来事を勝手気ままに切る

河井克行被告の功績を褒めまくった元科学技術庁高官の証言はみえみえのお涙頂戴、かつコロナ下の春のとんだ悲喜劇であった

2021-03-17 | Weblog

 16日は東京・霞が関の東京地裁へ裁判の傍聴に出かけた。丁度104号法廷で河井克行前法相の公職選挙法違反裁判の傍聴人の閉め切りが迫っていたので、傍聴券をもらうべく並ぶと結局応募者9人全員が傍聴券を手にした。河井被告は先日釈放となって、裁判の行方に関心が薄れたのだろうと思って、開廷の10時前に荷物検査を終え法廷に入ると、被告は元通りのふっくらとした体形に戻っていた。時間通り10時に開廷すると、元科学技術庁の官房長だった80歳の男性が証言席に着き、被告側の代理人の質問に答えていく。どうやら、被告が政治の世界に足を踏み入れ、科学技術の分野に人脈を築いていくうえで、水先案内人に役目を負った人物のようで、被告の人となりを順次語り始めた。

 証言によると、河井被告は科学技術分野、外交の分野で他の政治家が行わないような業績を挙げ、科学技術分野では日本の科学技術の水準を上げるあまたの成果をあげ、外交面では世界各国を渡り歩き、数々の人脈を築き安倍外交を裏で支えてきたとほめちぎった。被告の妻である安里氏のことを聞かれ、科学技術庁の職員だった安里氏を紹介し、結婚式にも参列した、とも語った。聞いていて、100人以上の議員に対し選挙に協力するように買収資金をばらまいた人物である被告が一方ではこんないいことをしていたのだ、と聞くのはどう考えても違和感の湧く気持ちとなった。傍聴席の左側に座っている記者席を見ると、これも裁判のよくある一幕とでも思わせるのか、必至でメモを取る姿が散見された。

 反対尋問に移り、検事が「いま話された外交の話はどういう形で見聞したのか」と問われると、証人は「送られてくる「『月刊河井克行』や新聞などで知りました」と答えた。続いて検事が「その被告がどんな罪を犯してこの場にいるのかご存知ですか」と聞いたら、「選挙違反と聞いています」と答えたので、検事がその詳細を語ろうとすると、被告側の弁護士が異議を唱え、裁判官がその通りだとして、検事はその件は抑えた。検事はさらに「被告とは最近会いましたか」と尋ねると、保釈後に弁護士とともに証人のもとを訪れた、という。

 つまり、証人のもとを訪れた被告に同席した弁護士がやりとりを聞いていて、被告側の証人として使えるとでも判断し、この場に登場させたのだろうが、自民党本部から1億5000万円もの資金供与を受けて100人以上の市長、議員にばらまき投票を依頼した事実の前に一体どれほどの効果があるものなのか、疑わしい。明々白々の罪の前にはあまり効果はないことだろう。証人尋問を聞いていたマスク姿の河井被告はマスクの下で感激のあまりか、涙ぐんで嗚咽していたとも伝えられているが、目の前10メートルくらいにいたのにそれには気ずかなかった。

 今裁判は来週23日から被告への尋問が始まることになっている。同じく公職選挙法違反に問われた被告の妻の安里氏はすでに有罪の判決を受け、政治の世界からは追放された感じとなっている。それより主犯の被告が妻より軽く済むはずがない、とだれしも思っていることだろう。法務大臣まで歴任している被告がこんな茶番劇を仕組むとはあまりにも醜い見え見えの茶番幕である。これも裁判のうちとでもいうのだろうか、お涙頂戴、かつコロナ下の春の一幕としてはとんだ悲喜劇であった。

 

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サプリメントの販売にあえてリスクを侵さない慎重な姿勢を見せたにサントリーに感服した

2021-03-12 | Weblog

 1カ月くらい前にネットでサントリーからよくテレビで宣伝している「DHA&EPA+セサミンEX」のメールが来て、簡単なアンケートに答えれば抽選で1万人に製品をプレゼントする、との案内があった。ちょっと興味をそそられ、答えるそれからとすぐに該当製品を送付してきた。日頃そんなものを呑んでいないが、試みに呑んでみるのもいいかなと思ったからだった。1瓶120錠入りで、1日に4錠呑むことになっているのを、とりあえず1日1錠づつ呑んでみた。すると、何となく調子が良さそうな感じだった。定価では5500円(消費税抜き)もするので、1錠50円近くする高価なもので、ちょっと得をした気分でもあった。

 それから20日くらいすると、サントリーから電話がかかってきて、「調子はどうですか」と聞いてきた。正直に答えると「もう少し吞み続けてそのうえで定期的に利用することをお薦めします」ということで、やはり単なるサービスではなく顧客に結び付けたい意向がありありだった。その後もダイレクトメールが送られてきて、定期的に購入すると定価の15%引きで、1回だけだと10%引きで購入できますと通知してきた。6000円を超す商品を只で手に入れたのだから、それなりの対応はせざるを得ないのかな、という気持ちにもなってきた。

 その後のある日、テレビの下に置いてある血圧計取り出して血圧を測ってみたところ、いつもの最高血圧100前後の数値が20くらいアップしていた。最低血圧もいつもの60前後から20くらい上昇していた。2回計測しても同じ結果だった。だからといって身体がほてるとか、疲れやすいとかいった症状があるわけではないが、とにかくちょっと気になる数値だった。書棚にある医学書などを引っ張り出して調べてみると、年齢プラス90が最高血圧だと書いてあるくらいで、もともと低血圧体質の身には参考とならなかった。これまで薬の類はまず呑まず、数年前までビタミン剤を服用していたがいまは何も呑んでいない。食生活も日頃は肉も魚も摂らない野菜中心のもので済ましているので、1日にわずか1錠とはいえ、セサミンを吞みだしたことが原因としか考えられない。今度サントリーから連絡があったら、セサミンを呑んでいる人のなかで血圧が上がったような人がいたのか、聞いてみよう、と思った。

 で、サントリーから電話があったので、その旨を聞いてきたら、電話口の女性は「そうした例は聞いたことがない」として、「技術担当の者に聞いてみます」として、口を濁らせた。そして時間を置いて、技術担当者から電話がかかってきて、「セサミンを呑んだから血圧が上がるという事例は上がっていない」として、「どうしても気になるようでしたら、セサミンをお呑みになるのは控えられた方がいいのではないか」と言明した。専門の担当者からそう言われたら、セサミンはタンスの奥にしまわざるを得なくなってしまった。そして、4日後にサントリーウエルネス社から親展で「サントリーDHA&EPA+セサミン」の成分分析、および使用上の注意を記した資料を送ってきた。

 冷静に考えて、サントリーセサミンを服用して血圧上昇し、なんらかの障害が出たりしてはサントリーにとって大きな問題となりかねないことになる。そこは服用を控えてもらって、リスクを回避するのこしたことはないだろう。セサミンを服用する消費者がどんな状況に置かれていたかはサントリーとしては知る由もない、特にセサミン服用と血圧上昇が科学的に裏付けられたわけではない。状況証拠としてなんらかの関係がありそうだ、というに過ぎない。しかし、それでもそんなリスクは侵さないとの慎重な大人のサントリーの姿勢が伺えた。

 

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いまのワクチン接種スケジュールから見て、東京オリ・パラリンピックの開催は所詮、無理な相談であるのは明らかなことである

2021-03-06 | Weblog

 7日まで東京都はじめ神奈川、千葉、埼玉3県下に発令されていた緊急事態宣言が21日まで2週間延長されることとなった。菅首相は当初は東京オリンピック、パラリンピックを開催すべく、「専門家の意見を聞いたうえで、私が決める」と語り、内心は7日で打ち切る方針でいたようだったが、またしても小池東京都知事らの政治的要請を受け、やむなく2週間延長に断を下した。10日にはIOC「国際オリンピック委員会)のバッハ会長が来日して7月からの東京オリ・パラリンピックの開催について協議が行われる予定なのに緊急事態宣言下なってはとても開催への舵を4きることなどはできそうにもないことが明らかとなった。我が国でもコロナウイルスの変異種がじわじわと感染の度合いを広めており、コロナウイルス感染阻止へ期待のワクチン接種も雲行きがおかしくなっている現状からみて、とてもオリ・パラリンピックの開催など可能な状態にないからである。

 そのワクチン接種は医療関係者への接種が始まっているが、来月から始まる3600万人を対象とした高齢者へのワクチン接種がいまだにスケジュールが明確となっていない。河野太郎ワクチン担当大臣はワクチンの日本への到着が予定通りのようなことを言明しているが、必要な量に対して数箱程度のものがバラバラと入荷する程度で、とても順調なものとは言えない状況なのである。都道府県単位でみると、当初到着するワクチンは数千、数万程度で、これでは各市町村ごとにどういう体制を取ったらいいのか、決めようがない。たとえば、東京都三鷹市には対象となる高齢者は4まん1千人いるとされているが、これに対して当初到着するワクチンは400本だ、という。

 わずか400本のワクチンを一体、市内の高齢者に打つにあたって、どういう順番でハガキに書いて郵送すればいいのか、担当者にしてみれば頭の痛い問題である。まさか、アイウエオ順で選定するにしても会場へのアクセスを考えれば、近くの高齢者からと考えるのだろうが、具体的にどこで区切るのか迷うことになるのは間違いない。それでも実際にワクチンを接種しても順番の来ない高齢者から不信を持たれ、問い合わせが殺到することになるのは避けられないだろう。となると、現場が混乱するのは目に見えている。住民にすれば、「隣のご主人には通知が来たのにうちには来ない。いつ来るのか」といった不安に駆られるのは当然のことだろう。

 どこの都道府県にも市町村単位でみれば50や100になり、国で考えている都道府県単位で数千、数万のワクチンを各市町村にいくらずつ割り振るのか、は大きな問題である。人口割りで割り振れば、人口の少ない市町村には微々たる本数しか行き渡らないこととなりかねない。いくら国が費用のすべてを受け持つとはいっても各市町村への割り当てを決めるのは都道府県であり、そうしたところまできちんと詰めた議論が進んでいるようには見えない。

 国会でのやりとりをみていると、ワクチンの日本国内での配送を請け負っているのは米ファイザーが以来したDHLのようだが、DHLへ具体的な各市町村への配送を指示しているのは厚生労働省のようであり、厚労省の各都道府県担当者がいて、都道府県の担当者から連絡があれば答えるという体制になっているようだが、そのあたりがきちんとコミュニケーションがとれているような感じがしない。都道府県の県庁所在地までは届くようにはなっているようだが、その先の各市町村単位まで行き届いているか、となると極めて怪しい感じである。視点を変えて世界を見渡してみると、ワクチンの供給そのものが必ずしも順調にいっていないうえ、EC(欧州共同体)ではワクチンの輸出制限に乗り出したりしてワクチンの確保競争が起きている。そうした量の確保が見通せない状況に加えて、ワクチンの配送には零下70度まで温度管理できる冷蔵庫も整備されていないと意味がないのはいうまでもないことで、そこまできちんとした体制はとれていないことだろう。

 となると、3600万人の高齢者が1人2回までのワクチン接種を終えるまで下手をすると今年一杯までかかることになりかねない、ということになる。ということは夏から秋にかけての東京オリ・パラリンピック開催はとてもワクチン接種という課題を抱えた形ではできな、ということになる。いまのところ、海外からの観客を迎えるかどうかは白紙だが、いまの日本の医療体制から見て、ワクチン接種を抱えながら、東京オリ・パラリンピックの選手・監督ら5万人、それに数十万人となる海外からの観客を迎えての開催はどだい無理な相談であることは明らかなことである。

 

 

 

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確定申告書の提出にマイナンバーカードのコピー添付が必要なのはなぜか、単なるポーズに過ぎないのではないか

2021-03-02 | Weblog

  先日川崎北税務署の担当官から電話が掛かってきて、この2日に提出した令和2年の確定申告書について問い合わせがあった。具体的には外国税額控除明細書の項目について疑問があり、その他にも確定申告書の税額についても質問があり、適当に答えたが、了解が行かなくて結局、証券会社などから送付されてきた特定口座年間取引書を見せてほしい、ということになり、翌日持参したら、「こちらで改めて申告書を打ち直します」と言われた。で、来年以降のこともあるから、2日に出向いて担当官が入力して打ち直した確定申告書をもらい、説明を受けたところ、結局40万円強戻ってくる見込みが半減してしまった。

 確定申告書の提出はここ数年、担当官の手によって書き改められ、修正されてきた。毎年こうしたことを繰り返してきたが、昨年は気合いを入れて取り組んだせいか、珍しくこちらが提出した通りの還付請求が認められた。それで、今年も同じように書いた積もりだったのが、どうしても思い出せない箇所が2,3出てきて苦しみ、それでもなんとか2,3日かけて仕上げて提出の運びとなったが、やはり、担当官の目をすんなりと通すわけにはいかなかった。ひとつには昨年から証券会社からの特定口座の年間取引報告書の資料を提出しなくてもいいことになったことが影響していると思われる。いくら専門家とはいえ、表中に記される数字だけを見て、その表記の正誤を見分けるのは至難の業といえよう。複数の証券会社の数字をプラスマイナスして明記されたら、それを追跡することなどできるものではない。

 つまり、マイナンバーカードのコードを打ち込めば納税者の資産状況がたちどころにわかる段階にはいまの財務省・国税庁のシステムはなっていないのである。銀行や証券会社の顧客管理システムは会社によってフォーマットが異なるため、国民1人1人のマイナンバーカードの個人コードを打ち込んでも当該個人の保有金融資産を解明できるような状態には至っていないのである。そうなるにはまだ10年以上かかるのではないだろうか。だから、証券会社などの特定口座の年間取引報告書を提出しなくてもいい、としたのは全くの時期尚早な措置であった、と言わざるを得ない。

 それと関連して、確定申告書の提出にあたっては数年前から毎年マイナンバーカードのコピーを添付して提出することが義務付けられているが、だからといって提出されたマイナンバーカードの個人コードを使って内容を確認するわけでもなく、財務省もマイナンバーカード普及のために尽力していることを見せたいためのの啓蒙事業でしかないのも悲しいことである。せめて納税者に毎年、無駄な作業を続けさせるのはやめてほしい。

 コロナウイルスワクチンの接種にあたってマイナンバーカードを活用しよう、とも動きがみられるが、単にマイナンバーカードを普及させようとのねらいだったら、やめてほしい。マイナンバーカードの個人コードを打ち込んでどんなメリットがあるのかなどをはっきりとさせてからやってほしい。コロナウイルスの感染者を追跡するCOCOA(接触確認アプリ)が半年経っても稼働していないことが判明したが、どうも政府の行うデジタル化は単なるポーズの嫌いが強い。本当にデジタルのことをわかっている人がリードせずに上の顔色だけをうかがって、業務なり、政策に取り組む官僚が多いからそうなるのだろう。

 

 

 

 

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