東京電力が年間決算赤字の見通しとなり、来年度にも電力料金値上げの検討に入った。柏崎原子力発電所の休止が響いているのは確かだが、基調には高騰する原油価格の上昇がある。電力料金が値上げとなれば一気にインフレムードが加速されるのは避けられない。原油価格はあっという間に1バーレル(159リットル)90ドル台を突破し、100ドルに迫る勢い。また、その影響か、金価格も1トロイオンス(31.1グラム)800ドルに迫っている。原油価格100ドルと金価格800ドルが一応心理的な壁となっているが、いずれもあっさりと突破するようなことがあるとインフレは確実にやってくる。
原油価格は米国ニューヨーク市場の先物、ウエスト・テキサス・インターミディエート(WTI)原油の価格が指標となっているが、1バーレル92ドルをつけ、需要期に向かい、さらに上昇するのは必至の情勢となっている。業界によると、世界全体の1日の原油生産量は8170万バーレルに対し、WTIの先物取引量は1億バーレル超というから、上昇するのは火を見るより明らか。06年のわが国の原油輸入高は13兆円で、平均価格は60ドルだったので、これが100ドルとなると、6兆円のコストアップとなり、GDP(国内総生産)の1%強が押さえ込まれることになる。
新日本石油が石油製品の1リットル6円の大幅値上げを発表し、ガソリン価格は1リットル150円台になる。ガソリンの価格は、1リットル80円だったのが短期間に150円台になるので、倍になったように見えるが、そうではない。ガソリン1リットルには揮発油税など53.8円もの税金が課せられているので、これを差し引くとガソリン1リットルの価格は26円強から96円強と一挙に4倍にも値上がることになり、原油価格の上昇がいかにすざまじいものか、よくわかる。
一方の金価格は10月29日にニューヨーク先物相場で1トロイオンス792.6ドルと過去最高となった。その後、高値警戒感から利益確定売りが出て、相場は下がったが、基調としては上げにあるのは確実。原油と同じく、中国を先頭とするアジア諸国での工業需要が旺盛で、これに投機筋がからんで相場を押し上げている。金価格は20年くらい前に400ドル近くまでいき、その時に1000ドルも夢ではに、とはやし立てる向きは現れ、一気にしぼんでしまった。
原油の100ドルと金の800ドルは経済理論的には何の関連もない。最近の相場からみた心理的な壁であるに過ぎないが、片一方が突破すれば両方とも突破するように思える。投機筋としてはどこかで両者がつながっている、と思えるからで、ヤマは冬場の天候が見極められる今年末だろう。それを超えると、来年の北京オリンピック前に再度やってくることだろう。
追記 てなことを書いたら、翌々日にあたるニューヨークの11月1日にあっさりと金価格は800ドルを突破し、802,5ドルをつけ、6日には823.4ドルをつけてしまった。原油価格もニューヨーク原油市場でWTIで1バーレル98.1ドルまで上昇し、と100ドルにあと一歩と迫っている。ゴールドマン・サックスのアナリストによると、1バーレル105ドルがピークで、来春には同80ドル台に落ち着くと予測している。ということは100ドルの壁もあっさりと破られることにあんるわけで、不明を恥じるしかない。経済予測はさように難しいことを証明したのかもしれない。
原油価格は米国ニューヨーク市場の先物、ウエスト・テキサス・インターミディエート(WTI)原油の価格が指標となっているが、1バーレル92ドルをつけ、需要期に向かい、さらに上昇するのは必至の情勢となっている。業界によると、世界全体の1日の原油生産量は8170万バーレルに対し、WTIの先物取引量は1億バーレル超というから、上昇するのは火を見るより明らか。06年のわが国の原油輸入高は13兆円で、平均価格は60ドルだったので、これが100ドルとなると、6兆円のコストアップとなり、GDP(国内総生産)の1%強が押さえ込まれることになる。
新日本石油が石油製品の1リットル6円の大幅値上げを発表し、ガソリン価格は1リットル150円台になる。ガソリンの価格は、1リットル80円だったのが短期間に150円台になるので、倍になったように見えるが、そうではない。ガソリン1リットルには揮発油税など53.8円もの税金が課せられているので、これを差し引くとガソリン1リットルの価格は26円強から96円強と一挙に4倍にも値上がることになり、原油価格の上昇がいかにすざまじいものか、よくわかる。
一方の金価格は10月29日にニューヨーク先物相場で1トロイオンス792.6ドルと過去最高となった。その後、高値警戒感から利益確定売りが出て、相場は下がったが、基調としては上げにあるのは確実。原油と同じく、中国を先頭とするアジア諸国での工業需要が旺盛で、これに投機筋がからんで相場を押し上げている。金価格は20年くらい前に400ドル近くまでいき、その時に1000ドルも夢ではに、とはやし立てる向きは現れ、一気にしぼんでしまった。
原油の100ドルと金の800ドルは経済理論的には何の関連もない。最近の相場からみた心理的な壁であるに過ぎないが、片一方が突破すれば両方とも突破するように思える。投機筋としてはどこかで両者がつながっている、と思えるからで、ヤマは冬場の天候が見極められる今年末だろう。それを超えると、来年の北京オリンピック前に再度やってくることだろう。
追記 てなことを書いたら、翌々日にあたるニューヨークの11月1日にあっさりと金価格は800ドルを突破し、802,5ドルをつけ、6日には823.4ドルをつけてしまった。原油価格もニューヨーク原油市場でWTIで1バーレル98.1ドルまで上昇し、と100ドルにあと一歩と迫っている。ゴールドマン・サックスのアナリストによると、1バーレル105ドルがピークで、来春には同80ドル台に落ち着くと予測している。ということは100ドルの壁もあっさりと破られることにあんるわけで、不明を恥じるしかない。経済予測はさように難しいことを証明したのかもしれない。