鈍想愚感

何にでも興味を持つ一介の市井人。40年間をサラリーマンとして過ごしてきた経験を元に身の回りの出来事を勝手気ままに切る

いかにも言わされている感じの沖縄県・仲井真知事の辺野古埋め立て申請承認の記者会見だった

2013-12-28 | Weblog
 27日午後3時から沖縄県の仲井真弘多知事は那覇市の知事公舎で、米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設に向けた政府の埋め立て申請を承認するとの記者会見に臨んだ。会見場へ入ってくる表情からして苦衷の顔で、いかにも意に沿わない見解を表明せざるを得ない感じであった。冒頭30分にわたっ予め書いた原稿をたどたどしく読んで、「政府の申請を許可する」旨を明らかにしたが、日頃の流暢な口舌ぶりは全く影をひそめ、目つきもどことなくおどおどした様子が見られた。これまで政府に対して普天間の県外移設を声高く要求してきた調子は消え、借りてきた猫のような自信なさげだった。これでは県民の反対に対して適切な対応ができるとは思えず、普天間移設は宙に浮きかねない、と思われた。
 続いて記者団との質疑応答でも、いつもの歯切れ良さは見られず、曖昧な答弁に終始した。特にTBSの金平茂紀キャスターとのやりとりでは「県外移設との整合性はどうとるのか」との質問に対し、「それは質問か、意見か」と切り返し、「普天間の危険性を1日でも早く取り除くのが先決で、今回は埋め立て申請を法律に則り、許可したマでだ」と切り返した。アクマデモ埋め立て申請を許可しただけといかにも官僚の答弁で逃げ切ろう、とした。つまり、埋め立て申請そのものが、直接普天間移設につながるものではない、との詭弁を弄し、どうみても仲井真知事の負けを印象づけた。記者会見はその後ももたもたした調子は消えず、そうした空気を察してかそれから10分もしないうち事務局が質問をさえぎって終了してしまい、消化不良のあと味の悪さだけが残った。
 仲井真知事は普天間の移設については5年以内に県外に持っていく、との考えは放棄しない、としていたが、仮に沖縄県の県外に移設したとしても9年後かに辺野古の施設が完成した暁には再び米軍基地は沖縄に帰ってくることになる。そんな不合理なことを日米両政府が合意することはありえない。それに、米軍の基地に用立てないことで辺野古の埋め立て事業をするわけがない。日米両政府は9年かかるとされている辺野古の埋め立て・基地建設事業を短縮して、あわよくば普天間からそのまま辺野古へ移転させることを考えているのはだれしもが考えていることだろう。
 仲井真知事にしてみれば、そんな先のことなど知ったことではない、とでも思っているのだろう。おそらく、次の知事選では出馬しても当選はおぼつかないし、年齢的にも無理とでも考えているのだろう。
 そんな様子を見てか、自民党筋では仲井真知事が健在でいるこの時期をねらって、今回の承認を仕組んだのだろう。まさか、仲井真知事へ徳洲会ばりの賄賂がわたったようなことはないのだろうが、それに近い約束なりが行われたのかもしれない。仲井真知事は前回の知事選で普天間の県外移設を公約に当選したこともあり、ここで県外移設を反古にする辺野古埋め立て承認は公約違反になる。選挙民への裏切りともなる埋め立て承認への変節はいかにも心苦しいことだったろう。「安倍首相がいままでにない総理の手厚い沖縄への思いを評価してのもの」との発言はとってつけたようなものだった。かねて流布されている愛人との関係でも脅されたのか、この日の仲井真知事記者会見の様子はあまりにも異常だった。信念を持って許可に至ったのなら、もっと歯切れのいいコメントが飛び出してもよかった。いかにも言わされている、といった感じの内容で、見ていて気の毒になったほどだった。
 
 
コメント
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