先週末に05年4月の発生したJR福知山線脱線事故で、事故調査委員会の委員がJR西日本の社長に調査内容や報告書案を伝えていたことが判明した。前原誠司国土建設相が「言語道断、あってはならないことだ」と怒りの発言をしたが、続いてJR西日本の副社長も別の委員に同じような働きかけの指示を出していたことや、中間報告書案も入手していたことなど続々と判明し、会社ぐるみで事故調査委員会の状況なり、動きを掴もうとしていたことが明らかとなるに及んで、改めてJR西日本に対する反省のなさに怒りが広がっている。
運輸安全委員会によると、事故原因を調査した当時の航空・鉄道事故調査委員会の山口浩一元委員がJR西日本の山崎正夫前社長に働きかけられ、調査状況の情報や報告書案を事前に伝えていたというもの。山口前社長が「現場カーブにATS(自動列車停止装置)があれば事故は回避できた」という記述を「後だしじゃんけんであり、表現を柔らかくするか、削除してほしい」と要望したのに対し、山口委員は委員会でその通り発言したが、通らなかった、という。
さらにJR西日本の土屋隆一郎副社長(当時取締役)も部下の鈴木喜也鉄道本部技術部マネジャーに命じて、事故調査委員会の鉄道部会長だった佐藤泰生元委員に接触し、なんらかの情報を取ろうとしていたことが明らかとなった。さらに中間報告書案についてもJR西日本側にわたっていたことが判明し、JR西日本がトップから担当者に至るまで会社ぐるみで、事故調査委員会の動静を探ろうとしていたことが明らかとなった。
これらの情報漏洩をもたらしたのはいずれもが国鉄(旧JR)のOBで構成されていることに大きな要因があり、かつての先輩、後輩の関係で旧交を温めるような軽いノリで情報を入手しようとしたようである。考えてみれば、民営化したとはいえ、JR東日本もJR西日本も幹部はいずれも国鉄に勤めていた国家公務員で、旧知の間柄で、たとえ大規模な事故があろうが、その関係はつながっている。
事故調査委員会のメンバーに国鉄の技術者が入ってくるのは避けられないことで、人選の段階で情報の漏洩があってはならないとして忌避すべきだったとはそれこそ後だしじゃんけんである。
JR西日本では今回の情報入手について調査委員会を設けて究明するとともに責任についても明確にするとしているが、トップ自らが手を下している以上、どう釈明しても釈明しきれるものでもない。
福知山線脱線事故では106人もの乗客の命が亡くなっている。事故調査委員会の情報を入手しようとした不正な動きの心になかには被害者家族に対する気持ちのかけらもなかったことが問題である。いまだに被害者家族に対する謝罪の言葉はあっても具体的な説明は行われていない。監督官庁である国土交通省にはお詫びに行っても、被害者家族に対する行動は取られていないのは国鉄時代の親方日の丸の意識から抜け切っていないことを物語っている。国土建設相からの呼び出しなので、行かざるを得ないとは思うが、それと同時に被害者家族を招いてなぜこんなことをしたのか、をその後の補償状況の報告にまじえてでもして謝罪すべきだった、と思う。
要は日頃、お客の方を見て仕事をしていないことに尽きる。事故を起こす、起こさない以前からこうした親方日の丸意識が抜けがたく残っていたことが最大の問題である。口では民営化してこれからはお客さん第一である、といっても体質は依然として旧態のままであることを示したのが今回の事件である。
運輸安全委員会によると、事故原因を調査した当時の航空・鉄道事故調査委員会の山口浩一元委員がJR西日本の山崎正夫前社長に働きかけられ、調査状況の情報や報告書案を事前に伝えていたというもの。山口前社長が「現場カーブにATS(自動列車停止装置)があれば事故は回避できた」という記述を「後だしじゃんけんであり、表現を柔らかくするか、削除してほしい」と要望したのに対し、山口委員は委員会でその通り発言したが、通らなかった、という。
さらにJR西日本の土屋隆一郎副社長(当時取締役)も部下の鈴木喜也鉄道本部技術部マネジャーに命じて、事故調査委員会の鉄道部会長だった佐藤泰生元委員に接触し、なんらかの情報を取ろうとしていたことが明らかとなった。さらに中間報告書案についてもJR西日本側にわたっていたことが判明し、JR西日本がトップから担当者に至るまで会社ぐるみで、事故調査委員会の動静を探ろうとしていたことが明らかとなった。
これらの情報漏洩をもたらしたのはいずれもが国鉄(旧JR)のOBで構成されていることに大きな要因があり、かつての先輩、後輩の関係で旧交を温めるような軽いノリで情報を入手しようとしたようである。考えてみれば、民営化したとはいえ、JR東日本もJR西日本も幹部はいずれも国鉄に勤めていた国家公務員で、旧知の間柄で、たとえ大規模な事故があろうが、その関係はつながっている。
事故調査委員会のメンバーに国鉄の技術者が入ってくるのは避けられないことで、人選の段階で情報の漏洩があってはならないとして忌避すべきだったとはそれこそ後だしじゃんけんである。
JR西日本では今回の情報入手について調査委員会を設けて究明するとともに責任についても明確にするとしているが、トップ自らが手を下している以上、どう釈明しても釈明しきれるものでもない。
福知山線脱線事故では106人もの乗客の命が亡くなっている。事故調査委員会の情報を入手しようとした不正な動きの心になかには被害者家族に対する気持ちのかけらもなかったことが問題である。いまだに被害者家族に対する謝罪の言葉はあっても具体的な説明は行われていない。監督官庁である国土交通省にはお詫びに行っても、被害者家族に対する行動は取られていないのは国鉄時代の親方日の丸の意識から抜け切っていないことを物語っている。国土建設相からの呼び出しなので、行かざるを得ないとは思うが、それと同時に被害者家族を招いてなぜこんなことをしたのか、をその後の補償状況の報告にまじえてでもして謝罪すべきだった、と思う。
要は日頃、お客の方を見て仕事をしていないことに尽きる。事故を起こす、起こさない以前からこうした親方日の丸意識が抜けがたく残っていたことが最大の問題である。口では民営化してこれからはお客さん第一である、といっても体質は依然として旧態のままであることを示したのが今回の事件である。