先日のことである。午前9時半ころ、家の黒電話が鳴ったので、かみさんが受話器を取ったところ、男の弱々しい声が聞こえてきた。どうやら、三男からのようで、傍で聞いていると、「身体の調子が悪くて病院に行った」という内容らしい。三男は家庭のトラブルを抱えて、このところ音沙汰を聞かなかったので、精神的なダメージから身体を壊してしまったらしい。ようくあるケースで、こりゃ見舞いにでも行かないといけないかな、と思いながら、なおも聞いていると、三男は「会社から電話が行くはずで、行かなかったか」と聞いているようだった。かみさんが「会社はどこにあるの」と聞くと、「品川」とおよそ的はずれな回答をしたので、振り込め詐欺だと分かり、電話を切ってしまった。
このところ、我が家には長男、もしくは三男の名を騙り、しばしば振り込め詐欺らしき電話がかってくるようになった。その都度、警察に連絡していたところ、いずれも神奈川県下の高校を卒業しているので、その高校の卒業者名簿をもとにかかってくるようだった。今回もそのようで、また警察に連絡しようかな、と思って、携帯への着信記録を見ると、その時間に携帯から電話がかかってきて、発信元の携帯の電話番号が記録されていた。いままでこんなことはなかったので、早速地元の警察署の振り込め詐欺の担当部署に電話し、電話の詳細と着信記録が残っていることを伝え、番号も伝えた。
振り込め詐欺グループは電話を架ける際には発信元を通知しない「非通知」で電話するのが常で、こんなドジを踏むのは珍しいことである。だからといって、素人がその番号に架けても空とぼけられるだけで、埒があかないのは目に見えている。そこは警察に任せるべきだと思って、ご注進に及んだわけだが、受け付けた警官はそれほど感激した様子はなく、「一応伺っておく」感じで、ひどく冷静だった。振り込め詐欺グループは使い捨ての携帯をいくつも持っていて、たとえ番号が判明してもその筋からの追及があっても容易には足のつかないようにやっている、とは聞いていたが、専門家である警察なら、その壁を突き破ってくれるのではないか、とも期待した。
ところが、ご注進から10日経っても当に警察からは何の返答もなく、なしのつぶてであった。お礼の電話でもかかってくればいいのに、と思ったのが馬鹿みたいに思えてきた。やはり、携帯の番号がわかっただけでは振り込め詐欺グループを捕まえるには至らないのだ、とも思っていた。
しかし、30日になってかみさんが突如、「先日の振り込め詐欺の電話の男はつい2カ月前に長男の名を騙って電話してきた声によく似ている」と言い出したので、それならと警察に問い合わせることとした。長男の名を騙って電話してきた際も冒頭「いつ来るのか」と切り出し、かみさんが時々長男の家を訪問しているのを知っていて、こちらの家庭の事情を徐々に聞き出そうとカマをかけてきているようで、気味が悪い感じがしていた。そのあたりの事情を伝えながら、先日の携帯電話の番号の一件はどうなったのか、と聞くと、やはり携帯電話の番号だけでは犯人検挙にまで至らないということを諄々と説かれた。今度はもののわかった中年の警官のようで、そう説明されるとそれ以上踏み込むわけにはいかず、あっさりと引き下がらざるを得なくなってしまった。
振り込め詐欺グループも必死になって仕掛けているわけで、そこまでドジではない、ということがわかっただけでも収穫とみるべきだろう。かみさんには「今度かかってきたら、一旦切って、こちらから息子にかかえることにするように」と指示することにした。
このところ、我が家には長男、もしくは三男の名を騙り、しばしば振り込め詐欺らしき電話がかってくるようになった。その都度、警察に連絡していたところ、いずれも神奈川県下の高校を卒業しているので、その高校の卒業者名簿をもとにかかってくるようだった。今回もそのようで、また警察に連絡しようかな、と思って、携帯への着信記録を見ると、その時間に携帯から電話がかかってきて、発信元の携帯の電話番号が記録されていた。いままでこんなことはなかったので、早速地元の警察署の振り込め詐欺の担当部署に電話し、電話の詳細と着信記録が残っていることを伝え、番号も伝えた。
振り込め詐欺グループは電話を架ける際には発信元を通知しない「非通知」で電話するのが常で、こんなドジを踏むのは珍しいことである。だからといって、素人がその番号に架けても空とぼけられるだけで、埒があかないのは目に見えている。そこは警察に任せるべきだと思って、ご注進に及んだわけだが、受け付けた警官はそれほど感激した様子はなく、「一応伺っておく」感じで、ひどく冷静だった。振り込め詐欺グループは使い捨ての携帯をいくつも持っていて、たとえ番号が判明してもその筋からの追及があっても容易には足のつかないようにやっている、とは聞いていたが、専門家である警察なら、その壁を突き破ってくれるのではないか、とも期待した。
ところが、ご注進から10日経っても当に警察からは何の返答もなく、なしのつぶてであった。お礼の電話でもかかってくればいいのに、と思ったのが馬鹿みたいに思えてきた。やはり、携帯の番号がわかっただけでは振り込め詐欺グループを捕まえるには至らないのだ、とも思っていた。
しかし、30日になってかみさんが突如、「先日の振り込め詐欺の電話の男はつい2カ月前に長男の名を騙って電話してきた声によく似ている」と言い出したので、それならと警察に問い合わせることとした。長男の名を騙って電話してきた際も冒頭「いつ来るのか」と切り出し、かみさんが時々長男の家を訪問しているのを知っていて、こちらの家庭の事情を徐々に聞き出そうとカマをかけてきているようで、気味が悪い感じがしていた。そのあたりの事情を伝えながら、先日の携帯電話の番号の一件はどうなったのか、と聞くと、やはり携帯電話の番号だけでは犯人検挙にまで至らないということを諄々と説かれた。今度はもののわかった中年の警官のようで、そう説明されるとそれ以上踏み込むわけにはいかず、あっさりと引き下がらざるを得なくなってしまった。
振り込め詐欺グループも必死になって仕掛けているわけで、そこまでドジではない、ということがわかっただけでも収穫とみるべきだろう。かみさんには「今度かかってきたら、一旦切って、こちらから息子にかかえることにするように」と指示することにした。