28日は東京・霞が関の東京地裁へ裁判の傍聴に出かけた。午後1時半からの613号法廷での女医さんが夫の不倫相手に対し起こした損害賠償請求裁判を傍聴した。最初から被告席にはそれらしき人もいず、壁側には被告が証言台に立った際には傍聴人から被告を見えなくするためであろう折り畳み式のブラインドがたてかけてあり、原告側の証言中に被告はテレビにも出演したことがあるちょっとした有名人でもあるとの発言が飛び出し、さらに興味をそそる展開となっていた。
まず証言台に立ったのは原告の夫で国立がんセンターにに務める医師で、秘書であった被告と被告の歓迎会を行った際に自らの家庭環境を打ち明けられた、と証言した。その後、頻繁に被告からプライベートメールが送られてきて、なかには誘うような内容のものがめだつようになってきた、という。で、知り合ってから半年後に食事をした後に肉体関係を結びに至った。その関係は病院内でもオーラルセックスをするようにもなり、その後月に1~2回会って、そうした関係になるようになった、と証言した。そうした関係はいずれも被告から求められて行ったもので、応じないを仕事に支障をきたすようになっていった、ともいう。
その後、被告は辞めるといっては大騒ぎしたり、架空請求事件を起こしたりして、病院を辞めざるを得なくなったが、辞めたあとも復職を迫ってきて、「復職が叶わないのなら、先生との関係を病院内に広言するし、先生からパワハラを受けたとして訴える」とも言ってきた、という。それを宥めるため、被告との関係を継続してなんとか被告の復職に尽力しているようなふりをしてきた、という。ところが、被告は病院にセクハラとパワハラを受けたと訴えたため、病院側では調査委員会を作って事の真偽の解明に乗り出した、という。当然原告の夫も事情聴取を受け、調査の結果、「そうした事実はなかった」との調査結果が出た、という。
続いて証言台に立った原告は代理人の尋問に答える形で、夫の不倫を知った経緯を話し、夫に事実を確かめるとともに病院の調査委員会の事情聴取にも応じることで、夫の潔白を証明し、家庭の平和を維持していくことに心血を注いできた、と語った。その過程で、我が家に大きな迷惑をかけた被告の行為が許せなくて、今回の裁判を起こすことにした、とも語った。
ところが、最後に証言台に被告が立って、「先生と肉体関係を結ぶに至ったのは先生から不倫関係を断るのなら仕事を辞めるしかないと言われたからだ」と原告側の言い分とは180度反対の内容を証言した。最初の関係を結んだ時に先生は「君の身体がきれだから裸の写真を撮った」と言い、「これをご主人にみせたらなんというかね」と半ば脅すようなことを言った、とも言った、という。そして「先生と関係を持ったのは4回だけで、それも担当替えを人事に申請しているのを先生に認めてもらうためにやむを得ず応じたものだった、と打ち明けた。一連の騒動で10キロ体重は減ったし、いまもPTSD(心的外傷後ストレス障害)に悩まされている、という。
どちらの証言を信用するか傍聴人として判断に苦しむところであるが、証言を終えて法廷からさっさと退出した原告の夫よりも、傍聴席の旦那にせっせとメモを走らせていた被告の方に軍配が挙がる。裁判長は3人の証言が終わったら、すぐに12月中旬に判決のスケジュールを言い渡したあたり、棄却する可能性が高そうだ。