29日は東京・二子玉川の109シネマズ二子玉で、レオナルド・ディカプリオ主演の絵映画「レヴェナント 蘇えりし者」を観賞した。100程度の会場は若い人を中心にほぼ満員で、タイタニック主演のイメージの強いディカプリオ人気の高さをうかがわせた。しかもディカプリオはことしの米アカデミー主演男優賞を得たとあって、人気に拍車をかけたようだ。事前にはわが子を誘拐された父親がわが子を取り戻すべく活躍すると思っていたが、どうやら勘違いでわが子を殺されたのを復讐する父親の活劇で、確かにディカプリオの演技は目立ったものの、映画としては必ずしも万民に訴えるようなものではなかった。
「レヴェナント 蘇えりし者」は19世紀の米国西部で、毛皮の狩猟業者がインディアンに襲われ、狩猟船を捨てて徒歩で基地から脱出を図るところから始まる。45人いたグループはわずか9人になり、それでも船に固執して船に乗り込むメンバーが出るが、ほどなくインディアンに打ち殺されてしまう。残った7人のグループは運び出した毛皮を捨てて森の中を徒歩で進んでいく。そのうちに偵察に出ていたディカプリオ演じるガイドのヒュー・グラスは子連れの熊に襲われ、瀕死の重傷を負う。それでもしばらくは担架に乗せられ、必死の逃避行を図るが、折りからの雪まじりの極寒とあって、グラスは現地人との間にもうけた息子のホークらとともに置き去りにされる。
グラスの面倒を任されたジョン・フィッツジェラルドはやむなく数日は看護に努めるものの、そのうちにグラスを殺すしかない、と決め、窒息死させようとする。そこへやってきたホークはフィッツジェラルドに突っかかっていくが、逆に殺されてしまい、フィッツジェラルドはもうひとりの仲間のブリッジャーにはホークは行方不明となった、と告げる。そして、ある日インディアンが襲ってきたと言って、グラスを捨てて逃げ出すことを試みる。
置き去りにされたグラスはなんとか生き延びて、必死に生還を果たし、米軍の砦に帰っていたフィッツジェラルドを追い詰め、最後には息子の復讐をはつぃ、めでたしめでたしとなる。ただ、そこまで至るまでインディアンに追われたり、極寒の荒野をさまよったり、他の狩猟グループに襲われているインディアン女を救ったり、波乱万丈、かつ壮絶な活躍を繰り広げる。とても瀕死の重傷から生還した男とは思えない逞しさがあり、本当かいなとも思えるシーンが相次いで出てくる。
確かにディカプリオの熱演ぶりにはひきつけられるが、映画のストーリーとしてはありふれた西部活劇のバラエティのひとつに過ぎない感もなくはないし、見ていて決して楽しいものではない。タイタニックの主人公のような二枚目を期待してやってきた女性客のなかには幻滅してしまう人も出てくることだろう。米アカデミーの主戦男優賞のほか監督賞、撮影賞を受賞しているが、映画として優れたものとはとても言えない。本編終了後のクレジットタイトルで音楽のところで坂本龍一の名前fが出ていて、効果的な音響が奏でられていたことを思い出し、納得した。