弁護士湯原伸一(大阪弁護士会)の右往左往日記

弁護士になって感じたことを綴っていきます(注意!!本ブログは弁護士湯原の個人的見解に過ぎません)

弁護士の守秘義務違反に基づく慰謝料請求

2006年10月13日 | 法律情報
最高裁のホームページに掲載されているのですが、某弁護士が直接受任はしていないが、電子メールで偶然知り得た情報を他の弁護士に漏らしたことが、守秘義務違反であるとして、慰謝料請求が認められた裁判例が出ています。

私も思わず判決文全文を読み込んでしまったのですが、裁判所の判断としては、まず一般論として、直接受任していなくても、弁護士という資格に基づいて知り得た情報については守秘義務を負うので漏洩してはならないとしています。
そして、本件では、
・たまたま某弁護士がWebサイトで情報提供を呼びかけ、送信フォームを用意していたところ、利用者が弁護士のWebサイトであることを認識・期待して、送信フォームを利用した
・この送信によって某弁護士は情報を入手した
・当該情報を知り合いの弁護士に開示した
点をとらえて、守秘義務違反による慰謝料請求を認めているようです。

ホームページを作ると、「お問い合わせ」フォームを作ることが多いと思います。お問い合わせフォームの利用規約として、法律相談は一切受け付けないと書いても、どうしても個別的な法律相談が来るのが現状です。
このように一方的に送付されることによって知ってしまった情報についても、弁護士という資格で知り得た情報である限り、この裁判例に従えば、一切他人に漏らしてはいけないということになりそうです。

今後、弁護士もインターネットを利用した営業戦略が活発になると思いますが、当該営業戦略を採る上で、気を付けなければいけない裁判例となりそうですね。



関連するニュースへのリンク
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?
action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=04&hanreiNo=33619&hanreiKbn=03
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