アメリカ大統領選挙が色々と盛り上がって(?)います。
トランプ氏の暗殺未遂事件後、トランプ氏の支持拡大になってと思いきや、バイデン大統領が撤退表明しハリス氏が事実上の後継者とし表明するや否や、あっという間に支持率拮抗(調査会社によってはハリス氏が優位)となりました。
人間心理として、直近で心揺さぶる事象が発生した場合、そちらに流されやすいことを示す事例では…と思ったりします。
さて、上記のようなことを皆さん知っているためか、裁判という場でも、時々依頼者より、
「決定的な証拠は後から出したほうが良いのでは」
という提案を受けることがあります。要は、裁判官が判決を書く間際に有利な証拠を突き付け、相手を論破すれば勝訴できるのではという考え方です。
たしかに、裁判官もしょせんは人の子ですので、このような人間心理の影響を受けることも否定はできません。
しかし、私個人の経験論からすれば、後から有利(と当方が考えている)な証拠を出したところで、あまり影響が生じないような気がしています。というのも、裁判官は良くも悪くも事務的作業として裁判手続きを進めており、感情だけで判断しているわけではないからです。
たまに裁判官のインタビュー記事などを読むと、むしろ初期の段階である程度の結論(心証)を決めており、あとはその結論に沿った内容かを確認するだけであると明言する方もいるくらいです。
「後出し」が有効なのは、感情で動く場面であることを理解したほうがよさそうですね。
弁護士 湯原伸一 |