弁護士湯原伸一(大阪弁護士会)の右往左往日記

弁護士になって感じたことを綴っていきます(注意!!本ブログは弁護士湯原の個人的見解に過ぎません)

動産執行の現場で…

2006年06月21日 | 経験談・感じたこと
裁判で請求が認められる勝訴判決を勝ち取っても、相手方が支払ってくれない限りは、判決書は単なる紙切れに過ぎません。
そのため、強制的に支払わせるために、執行という手続きが存在するのですが、この執行手続きが、なかなか融通が利かない制度です。

私も、代理人弁護士として動産執行の申立を行い、差押え財産を探すべく、執行の立会に行うのですが、ある現場に行ったとき、パソコン等ある程度高価な物と思われるものは、何故か「●●所有物件」のような札が貼ってありました。

法律上は、Xに支払い義務があるのであれば、Xの財産に対して執行することになりますので、「Y所有物件」なんて書いてある札が貼ってあると、執行官は、嗜好現場でX所有物件なのかどうか判断が付きませんから、差押えの対象から外してしまいます。

とまぁ、法律の建前論からすれば、上記の通りなのですが、執行現場に行くと、どう考えても、「慌てて札貼っただけだろう!」「Xの物だろう!」と突っ込みたくなります。

私も代理人弁護士として立ち会っている以上、ささやかながら執行官に物言いをして、できるだけ差し押さえ対象にするよう交渉するのですが、なかなか執行官も首を縦には振ってくれません。

こうして動産執行は空振りで終わってしまうのですが、依頼者からすれば費用はかかるわ、しかし何も回収できないわで、踏んだり蹴ったりの気持ちになります。
もちろん、弁護士として、事前に費用が発生すること、無駄に終わるかも知れないことを説明し了解を得るのですが、依頼者に結果報告することは何となく気が引けてしまいます。

絵に描いた餅とは、まさしくこの様な場面を言うのかも知れません。

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