弁護士湯原伸一(大阪弁護士会)の右往左往日記

弁護士になって感じたことを綴っていきます(注意!!本ブログは弁護士湯原の個人的見解に過ぎません)

これで収束!?-絵画の盗作騒動につき、和田氏が事実上認める?

2006年06月05日 | その他
音楽関係では、ちょこちょこ盗作疑惑等が出てきますが、絵画の盗作疑惑というテーマ自体あまり一般的ではないためか(表沙汰にはなっていないため?)、かなり広く報道されていますね。

美術など分からない私個人の目からすれば、アルベルト・スギ氏の絵画と和田氏の絵画は、「ほぼ一緒じゃん!(模写?)」と思っていましたが、ついに!?和田氏も、、「社会通念上、盗作と言われても仕方ない」旨発言したようです。

この騒動を法律的に考えれば、著作権侵害の問題が生じていることになります(但し、スギ氏は日本人ではありませんので、厳密には日本の著作権法がどこまで及ぶのかが問題となりますが、ここでは省略します)。
今回問題となっている絵画は、「美術の著作物」として著作権法上保護される対象であることは争い無いでしょう。
そして、スギ氏の言い分を前提とする限り、問題となっている絵画の作成者はスギ氏のようですので、スギ氏が「著作者」であることも問題ないでしょう。

著作権侵害というためには、和田氏がスギ氏の作品に「依拠」しかたどうかがポイントとなります。
ちなみに、「依拠」とは、他人の著作物に依存している関係とでも言えば分かり易いと思います。
本件では、盗作であることを認めたとするのであれば、「依拠」したことになるでしょう。

従って、スギ氏は和田氏に対して、著作権侵害に基づく、差し止め請求、損害賠償請求、著作権法違反の罪に基づく刑事告訴等の法的手段をとることができます(本当に権利行使するかどうかは別問題ですが…)。

まぁ、本件については、報道を見る限り、和田氏も認めているようですので、真摯な謝罪をすれば法律的な問題は不問にして終わりそうですね。

それにしても、この様な問題がある作品について、賞を与えた文部科学省の責任(法律上の責任と言うよりは道義上の問題です)はどうなるのでしょうか?
何となく、日本国の、芸術センスの無さを海外にアピールしただけのような気がしますが。。。



関連リンク
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060605-00000301-yom-soci

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