ほそかわ・かずひこの BLOG

<オピニオン・サイト>を主催している、細川一彦です。
この日本をどのように立て直すか、ともに考えて参りましょう。

講演「日本精神を復興し、亡国憲法の改正を」2

2015-03-19 08:47:59 | 憲法
(4)天皇
 日本は、天皇を民族の中心として国民が団結力を発揮するという優れた国柄を持つ国である。GHQは、天皇と国民の結びつきを弱め、日本を弱体化しようとした。
 明治時代に日本人自身が作った大日本帝国憲法では、天皇について明確に定めていた。「大日本帝國ハ萬世一系ノ天皇之ヲ統治ス」「天皇ハ神聖ニシテ侵スヘカラス」「天皇ハ國ノ元首ニシテ統治權ヲ總攬シ此ノ憲法ノ條規ニ依リ之ヲ行フ」等である。
 これに対し、現行憲法では、次のように定められている。

第一条 天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であつて、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く。
第二条 皇位は、世襲のものであつて、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する。
第三条 天皇の国事に関するすべての行為には、内閣の助言と承認を必要とし、内閣が、その責任を負ふ。
第四条 天皇は、この憲法の定める国事に関する行為のみを行ひ、国政に関する権能を有しない。
2 (略)

 敗戦により、GHQの圧力で天皇は象徴となり、権威を引き下げられ、統治権の総攬から国事行為のみへと権限が縮小された。特に民族の中心として神に祈りを捧げるという役割が軽視されている。また、元首と規定されておらず、元首が天皇なのか、総理大臣なのか、あいまいな状態になっている。
 改正では、天皇の精神的な役割を明確にすること、また「元首」と位置付けることがポイントとなる。

(5)権利と義務
 次に国民の権利と義務に関して述べる。現行憲法は、基本的人権の尊重を規定している。

第十一条 国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、現在及び将来の国民に与へられる。

 権利の保障が厚い反面、義務の規定が非常に少ない。勤労、教育、納税のみである。だが、権利には義務が伴い、自由には責任が伴う。多くの国では国家忠誠の義務や国防の義務が定められている。戦後のわが国はこうした義務がないため、利己主義が蔓延するようになってしまった。
 改正においては、国民として必要な義務を定め、権利と義務のバランスを取ることが必要である。

(6)家族保護条項
 次に、家族について述べる。これに関係するのは、第24条である。

第二十四条 婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。

 この「婚姻は、両性の合意のみに基いて成立」という規定が、日本の伝統を破壊するものとなった。GHQの若い米国人女性職員の意見が取り入れられた。結婚に両性の合意は必要だが、両性の合意のみに基づいて成立という規定が、家庭に個人主義を持ち込んだ。その結果、親子・夫婦・祖孫等の家族の絆が弱まっている。
 男女が恋愛し、結婚するのは自然なことであり、憲法に結婚について定める必要はない。定めるとすれば、家族を尊重し、保護する条項である。わが国の憲法には家族保護条項がなく、かえって欧米諸国が憲法に定めている。
 改正の際に、家族の尊重規定を盛り込む必要がある。

(7)緊急事態条項
 現行憲法には、わが国が外国から武力攻撃を受け、またはその危険が切迫している場合、及び内乱・騒擾、大規模自然災害等の非常事態が生じた場合、どのように対応するかが、定められていない。多くの国の憲法には、緊急事態条項が設けられている。わが国でも、明治憲法にはその規定があった。それをもとに、2・26事件では戒厳令を発令した。しかし、現行憲法は、それがなくされてしまった。
 緊急事態規定のないことと、第9条で国防を規制していることは、同じ事情による。占領下にアメリカによって作られた憲法だから、何か起これば、GHQが出動することになっていたからである。
 私は、9年ほど前に新憲法私案をネットに掲載し、今も公開している。その中に、緊急事態条項を設けている。また憲法に緊急事態規定のない重大欠陥を指摘し、憲法を改正し、条項を新設するよう訴えてきた。当時はごく少数意見だった。
 平成23年東日本大震災が発生した。原発の事故が起こり、爆発すれば東日本の大部分が危機的状態になり、国家全体もマヒする恐れがあった。だが、憲法にそうした非常事態への対応が定められておらず、また不幸にして当時は民主党政権のため、まともな対応が出来ず、いたずらに被害を拡大し、犠牲者を増やした。
 その反省により、ようやく憲法に緊急事態規定を設けるべきという意見が多くなってきた。現在は共産党を除くすべての政党が必要性を認めている。大震災の影響で首都圏や南海トラフ等で巨大地震が起こる可能性が高まり、日本は天変地異の時代に入っている。改正の際、緊急事態規定を設け、国防と防災を一体のものとして強化する必要性がある。

 次回に続く。

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