ほそかわ・かずひこの BLOG

<オピニオン・サイト>を主催している、細川一彦です。
この日本をどのように立て直すか、ともに考えて参りましょう。

北海道が危ない3~外国人土地取得の規制を

2016-09-17 08:15:17 | 時事
4.観光資源

 スキーリゾートで有名なニセコ町では、山田温泉ホテルが平成22年に7億円で中国資本に買収された。
 占冠村では、1千ヘクタールを超える総合リゾート施設「星野リゾート トマム」が、昨年秋、中国の商業施設運営会社「上海豫園旅游商城」に買収された。上海豫園旅游商城の大株主は、日本での不動産投資を積極的に進めている上海の中国民営投資会社「復星集団」(フォースン・グループ)。
 占冠村の中村博村長は、「買収は寝耳に水だった。中国企業の会長は『トマムにも投資する』と言っているが、具体的にどういう投資がなされるのか分からない。水の問題と乱開発が心配だ。網掛けをきちんとして、水資源の確保と乱開発は防がないといけない」と語る。
 住民は「中国資本が中国人をたくさん呼んできて、中国人の雇用を増やす可能性がある。村内では、中国人の街ができてしまう、という噂が立っている」という。
復星集団はトマム買収以前にも、新得町のリゾート地「サホロリゾートエリア」で宿泊施設を所有するフランスのリゾート施設運営会社「クラブメッド」を買収している。新得町の浜田正利町長は、「日本を守るという意味で、(外国資本による北海道の不動産買収に)制限は必要だと思う。特に土地に関しては国が制限をもうけないと…」と言う。

 エゾ富士「羊蹄山」の里・喜茂別町では、広大なゴルフ場を中国・北京の投資会社が買収した。完全なプライベートゴルフ場でクラブハウスも超高級な造りで、クラブハウスというよりはオーナーの別荘のようだったが、一般客の募集を始めている。
 喜茂別町の北方に位置する赤井川村では、「DROM ホテル・ドローム」「ドローム キャンプ・フィッシング フィールド」が今年5月、シンガポール企業の日本法人(札幌市)によって買収された。
 喜茂別町は新千歳空港から車で約1時間半、赤井川村は約1時間だ。「最初はニセコ町を中心に買収されていたが、赤井川村、喜茂別町と放射線状に伸びてきている。水源や資源があるところばかりで、買収の単位も100ヘクタール単位と大きくなっている」と地元住民。
 前道議の小野寺秀氏は「270ヘクタールもあるドロームは国道沿いの木を残して中だけ伐採すれば、外からは全く見えない。入り口を閉めると、誰からも干渉されない閉鎖的なゾーンになる。大きな川も流れていて、自己完結的に生活するには最適の場だ」と指摘。その上で、「中国人の移民を受け入れるような流れになってきているが、そうした中国人が1カ所に住み着く可能性がある。自己完結的に住める地域には、アンタッチャブルな“集落”ができる可能性がある」と懸念を示す。
 また、「中国が狙っているのは水源地や森林、不動産だけではない。観光施設も買収している。今後、観光地の中国化が進み、利用するのは中国人がほとんどという事態になり、その場がチャイナタウン化するのは時間の問題だ」という。

5.居住地

 千歳市郊外には、家具・インテリア販売大手「ニトリ」の子会社「ニトリパブリック」が約6億5千万円を投じ、平成22年7月に中国人向けの別荘地を完成した。約6500平方メートルの敷地内に木造2階建て住宅17棟が並ぶ。1棟当たり平均3千万円で入居者を募集したところ、100人余りが応募、早々に分譲を完了したという。
 新千歳空港には政府専用機が格納されていて時折、訓練飛行が行われている。隣には北の防衛の要である航空自衛隊千歳基地があり、国防上重要な場所である。その新千歳空港の滑走路と千歳市美々の国道36号との間に広大な山林、原野が広がる。平成21年ごろ、この土地をめぐってある計画が進められていた。道庁側は安全保障上の問題を理由に、所有者に売却しないよう要望した。売却は途中で頓挫したから大事には至らなかった。」
 長崎県・対馬では、海上自衛隊施設の隣接地が韓国資本に買収された。「国として安全保障上重要なエリアを決めて、そこを国が管理するとか、買い上げるとかの方向にしないと手遅れになる。対馬の二の舞いになる」と小野寺氏は語る。

 札幌市中央区の宮の森地区は、札幌有数の高級住宅街である。そこで、ちょっとした騒動が持ち上がっている。騒動は中国系不動産会社「海潤(ハイルン)」(札幌市)が2月、宮の森の高級住宅街に3階建てマンション(5戸)2棟とコンセプトハウス、管理事務所を建設することを公にしたことに始まった。
 海潤はすでに宮の森地区で、3階建てマンション1棟(19戸)と空き家1軒のほか、札幌市内でも地上30階地下1階建てマンション(99戸)や地上20階地下1階建てマンション(53戸)を仲介販売するなど、手広く不動産ビジネスを展開している。
 住民側が危惧したのは、マンションなどの民泊利用である。住民側は「宮の森の環境を考える会」を結成し、居住目的で販売すること、居住者の責任で旅行者には利用させないことなどを明文化した協定書の原案を送付した。回答を求めたが、返事がないまま工事が進められたことから6月中旬、管理規約原案の開示などを求め、札幌簡裁に調停を申し立てた。

6.商業施設

 札幌市内のビルに、道内のマンションなど不動産を買いあさっている中国系企業や、買収した不動産を管理する中国系企業が集中するケースが目立ってきている。
 札幌市中央区の狸小路商店街近くでは、再開発計画が進み、新しいビルは地下3階、地上29階建てのビルが建つ。商業・業務向け施設は地下2階から6階。7階から29階までは130戸の分譲マンションになる予定だ。4階から6階までは中国系の店舗が入り、分譲マンションは中国人が購入しそうだという。
 札幌の不動産業界に詳しい関係者は、「札幌には正体の分からない会社が入っているビルもある。中国人だけのビルを造りたいと考えている会社もあるという話を聞いたことがある」と述べている。

7.地方行政への影響

 中国人を含む外国人居住者が増えた場合、「常設型住民投票条例」が問題になる。「非常設型住民投票」は、住民の賛否を問う事案ごとにその都度、議会の議決を経て実施に必要な住民投票条例を制定するもの。一方、「常設型」は、投票の資格や投票方法などをあらかじめ条例に定めておいて、どんな些細なことでも請求要件を満たしていればいつでも実施できるとするもの。市町村が独自に制定でき、外国人にも投票権が保障される場合もあり、地方行政に直接参画できることになる。
 27年4月1日現在、芦別市、北広島市、増毛町の3市町が、常設型住民投票条例を制定している。また、179市町村のうち51市町村で自治基本条例が制定されており、このうち6市町村は自治基本条例の中に住民投票を規定した上で、実施する際の具体的内容や手続きなどを盛り込んでおり、実質、常設型住民投票を認める内容になっている。外国人に対しては、5市町村が居住期間などの条件付きで投票権を認めている。
 前道議の小野寺秀氏は、「アメリカ総領事館の職員から、『常設型住民投票条例が制定されると、外国人が自治体の首長のリコールなどができるようになる。それは選挙権を与えたぐらいのインパクトがあり、行政を牛耳ることができる。そのような地域に中国人がドッと入ってくると、中国の思いのままになる』と忠告された」とも語っている。

8.深刻化する現状に基づく将来予測

 明治から大正にかけて、先人たちが極寒の地を開拓した北海道。過疎化、高齢化など社会的な問題を背景に不動産を手放さなければならない現実がある。そこを狙ったかのように、中国資本が北海道の不動産を買いあさっている。
 小野寺秀前道議は、数年前の世界ウイグル会議の関係者との対談を振り返り、次のよう話す。「『今の北海道は、ウイグルによく似ている。中国人を受け入れると、じわじわと入ってきてコミュニティーを作っていったが、あるとき、手のひらを返したように、本国からあそこの土地は自治区だと。その瞬間から、それまでいい人だった隣人が豹変した』と話していた」と。
 中国資本が跋扈する北海道の現状に危機感を募らせる声が上がっている。「このままいけば、子供の代になると、ここは日本か、という事態になりかねない。政治家には日本の国が日本じゃなくなってしまうんだ、という危機感はないのか」とある牧場経営者は語っている。

 私見を述べると、外国人土地取得への懸念や不安の声は、北海道から上がっているだけではない。全国のそこここに同じ思いの声が上がっているはずである。わが国は、国家安全保障の観点から、外国政府・外国資本による土地取得を規制する法整備を急がねばならない。日本を愛し、日本を憂える政治家は、この課題に真剣に取り組んでもらいたい。対処が遅れれば、悔いを洗剤に残すことになるだろう。日本をチベットやウイグルのようにしてはならない。

 以上は、産経新聞が本年5月中旬に掲載した「北海道が危ない」というシリーズ記事および7月末のその続編の記事を項目別に整理し、要点をまとめ、若干の私見を加えたものである。

●結びに

 北海道が危なくなっている。その現状は、決して一地方の問題ではない。根本的には、我が国が外国人の土地取得にほとんど無防備に近い状態になっていることによる。独立主権国家として、まことに危うい状態である。国家の主権と独立、国民の生命と財産、日本の国柄と誇りを守るために、外国人の土地取得を規制する法整備が急務である。(了)

■追記
 本稿を含む拙稿「外国人土地取得の規制を急げ~北海道の事例を踏まえて」は、下記に掲載しています。
http://khosokawa.sakura.ne.jp/opinion13w.htm

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