ほそかわ・かずひこの BLOG

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日本の心153~ネルーは愛国者・頭山満に感謝した

2022-08-06 08:32:50 | 日本精神
 東京裁判においてインド側主席弁護人だったデサイ博士は、次のように発言しました。
 「インドはまもなく独立します。その切っ掛けを与えてくれたのは日本です。インドの独立は、日本のお陰で30年早まりました。これはインドのみならず、ビルマ、インドネシア、ベトナムをはじめとするアジア諸民族共通のことです。インド4億人の民は、これに深く感銘しています。インド国民は、日本の復興にあらゆる協力を惜しまないつもりです。その他の東南アジア諸民族も同じだと思います」
 戦後、インドの人々は、連合国が日本を裁いた東京裁判において、アジアの一員として、日本の立場を理解しました。独立インドの首相となったネルーは、東京裁判のインド代表判事にパール博士を任命しました。パール博士は、東京裁判の矛盾を突き、日本の戦犯全員の無罪を判決しました。
 インド政府のチョプラ教育相事務次官は「パール博士の判決は、当時も今もインド政府の立場を語っています。我々はパール博士の判決を支持しています」と語っています。
 今日、パール博士の所説は欧米の多くの国際法学者たちにも支持され、東京裁判の誤りが認められています。
 ネルー首相は戦後間もなく来日し、インドの独立に協力した日本人に感謝を表わしました。その一人が、頭山満(とおやま・みつる)でした。頭山は既に死去していたので、ネルーは代わりに黒竜会代表の葛生能久に謝意を表しました。
 頭山満こそ戦前の日本において、国家社会のために生きる在野の巨人として、広く国民的敬愛を受けた人物です。彼の名は玄洋社とともに記憶されていますが、明治以来、日本国民の名誉や自尊心にかかわる事件には、つねに彼の姿があったのでした。
 頭山をはじめとする人々は「大アジア主義者」と呼ばれ、明治時代からアジアの解放のために努力しました。 彼らは、中国、インド等のアジア諸国の独立運動家を、命懸けで支援した真の国際人でした。頭山は犬養毅(元首相)と親しく、両者は一心同体となって、日本とアジアのために尽くしました。
 頭山は、東京・赤坂霊南坂にあった家の隣家に、日本に亡命していた中国革命の父・孫文をかくまったことがあります。孫文は、その家で4年間ほどすごし、宋慶齢との結婚式も挙げました。その間の生活費も頭山が世話をしました。
 頭山は、またインド独立運動の志士ラス・ビハリ・ボースらが英国政府から追われていたときには、官憲の手から身柄を守り、新宿の中村屋にかくまいました。ボースは中村屋の長女・相馬俊子と愛し合い、日本に帰化して頭山の媒酌で結婚し、祖国独立のために力を尽くしました。彼が伝えた中村屋のインド式カレーは有名ですが、その陰には、頭山という真に国際的な精神を持った愛国者がいたのです。ネルー首相は、こうしたインドに対する頭山の支援に感謝したのです。
 竜馬・海舟・西郷の息吹を受けた中江兆民は、頭山を大人物と認め、大いに期待し親交を結びました。
 その頭山は、維新の英雄・西郷隆盛を深く尊敬していました。頭山は「ただ一心の天に通ずるものあらば、布衣といへども決して王者に劣るものはない」と語ったと伝えられます。西郷に似て、地位や名誉や金銭を求めず、ひたすら日本とアジアのために尽くした彼らしい言葉です。
 「頭山翁の偉大なる人格の至極の根源は、実に翁の『天に通ずる心』に求めねばならぬ。……唯だ『一心天に通ずる』生涯が頭山翁の生涯であり、それは大西郷が常に『天を相手』に生きたのと同じく、真実の日本人に共通なる宗教的境地である」と、大川周明博士は、書いています。そして、頭山を「真個の日本人」と呼んでいます。
 インドが生んだ偉大な詩人タゴールは、大正13年(1924)に来日した際、頭山と会談しました。タゴールは、頭山について、「インド古代の聖者を目のあたりに見る感じである」と語っています。
 大東亜戦争は米国の挑発に乗る無謀な開戦の果てに、悲惨な敗戦に終わりました。 敗戦色濃き昭和19年の秋、90歳の頭山満翁は憂国の思いの中で死去しました。しかし、この大戦の後、アジア諸民族は白人種の支配から独立できました。アジアの解放は、それに協力した日本人がいたから実現できたのだと考える人々が、今日もアジアの国々には、いるのです。

参考資料
・葦津珍彦著『大アジア主義と頭山満』(日本教文社)
・杉森久英著『浪人の王者 頭山満』(河出文庫)

 次回に続く。

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